美容師の退職時のお客様への挨拶はどうする?経験者インタビュー
- 「美容院を退職するときにどういう挨拶をしよう?」
- 「お店に迷惑がかからないようにしたい」
お世話になった美容院を辞めるときの挨拶の仕方に悩んでいる方は少なくないでしょう。
この記事では、お店を退職する美容師さんがどのような方法で、お客様やお店のスタッフに挨拶をしているのか、辞め方やキャリアなどで必要な挨拶の仕方に違いがあるのか、転職経験のある先輩方にインタビューをしてみました。
挨拶をどうしようか、という方へのアドバイスなどを紹介しますのでぜひご参考になさってください。
美容師が「退職の挨拶」をする前の退職の決断のタイミング
以前の記事でも御紹介しましたが、美容師が「働いているお店を退職したい」と思うときって、どのようなときなのでしょうか?代表的なケースをインタビューしてみました。
(インタビューの主な回答)
- ・3~4年でデビューしてスタイリストになってもなかなかお客さんが取れない、客数が伸びない。
- ・人間関係(特に上下関係、男女差に起因するハラスメント)
- ・お店のビジョン に魅力を感じない
- ・給料が安い、先輩と話しても上がるイメージができない
- ・集客や収入が増えるイメージのある業務委託や面貸し、シェアサロンなど魅力的な気がする
- ・時間の融通の効く訪問美容や介護美容など違う職種に興味がある
- ・将来の収入が不安で、美容メーカーなど異業種に転職を考えている
- ・高校の友人などと話していて報酬や労働時間(土日休みなど)を”いいなあ”と感じてしまう
- ・体質的に手荒れが酷く、続ける意欲が低下してきた
- ・技術がなかなか習得できなくて向いていないと思い始める
- ・結婚や出産を契機に辞める
- 【1】美容師は続けるが、環境や働き方を変えたい
- 【2】人間関係
- 【3】美容師自体をやめて他業種に挑戦したい
- 【4】技術が身につかない
大きくまとめると上記の4要因が退職を決意させる原因になっているようです。
また、一般的な転職市場と同じく、美容師の世界でも「働き方改革」がすすんでおり、いろいろな働き方が生まれているので辞めやすい市場になっている傾向もあるようです。
美容師はお客様の美のお手伝いをする、華やかでやりがいのある人気の職業です。しかし、実際にサロンの現場で働き始めると、こんなはずではなかったと理想と現実の差に苦しむこともあります。
アシスタントとしての長い下積み期間を経てようやくスタイリストになっても、思うように指名客がつかず自信と意欲をなくしてしまうのは、本当に残念でつらいことでしょう。
それでも、人間関係がうまくいっていればまだ救われる部分はありますが、先輩や同僚との関係がギスギスしていると、相談できる人もいなくて思い詰めてしまい、やがて大きなストレスとなります。
もちろん、どんな仕事をしていても多少のストレスや悩みはつきものです。
ただ、美容師は特に他の業界と比較すると、長時間労働の割に給料が低い傾向が見られます。また、休日の少なさなどもあり、余暇で心身のリフレッシュをするのに難しさや限界を感じている人も少なくありません。
お店の営業時間の前後にも、準備・片付けや練習などでハードな毎日を送っていると、休日は日々の疲れを取るだけで何もできずに一日が終わってしまう、という人もいるかもしれません。
また、土日が休みの友人や恋人、家族と一緒に過ごす時間がなかなか取れないなど、美容師ならではの事情が大きく影響していることは否めないでしょう。
退職の挨拶を具体的にどのように行なったか聞いてみました
いろいろと考えた末に退職を決意したら、いよいよお店に辞める意思を伝えねばなりません。そして、次に気になるのがお客様への挨拶です。
インタビューからは、円満退職の場合とそうでない場合とで、挨拶の仕方に違いがありました。
それぞれのケース別に、具体的な例を見ていきましょう。
