美容師の気になるファッションを選ぶポイント
「美容師って、オシャレな人が多い! ファッションセンスもいいし、清潔感もある!」、そんな印象をお持ちの方って多いのではないかと思います。
でも実は、美容師はおしゃれをしつつも、機能的な部分に意識を働かせていることをご存知でしょうか?
このコラムは、今美容師をしている方、これから美容師になろうとしている方、美容師のファッションを参考にしたい方に向けた内容になっております。
美容師は"汚れること前提"でファッションを選んでいる……なのにおしゃれ!
美容師の仕事というと、シャンプー・カット・カラー・パーマなど、水や液体を使うので、知らない間に服に付着してしまったり、カットした髪の毛がついてしまって取れなくなったりと、”服を汚してしまうことが前提”です。
せっかくオシャレな洋服が汚れてしまっては、台無しになってしまうので、汚れても落ちやすい・汚れにくいことを意識して洋服を選んでいます。
それでもオシャレに見えるのですから、「よほどいい服を選んでいるに違いない!」と思う方もおられるかもしれませんが、決してそういうわけではありません。
ここでは、美容師のように機能的におしゃれを楽しむ、ちょっとした洋服選びのポイントをご紹介します。
スタイリストがトップスを選ぶときに意識しているポイント
男性・女性どちらのスタイリストにも共通している、おしゃれで機能的なトップスを選ぶために意識しているポイントは、下記の3点です。
- ◆トップスの生地はサラッとしたものを好む (髪の毛の付着対策)
- ◆ワイド袖のトップスはあまり選ばない (シャンプー・カットの動きやすさ・パーマ・カラーの汚れ対策を)
- ◆トップスの色は白が使いやすい (汚れ対策)
トップスの生地はサラッとしたものに
まず、トップスの生地はサラッとした細かい綿のような素材のものを、男女問わずに美容師は好みます。なぜなら、スタイリストは、カットをする時に髪の毛が服に付着してしまいます。
しかし、サラッとした細かな生地の場合、カットした髪の毛が付着したとしても、ちょっと払っただけで、綺麗に落ちてくれます。
もし、シャツに髪の毛がたくさん付いたままのスタイリストさんにあたったら、「何だかだらしなそう、この人にヘアカットを任せても大丈夫かな……?」と不安に思ってしまう人もいるでしょう。
一流のスタイリストは、おしゃれはもちろん、周りの人からだらしなく見られないようなトップス選びの工夫をしているのです。
ワイド袖のトップスはあまり選ばない
ワイド袖のトップスは腕をまくりやすいけど、すぐに落ちてきますよね。
スタイリストの場合、ワイド袖のトップスを着ていると、シャンプー・パーマ・カラーをしている時に水や液体が袖口に付着する可能性があります。
水はまだいいですが、カラー剤などの液体となると、染み込んだ汚れがなかなか落ちないので、トップスについてしまうと大変です。
だからこそ、ワイド袖のトップスはあまり選ばず、腕を捲りやすくて動きやすい機能面を重視する方が多いです。
トップスは白色が汚れを落としやすく、清潔感があるので使いやすい
一般的な視点から言えば、「服に汚れが付いてしまうなら、濃い色のトップスを着る方がいいのでは?」と思いがちですが、スタイリストにとっては意外と白のトップスが使いやすいのです。
ちなみに、カラー剤やパーマ剤がついた場合、汚れを落とす際にハイターを利用します。 色の付いているトップスの場合、色落ちさせてしまうことになるので、ハイターなんて使いたくないと思います。
でも白いトップスなら、始めから色は付いていないので、色を抜いてしまうハイターを使っても、問題ありませんよね。こういった理由から、汚れてもいい色として白色が使いやすく、白ならではの清潔感も好まれ、よく選ばれています。
上記の他、ヘアラインを確認するときの妨げにならないよう、髪の毛の色に近いダークカラー(黒、こげ茶、ネイビーなど)のトップスは着ないようにしている方もいるようです。
女性スタイリストならではのトップスを選ぶときに気をつけていること
また、女性スタイリストだからこそ、トップスを選ぶ時に気を付けているポイントが2つあります。
- 1 サロン営業時はノースリーブを着ない
- 2 胸元が開きすぎているトップスを着ない
どちらも、清潔感を与えるために意識していることなので、清潔感のあるファッションにしたい方はご参考にしていただけるかもしれません。
清潔感を意識してノースリーブは避ける
暑い時期が来るとどうしても、ノースリーブなどの袖のない服装を着たくなりますが、美容院で働く女性スタイリストは、露出が増えると清潔感がなくなるので、あえて着ないようにしている方が多いです。
どうしてもノースリーブは二の腕がむき出しになってしまうため、年代によっては少し下品に見てしまうこともあります。 だから、様々な年代の方に対して清潔感を感じられるファッションとして、ノースリーブは避けるようにしているのです。
胸元が開きすぎているトップスも避ける
デコルテから胸元にかけて大きく開いているトップスは、開放感はあるかも知れませんが、美容院で働く女性スタイリストにとってはあまり向いていません。
ノースリーブと同様、他の人が目のやり場に困ってしまいます。
だからこそ、あまり露出の多いファッションよりは、露出の少ないファッションにすることで、居心地の良い空間を作ることができるファッションなのかもしれません!
