美容師を退職する方法 | いつ・どう伝える?退職日まで何をする?
「今のサロンを退職することを決めた」という美容師から、以下のような悩みをよくうかがいます。
- ・いつ退職を言い出したらいいのか、分からない
- ・退職の理由をどう伝えたらいいのか、分からない
- ・退職日までどう動けばいいのか、分からない
- ・退職日まで気まずい ……etc
“美容師自体は続けて、違うサロンに転職する場合”でも、“美容師から他業種に転職する場合”でも、今のサロンを退職しなくてはいけない事実に、変わりはありません。
上記で挙げた数々の悩みは、退職する美容師が避けて通ることができない壁だと、捉えても過言ではないでしょう。
今回は、美容師が退職することを伝えるべきタイミングや、退職理由の伝え方などを、実際に退職(転職)経験を持つ元美容師・現美容師にヒアリングした情報から、導き出してみました。
※ヒアリング対象 計48人
美容師を退職する意思は、辞めたいタイミングの3~6ヶ月前には伝える
「今のサロンを退職したい」ことは、実際に退職をしたいタイミングの3ヶ月~6ヶ月前に、サロン側に伝えることが通例です。
もちろん病気や家庭の事情などで、やむを得ず急に美容師の仕事を辞めなくてはいけない場合は、例外です。
「申し訳ないかな…」と尻込みはせず、早急にサロンを退職するしかない旨を誠実に伝えましょう。
切迫した事情があるなか、「今は辞めないで!」というオーナーはいないですし、もしいたらオーナーに問題がありますので、無理に従う必要はありません。
あまりにもひどい・どうにもならない場合は、労働基準監督署(通称:労基)に、持ち込んでもいい案件でしょう。
ここで“余裕を持って6ヶ月前・遅くとも3ヶ月前までには、サロン側に退職の意思を伝えるべき”としているのは、「今の人間関係が嫌」あるいは「給料に不満がある」、「自分の時間をもっと持ちたい」など、やむを得ない理由以外の、自己都合でサロンを退職する場合です。
やむを得ない理由以外で急な退職を伝えると、現サロンと険悪になるかも?
働いているうちに分かってくることかもしれませんが、「急に退職する美容師がいても大丈夫!」なように、美容師をたくさん雇っているサロンは、ほとんどありません。
個人経営など小規模のサロンであれば、美容師1人の退職が店舗売り上げに大きく関わるかもしれないのです。
サロンオーナーは、退職で欠ける戦力をどう補うかを考え、それを美容師の退職日までに実行する必要があるので、民法に記載がある14日前までの意思表示、あるいはよく言われる1ヶ月前までの意思表示では、「正直急すぎる…」と感じます。
そんなことから、サロンとの関係性が険悪になってしまうと、退職日までの仕事がツラくなるだけです。
自分の中で退職の意思が“本当に”決まったら、すぐ目上のスタイリスト・オーナーに伝えましょう。
ちなみに、一般企業と比較すると、美容師は「退職する」と伝えてから実際の退職日までの期間が長い傾向があるのは、美容師という仕事の専門性の高さ、それによる引継ぎの難しさが関係していると思われます。
引継ぎ業務を含んだ、退職日までの美容師の働き方については、後ほど項を改めて取り上げます。
退職の理由は、ごまかさず正直に伝えること
サロンスタッフ・サロンオーナーに「退職したい」と伝えると、その理由を尋ねられることは確実です。
今のサロン、あるいは美容師の仕事自体を辞めたい理由は、人それぞれ。中には「正直に言うのが怖い…」という理由だって、あるかもしれません。
< 少し伝えにくい退職理由の例 >
- ・現サロンの方針と自分の考えがどうしても合わない
- ・単純に美容師を続けるモチベーションが無くなった
- ・今の人間関係が苦痛
- ・給料が低いと感じるが、上げていく方法に納得できない
(スタイリストにならないと上げてもらえないが、いつなれるのか見通しが立たない等)
上記以外にも、様々な退職理由があるかと思いますが、どんな理由であっても誤魔化さないことが大事です。
本当の退職理由を嘘をついて誤魔化したり、遠回しに表現しすぎると、退職日まで“本当とは少し違う理由”を貫かなくてはならず、とても働きづらいです。
また退職して時間が経って、「懐かしいから、ちょっとだけ顔を出したいな」と思った時や、「お客さんとして行きたいな」と思った時に、嘘をついて辞めていると、後ろめたくて行動できなくなります。