円満に退職できた場合の挨拶の具体例
まず、比較的円満に退職できた場合の挨拶のインタビューの回答を御紹介いたします。
(インタビューの主な回答)
- ・指名客には必ずお伝えをして後任のスタイリストを紹介する。
- ・ライン等でつながっている場合は先に告知をする
- ・郵便でDMを出す
- ・自分以外の常連客にも挨拶をしてお伝えする
- ・円満になるように、辞める本当の理由はほとんど伝えず、当たり障りのない理由を作る
- ・他店に転職するとか独立することはお客様に言うのはタブーだと思う
- ・異業種に転職する場合は正直に伝える
これまで長く勤めてきて、お店への貢献度が高かったベテランのスタイリストほど、お客様にキチンと伝えてから退職している傾向があります。お店との関係が良いと、退職前に郵便のDMで退職のお知らせを出させてくれるようです。
馴染みのお客様なら、DMを見て最後に会いに来てくださることも考えられますし、お顔を見て退職する旨を自分で直接お伝えできる機会が増えるでしょう。
また、自分が担当していた指名客だけでなく、他のスタイリストの常連客にもご挨拶ができるので、印象が良くなります。
もし、DMでのお知らせが叶わない場合、たまたま退職を決めてから退職日までの間に来店されたお客様以外には、退職することをお伝えできなくなってしまいます。
お客様が次に予約しようとしたときになって初めて、自分が知らないうちに担当スタイリストが退職したと聞かされたら、水くさいなぁと感じられることもあるかもしれません。そうした事態をできるだけ避けるためにも、辞める本当の理由は伝えず、当たり障りのない理由を作るのは得策だと言えます。
中には、LINEなどでお客様と個人的に繋がっているケースもあるでしょう。そのときは、退職することは伝えても、同業界に転職するならばそのことは言わずに伏せておくのがマナーです。もし、お客様から転職先について聞かれることがあっても、異業界であると嘘をつき通すのが理想です。
円満に退職できなかったときの挨拶の具体例
次に、円満に退職できなかったときの挨拶(挨拶ができなかった)のインタビューの回答を御紹介いたします。
(インタビューの主な回答)
- ・店から禁止されたので、ほとんど挨拶ができなかった
- ・サロンから禁止されたのでこっそり個人的にお伝えした
- ・インスタをこっそりフォローしてもらった
- ・話してからやめるまでの期間が短かったので、ちゃんとした挨拶はできなかった
円満な退職は理想ではありますが、現実にはなかなか円満とはいかないケースの方が多いようです。
実際、お店から退職の挨拶をすることを禁じられるなど、お客様にじゅうぶん伝えられないまま退職することになったという声も多く聞かれました。
これには、辞める美容師から何かネガティブな印象をお客様に伝えてしまうのではないかと、お店側がかなり警戒している様子が感じられます。お店としては、美容師に辞められる美容院だという「ブランド棄損」をしたくないから、という意識が強く働くようです。
とはいえ、結局のところは「辞めるに至るまでの経緯」による部分が大きく影響しているのは間違いないでしょう。
円満退職であれば、お客様への退職の挨拶を比較的自由にさせてもらえますが、お店ともめるなど円満でない辞め方となってしまった場合は、挨拶そのものを禁止されることが多いようです。
そのため、指名客には隙を見てお伝えするなど、きちんとした挨拶というよりは個人的な会話にとどめざるを得ない様子がうかがえます。
中には自分個人のインスタをこっそりフォローしてもらったという人もいます。ただ、同じ業界内での転職や独立をしたときには、お客様を持っていく人だと見なされ、後になってもめることもあり得ます。いくら内緒にしているつもりでも、業界が狭いのでバレがちです。トラブルになるのでやめておくのが無難でしょう。
退職の挨拶をする美容師はオーナー目線ではどう見えるか?