男性スタイリストならではのトップスを選ぶときに気をつけていること
男性スタイリストは、ジャケットを羽織っている方をよく見かけると思いますが、やはりTシャツだけよりも、きちんと感が出ることが、おしゃれ面でのポイントでしょう。
ただ、だからといってガッチリした生地のジャケットだと、腕をとても動かしづらく、仕事に差し支えます。 ですから、伸縮性があって、軽く、カットした髪の毛が付いてもすぐに取れるような素材のジャケットを好んで着ている方が多いです。
コットンやポリエステルなどの生地のジャケットで目の細かいものであれば、洗濯もしやすく、毛も付着しにくいかと思います。
女性スタイリストならではのボトムを選ぶときに気をつけていること
トップスよりは汚れが付着するリスクは少ないのですが、ボトムやタイツも、美容師はおしゃれさだけではなく機能性も考えてコーディネートしています。
- ◆丈が長めのスカートが動きやすい
- ◆目の細かいタイツ(ストッキング)を着用している
丈が長めのスカートが使いやすい
女性スタイリストは、コーディネートの幅を広げるためにスカートを履くことも多いです。この場合、ミニスカートではなく、丈が長めのスカートが好まれます。
その理由は、”仕事中よく動きまわるから”です。 シャンプー台へのご案内をする時など、ミニスカートを履いて歩き回っていたら、露出を気にして思いきって動き回れないというデメリットがあります。
だからこそ動き回っても足さばきのいい、長めのスカートを履くことが多いのです。 ただ色は汚れても色を落としやすい白色にするのがオススメです!
タイツ(ストッキング)は目の細かいものにすると毛がつくにくくなる
女性スタイリストが選ぶタイツやストッキングは、できるだけ生地の目が細かくなっているものが多いです。 理由は、カットした細かい髪の毛が、タイツの中に入ってしまうのを防ぐためです。
目の粗いタイツだと、カットした髪の毛が、タイツと地肌の中にとどまってしまうことがあり、チクチクした痒みを我慢しながら仕事をしなくてはいけなくなります。 普段の生活でも、タイツの中に何かゴミが入ってしまったからといって、その辺で脱いでゴミを出すなんでことはしませんよね。
なので、最初からタイツの中に髪の毛などが入らないような、目の細かいタイツを選んで履いているわけです。
男性スタイリストならではのボトムを選ぶときに気をつけていること
男性のスタイリストが、仕事着を選ぶときに気をつけているポイントは下記の2点です。
- ◆清潔感があることをベースに、トレンドに左右されにくいパンツを選ぶ(白パンツなど)
- ◆ダメージジーンズは避ける
清潔感があることをベースに、トレンドに左右されにくいパンツを選ぶ理由
男性スタイリストに限ったことではないですが、パンツを選ぶ際にも、やはり清潔感があるかどうかがベースです。
特に、履いている方が多い白パンツは、さわやかで清潔な好印象を与えますし、流行り廃りがありません。 他人に「流行にのってなくてダサい!」と思われることなく、履けるのです。
「1着のパンツに1万円かけられるかどうか……」というくらいに、ファッションにかけられる金額がギリギリな方もいますから、できるだけ長く履ける1枚を選ぶような工夫をしています。
腰に巻いているシザーケースの色が、パンツに移らないように、当て布をするなどの対策をとっている方もいます。
ダメージジーンズは年代によってはだらしないと思われるので避ける方も
ダメージジーンズも、それそのものはカッコいいかもしれませんが、やはり人によっては”だらしない”印象を与えてしまいます。
スッキリしたシルエットで、ちょっとしたダメージ加工が施されているものなら大丈夫ですが、ダボダボで破れが大きいダメージジーンズは、やっぱりだらしない印象を与えがちです。
「実はハードなダメージジーンズが好き!」という男性もいるかと思いますが、スタイリストとして働いているときには、不快感を与えない、ちゃんとしたパンツを選んでいる場合が多いようです。
スタイリストが靴を選ぶときに意識しているポイント
男女共通で、美容室のスタイリストやアシスタントが、仕事中に履く靴を選ぶときに意識しているポイントは下記の2点です。
- ◆ブーツを履く場合、地肌の間にガムテープを仕込む
