妊娠・育児をひかえた美容師をサポートするサロンオーナーの心得
「働きやすい環境づくり」、これはどんな美容室だけでなく様々な業種においても大変重要な課題です。
特に美容室は女性スタッフが多いですから、アシスタント・スタイリストの妊娠や育児をサポートする体制づくりの優先度は、かなり高いと言えるでしょう。
では、美容師がママになっても働き続けやすい環境を作るために、サロンオーナーは何ができるのでしょうか?
自分(サロンオーナー)自身や、そのごく身近に妊娠や育児の経験が無いと、美容師が持つ産休や育休についての相談の答えに窮することがあるかもしれません。
そこで今回は、「美容師の出産や育児に対して、自分はどんなサポートをすればいいのか?」と悩んでいるサロンオーナー様向けの情報をまとめました。
オーナーは美容師の「産休・育休の開始から復帰」をスムーズに行えるように支える役割がある
多数の女性スタッフを抱えるサロンオーナーさんに話を聞いてみたところ、やはり妊娠が分かったスタッフの体調を1番に重視しており、そのうえで復帰しやすい環境を作ることに努めているようです。
美容業界に限らず、今の日本では、妊娠・出産を機に女性が専業主婦になることは稀で、産休・育休後スムーズに職場復帰できる環境が望まれています。
スタッフが「この職場では出産や育児をしにくいかも……」と不安になるような労働環境では、離職率が高くなる可能性が否めないのです。
“産休・育休にいかにスムーズに入ってもらうか、そしていかにスムーズに復帰してもらうか”を念頭に置き、打ち合わせ・シフト調整・人員確保に対応していくことが、サロンオーナーとしてやれることです。
ちなみに、女性美容師が産休・育休に入ってから、サロンに復帰するまでの期間は、半年~1年程度であることが多いです。
出産をひかえた美容師の今後の働き方や悩みについて、しっかり話し合うことが第一
スタッフから「妊娠した」と報告があったら、まずは産休・育休に向けた働き方や、今そのスタッフが抱えている不安や悩みについて、マンツーマンでしっかりと時間をとって話し合いましょう。
美容師1人1人、育児と仕事を両立する方法は異なり、それに対しオーナーが対応すべきことも変わってきます。
その美容師が希望する働き方によっては、復帰ではなく一旦退職をして、違う勤務体制のサロンへの転職を提案しなくてはいけないかもしれません。
もちろん、サロンに残ってもらうことだけが選択肢ではないことを示し、サロンに残ってもらうことを強制しないことは鉄則です。
どちらにせよ、オーナーとスタッフ間の認識のズレがないように、徹底した話し合いの場が持たれるべきでしょう。
産休・育休に向けた働き方について何を話し合うべき?
まずは、「いつから休みに入るのか?」、「いつから復帰したいと考えているのか?」を聞く必要があります。
差支えが無ければ、サロンのホームページやSNSで、スタッフがいつから休みに入るのか、アナウンスをしたほうがいいため、特に「いつから産休・育休に入るのか?」をできるだけ早く決めてもらうことは重要です。
また、勤務に関する話し合いはコンスタントに行うことが理想的です。
スタッフが産休・育休に入っている間も、最低でも1度は面談を行い、復帰の意思の確認、復帰する場合のタイミング、そして復帰する場合のシフトについて、できるだけ具体的に共有しましょう。
産休・育休明けは時短勤務がいいのか、ハーフタイムがいいのか。(基本的には、産休・育休明けにいきなりフルタイム勤務をすることは、体力的に大変厳しいです。)
そして、子どもが保育園に入ったら元のフルタイム勤務に移行するのか、家庭の時間を持つためにずっと時短勤務やハーフタイム勤務でいくのか、かなえられるかどうかは別として、美容師の希望をきちんとヒアリングしておきましょう。
産休・育休予定の美容師はどんな悩みを抱えている?