(※上記は退職経験を持つ人から、実際に聞いたことがある意見です。)
もちろん喧嘩になる物言いをしないよう、言い方には工夫が必要ですが、理由そのものは偽りなく伝えるようにしましょう。
退職理由によっては、改善案を積極的に考えてくれる
退職の意思があることを相談し、その理由を正直に話すと、サロン側が「辞めるしかない、それ以外の道はないのか?」と考え、積極的に動いてくれるケースが意外にも多いようです。
例えば、「手荒れが酷い」や「腰が痛い」などといった、肉体的負担が退職を決めた理由なら、その負担をできるだけ少なくできる勤務形態・環境を考えます。
それで1ヶ月ほど様子を見て、美容師を辞めなくてもよさそうと思えるレベルまで、肉体的な負担が軽減されたら、「退職を考え直してみないか?」と、提案することがあるようです。
また、労働条件(給料の低さ・労働時間の多さ・休日の少なさ等)が悪くて、今のサロンを辞め、美容業界からも離れるという美容師に対しては、「美容業界を辞める選択をすることが必ずしも、良いのではない」と話し合う傾向があります。
そこそこオーナー歴の長い美容師は、退職して他の業界へ移った美容師を、数多く見てきています。
だからこそ、新しい就職先で、別の問題に苦悩する元美容師がいることも知っているため、「退職することは簡単だし、無理に引き留めもしないけど、本当にそれで今の悩みが解決するのかな?」と、親身になって話を聞いてくれることがあるようです。
退職日までの美容師の働き方
新人アシスタントの場合、退職日までに引き継がないといけない業務は、ほとんどありません。
「どうせ辞めるから」と投げやりになることはせず、これまで通り誠実に、退職日までの業務に取り組みましょう。
退職にあたって引き継ぎ業務が大変なのは、スタイリストです。それも同サロンでの勤続年数が長いほど、やることが多くなります。
勤続年数が長いスタイリストは、自分を指定してくれるお客様だけではなく、少し手伝いに入るなどして、“顔見知り”になるお客様の数が圧倒的に多いはずです。
「自分のことを知ってくれるお客様みんなに、できるだけ自分の口から退職のご挨拶をしたい」と考えたとある美容師は、約3ヶ月前から毎日のお声がけを始めたそうです。
また、自分を指名してくれたお客様の今後のことを考え、後続スタイリストを紹介することも、大事な引継ぎ業務の1つです。
紹介する後続スタイリスト選びは、「そのお客様とコミュニケーションの相性が良さそう」なことと、「そのお客様がよくオーダーされるスタイルが得意」なことを基準にするといいです。
(美容師の仕事そのものを辞めるのではなく、転職先のサロンや独立先のサロンがある場合は、そのご案内をします。)
その他の引き継ぎ業務は、サロンの方針にきちんと従いましょう。
また、自分が退職するためにサロン全体に動きが出て、多少なりともバタバタしたり、自分の穴を埋めるスタッフの負担が増えることにも、配慮しなくてはいけません。
美容師というより、人として大切なことだと思いますが、ちょっとしたことでも「ありがとう」と口に出して伝えるようにしましょう。
「これからはお客として行ける」ように退職することが望ましい
- ・美容師を退職する意思は、3ヶ月~6ヶ月前に伝える
- ・美容師を退職する理由は正直に伝える
- ・退職日まで、できるだけ多くお客様へのご挨拶を行う
- ・自分を指定してくれたお客様に適任の後続スタイリストを紹介する
- ・後に残るサロンスタッフへの気遣いを忘れない
以上、美容師が退職する方法、ひいては円満退職へつなげるための流れについて、まとめました。
この記事で取り上げたこと以外にも、人それぞれに美容師を退職する理由、そして方法があります。
ただ、サロンオーナーとしっかり話し合いの機会を持ち、双方納得した退職時期や方法を決めることは、どんな退職ケースにも共通している最優先事項です。
逆に言うとこれさえ踏まえておけば、送別会を開いてもらって、無事に円満退職をできる可能性はグッと高まるでしょう。
色々あるかもしれませんが、やはり「今後はお客として気軽に行ける」ような、良好な関係を保ったまま別れることがベストです。
後悔のない退職は、業種を問わず次のステップへ進む自分の、エネルギーの1つとなるはずです。
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