- ◆靴底が硬くない靴を好む
ブーツを履く場合、地肌の間にガムテープを仕込む人も
仕事中のスタイリストも、普段着と同様にブーツを履いています。ただ、スタイリストが履いているブーツにはちょっとした工夫がしてあります。
この工夫とは、ブーツと地肌の間にガムテープを仕込むことで、カットした髪の毛がブーツの中にバラバラと入ってこないようにすることです。
ブーツの種類によっては履き口が広く、対策無しではどんどんカットした髪の毛が入ってきてしまうことがあるので、それを防ぐためです。
靴底が硬くない靴を好む
スタイリストは、靴底が硬くない靴を選んで履いています。 これは、フロアを歩いた時にカツカツとうるさい音をたてないようにするためです。
靴底なんて、他の人から見れば見えない部分ですが、「うるさいな!」と誰かを不快な気持ちにさせないよう、見えないところまで気を配っているのです。
また、履き物の種類に関係なく、足が疲れた時に備えて、おしゃれなスニーカーを予備で置いている方も多いようです。
女性スタイリストはヒールのある靴は避ける傾向
女性スタイリストの場合、基本的にはヒールのある靴はあまり履かないことを推奨されています。
高いヒールを履いていると、カットの時に体勢が安定しにくく、万が一ハサミを持ったまま転倒してしまうと、とても危ないです。 何より、足が疲れやすいですね。
男性スタイリストはスニーカーが多い?
男性スタイリストは、スニーカーをメインで選んでいる方が多いです。 スニーカーは、革靴やブーツと比べて動きやすく、足も疲れにくいことが理由です。
また、長く履いて履きつぶすことが前提の方も多いので、経済的であることも理由の一つと言えますね。
アシスタントが洋服選びで意識したいポイント
スタイリストではなく、アシスタントは、よくポケット付きのワイドパンツを履いています。 これは、動きやすくておしゃれだということ以外に、メモやペンを入れたり、ちょっとしたゴミをサッと拾う必要があるからです。
アシスタントの仕事をするうえで便利なように、考えてボトムもコーディネートすると良いですね!
美容師がヘアスタイルで気にしていること
また、美容師は洋服だけでなく、髪型もオシャレですよね。 担当の美容師さんのヘアスタイルを見て、「こんな風にしたい!」と思うこともあるかと思います。
しかし実は、自分の好み(こだわり)だけでヘアスタイルを決めている方は意外と少なかったりするのです。
女性スタイリストの場合
女性スタイリストの場合、自分が見本になることを想定して、今のトレンドカラーやトレンドカットを試している方が多いです。
“いつも同じ髪型”にならないよう、シーズンごとにこまめにカラー等を変えています。
男性スタイリストの場合
男性スタイリストは、さわやかに見えるよう、短髪にしている方が多いです。 ロングの場合でも、きっちりひとまとめにしたり、ハットをかぶったりして、清潔感を損ねないように気を配っています。
ちなみに、「ハットをかぶったロン毛のオシャレな人=店長」みたいなイメージが強い方も多いかと思いますが、年齢が上がってきたスタイリストは白髪染めを何度行ってもどうしても出てきてしまうため、白髪を隠すためにかぶることもあります。
その他のファッションポイント
やはり、服や髪形だけでなく、ネイルにも気を遣う方もおられるかと思います。 ただロングネイルや派手なストーンをつけることはしませんが、健康的できれいに見えるような気配りは大切です。
特に、ネイルサロンが併設されている場合は、ネイルサロンの宣伝にもなりますから、きちんとしているにこしたことはありません。
また、お店によっては春・夏・秋・冬ごとに、ファッションのトレンド勉強会を行っているケースもあり、「今の季節はどんなファッションやどんなカラーが流行っているのか」ということを、把握しています。 美容室は美意識の高まる場所なので、ファッションはお客様にも他の美容師にも見られるところになります。
オシャレに見える美容師ですが、機能的にファッションを選んでおり、不快な印象を与えないかどうかなど、様々なことに気を配っているのです。 おしゃれな美容師さんの服装には、色々な考えが隠れていたわけですね。
私服で働いている他の業種の方にとっても、参考になればいいなと思います!