それでは、お店を預かるオーナーから見ると「退職の挨拶問題」はどのように捉えられているのでしょうか?インタビューの回答を御紹介いたします。
(インタビューの主な回答)
- ・辞める話を聞いたとき、辞めそうな雰囲気が出ていたスタッフの場合は「やっぱり」と思う。その場合はこちらも気持ちが冷めていてやめる日程を早めに決める
- ・負のスパイラルが起こり、店内の士気が下がらないように内々で対処し、挨拶はさせない
- ・技術やお客様の人気的に「居てほしい人材」の場合は話し合いに時間をかけて引き止めをする
- ・それでも辞める決心が強い場合は今後もその美容師と付き合えるように、挨拶させ、後任のスタイリストを紹介させたり、自身もお客様に挨拶する
- ・辞めると思っていなかった意外な人物の場合は、お店の今後の経営のため理由の確認に時間をかける
- ・何となくやめるスタッフに挨拶をさせるとお店のイメージダウンするような気がしている
- ・本来は堂々とやめる報告をこれまで支えていただいたお客様には挨拶させるのが正しいとは思うが、現実はなかなかそうできていない
- ・過去にやめる際にカルテから個人情報を勝手に利用されたり、近場にサロン出店されたり、SNSを勝手に利用され、お客様を持っていかれた経験が多く不信感が強い。なので挨拶をさせないことでお店を守る、という発想になってしまう
オーナーへのインタビューからは、美容師目線とは少し異なる回答が出てきました。
「基本的には、退職するスタッフに挨拶をさせたくない」という考えのオーナーが多いことがわかります。場の空気や関係性をコントロールする支配的な思想が多く見られますが、この考えの裏には、過去にスタッフが退職した際の苦い経験からくる「お客様の個人情報を使われる」「お客様を持っていかれる」「お店の悪い評判をまかれる」といったリスクへの恐れがあるようです。
本来であれば、堂々とお客様に挨拶させることが正しいと思いつつも、挨拶がお店のイメージダウンとなる可能性の強い美容師の場合は、なるべく挨拶はさせたくないというのがオーナーの本音だと言えるでしょう。
逆に、サロン内で圧倒的な人気を誇るスター美容師の場合は、何とかして引き止めようとしますが、それでも退職の意思が強いときは、お客様にきっちりと挨拶してもらうスタンスのようです。オーナー自身も一緒にお客様に挨拶するなど、退職後もその美容師との良好な関係を維持したいというオーナーの心理がよく表れています。
つまり、今後の店舗運営において、最もダメージの少ない選択肢を選ぶということです。オーナーとしてのリスクマネジメントの観点から考えても、これは妥当な判断なのだと理解しておく必要がありそうです。
まとめ:どういう挨拶をするか?ということよりも、在職時のお店との関係作りが大切
ここまで、
- 美容師の退職の決断のタイミング
- 美容師の退職の挨拶の具体例
- オーナー目線での「退職の挨拶」の解釈の仕方
をインタビューを交えて御紹介いたしました。
昔から、「立つ鳥跡を濁さず」「終わり良ければすべて良し」といった諺がありますが、去り際は美しくありたいものです。
お店のスタッフやお客様に、気持ちよく挨拶をして円満に退職するためには、常日頃からお店とのコミュニケーションを良好にしておく必要があります。
スムーズにお客様への挨拶を実現させているスタッフは、店への不義理がなく、指名客が多くいて、辞める理由や時期などをお店としっかりと話し合って、納得してもらえたケースに限られています。
できるだけ円満に辞めるには、卒業式・入学式シーズンの3月・4月など一般的な繁忙期を避けて、余裕を持って話を進める配慮をしたいものです。
美容室のオーナー側も、これまでにたくさんのスタッフに辞められた経験や、お客様を持っていかれていることもあります。そうした苦い経験から、なかなか退職の挨拶をさせてくれない場合も多く、100%思い通りには運ばないかもしれません。
それでも、勤めた期間の長い短いに関わらず、お世話になった職場です。どのような理由で辞めるにしても、くれぐれも後足で砂をかけるようなことをせず、最後まで感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。
美容業界は狭いです。カルテなど個人情報の持ち出しや、お客様の引き抜きなどの不義理をすると、これから同じ業界でやっていくにあたっては、いつか必ず自分にブーメランのように返ってきます。
お客様の引き抜きと同等に思われかねないSNSの交換などは控え、気持ちよく次のキャリアに向かうのが賢明です。
退職後にどこかでバッタリ会ったときに、笑顔で挨拶ができるような辞め方を意識すると良いでしょう。