出産・育児をひかえ、子どもを身ごもりながら勤務する美容師には、悩みがあって当たり前です。
サロンのオーナーとして、妊娠中のスタッフをサポートするためには、そうした悩みもきちんと理解しておく必要があります。
- ・産休や育休の間にお客さんが離れていくのではないか
- ・自分が休む間、誰がどうサポートしてくれるのか
- ・本当に復帰できるのか
- ・身体にできるだけ負担がかからない働き方が可能かどうか …etc
実際に妊娠が分かり、産休・育休に入るまで勤務を続ける美容師からは、上記のような悩みを打ち明けられることがあるそうです。
オーナー1人の力ですべての悩みを解決できるわけではありませんが、真摯に悩みを受け止めるだけでも、スタッフは安心できます。これは、妊娠や出産に関することだけに限りませんね。
「出産や育児で休むことが後ろめたい…」という気持ちは持たなくてもいいのだと、ハッキリ示してもらえば、妊娠中のスタッフの抱える不安はきっと少なくなるはずです。
サロン全体で取り組む妊娠中の美容師のサポート
ここまでは、妊娠中の美容師に対してサロンオーナーが何をすべきか、お伝えしてきました。
しかしもちろん、妊娠中の美容師に対するすべてのサポートを、サロンオーナー1人が完遂できるわけではありません。
スタッフのうち誰かが産休・育休に安心して入ることができる環境づくりのためには、同じサロンで働くスタッフ全員の協力が必要不可欠です。(時には、系列のサロンとの協力が必要なケースもあるでしょう。)
妊娠が分かった美容師が産休に入るのは、妊娠7~9ヶ月目くらいです。
それまでの間、初期つわりや後期つわり、お腹が大きくなっていくにつれて大変になる腰痛など、妊娠中ならではの体調不良があるため、オーナーや他のスタッフがすすんで身体への負担が大きい仕事を手伝うように、周知するべきでしょう。
掃除などの雑務やシャンプーを他の誰かが代わりに担当したり、予約が混みあっていない日は優先的に早上がりしてもらったり、妊娠中のスタッフを支えるための工夫はたくさんあります。
妊娠中の美容師のサポートに入る、他の美容師への配慮も怠らないこと
決して忘れてはいけないのは、妊娠中の美容師のサポートに協力してくれる、他のスタッフへの配慮です。
産休・育休で抜ける美容師の実力があればあるほど、その穴埋めは正直大変です。「売り上げに響くのではないか?」と不安にならないわけにはいかないという、サロンオーナーさんも多いことでしょう。
だからといって、他スタッフの身体的・精神的負担を考慮せず、「とにかく頑張ろう!」と無理な労働を強いることはNGです。
他の誰かが無理なシフトで体調を崩してしまったら、よりサロンの経営はうまくいかなくなってしまいます。
産休・育休をとる妊娠中の美容師だけでなく、それに協力する全スタッフにとって、無理のない労働環境を整えることが、サロンオーナーならではの仕事です。
責任が重大ですし、頭が痛くなるほど考えなくてはいけないことが増えるかもしれませんが、こればかりは仕方がありません。
乗り越えるべき壁として、何とか前向きに捉えるほかないでしょう。
「帰ってくる場所があること」を不安を抱えた美容師に伝えてあげる
以上、出産・育児をひかえた美容師に対して、サロン側がフォローアップできることについて、お伝えしました。
妊娠中の身体的負担をできるだけ減らしながら働けるように、環境(シフト等)を整えてあげることはもちろん、心理的な負担も考慮しなくてはいけません。
そして、妊娠中の美容師が抱える心理的な負担の内容は、人によって様々です。
カリスマ的人気を誇るスタイリストであれば、「休んでいる間に自分のお客さんが離れてしまうのではないか」と気が気ではなくなることがありますし、ただでさえハードなワークを出産・育児をしながらこなせるかどうか、不安な人もいます。
サロンオーナーとして受け止めるべき悩みは様々あります。中でも最も大事なのは、出産・育児をする美容師の味方であることを伝えることです。
先にも述べましたが、必ずしも復帰を促す必要はありません。
出産・育児を機に、スタッフが退職するという道を選んだのなら、その道をきちんと応援してあげるべきです。
そして、今はやむを得ずサロンを辞めるしかないという美容師には、いずれまた美容師として再出発する道も、昔より選びやすくなっているのだと伝えてあげてください。
理由は人手不足を補うために、子育てしながらの勤務を応援する方針(ハーフタイム勤務あり、休みを取りやすい等)を持つサロンは増えてきているからです。
もしも、出産・育児にともなう働き方で深刻に思い悩むスタッフがいたら、必ずしもこのサロンではなくても、「美容師としてのアナタを必要とする場所、帰ってくる場所はあること」を伝えてみてください。
少しでも前向きに、女性スタッフが妊娠・出産・育児と美容師の仕事の両立を考えられるよう、親身になってコミュニケーションを取りましょう。
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