美容師の人間関係は良い?悪い?|サロンの実態とお悩み解決のヒントを先輩にインタビュー
組織で仕事をするにあたり、多くの人が避けられない人間関係の問題。
美容業界でも、多くのスタイリストさんやアシスタントさんが日々、人間関係にお悩みのようです。
今回はサロン業務歴5年目くらいのスタイリストさんやベテランのオーナーさんを中心に人間関係についての実態や、悩みとの向き合い方などを紹介していきます。
美容師の人間関係は複雑
まず美容業界での「職場の人間関係は良いと思いますか?」「人間関係が原因で職場を変えようと思ったことはありますか?」というアンケートをとったところ次のような結果が。
Q:職場の人間関係は良いと思いますか?
- Yes:64.3%
- No:35.7%
Q:人間関係で職場を変えようと思ったことはありますか?
- Yes:71.4%
- No:28.6%
多くの方が、いま働くサロンの人間関係が良いと思っているものの、過去も含め人間関係が原因で辞めたいと思ったことがある人も多いという興味深い結果が得られました。
人間関係の悪さを感じるのはどんな時?
次に、人間関係の悪さを感じる場面について聞いてみました。
- ・「朝、職場に着いた時の反応や雰囲気」
- ・「仕事中の忙しい時に態度や言葉がきつくなる。それがエスカレートし、互いに言い争いになる時」
- ・「全体的な雰囲気。意見の食い違いなど。」
- ・「目標に対して数字だけ渡され、取り組みに関して計画性のない発言をされる」
- ・「言いたいことが言えないと感じる時」
- ・「意思疎通ができず、各々の解釈で事を収めようとしているところを見た時」
- ・「上下間で視点が異なり対立気味になっているとき」
- ・「ヘルプ時の態度が悪い」
- ・「オーナー不在時のみ周囲につらく当たるスタッフがいる」
結果を見ると、「コミュニケーションが円滑でない」「上下関係で言いたいことが言えない・考えが違って対立する」などといった場面で、人間関係の悪さを実感されているようです。
人間関係の良さを感じる瞬間は?
逆に人間関係が良いと思う場面についても聞いてみました。
- ・「飲み会の時や、『仕事オフ』モードのとき」
- ・「お店でスタッフの誕生日のお祝いをする時など」
- ・「仲が良く同じ目標に向かっていると感じる時」
- ・「チームで仕事をしているとき」
- ・「仕事をしながら支え合えていると思う時」
- ・「意見交換ができて協力できた時」
- ・「きちんと話し合い、問題を解決できた時」
- ・「スタッフ間が信頼関係を持っていると感じた時」
- ・「価値観が一緒と感じる時」
- ・「(仕事のことでもそうでなくても)コミュニケーションをよくとれていると思う時」
- ・「先輩、後輩に関わらず、距離感が近いと感じた時」
全体的に「コミュニケーションが円滑で、チームが機能している時」という印象。
どうやら、人間関係の良し悪しは、チームやサロン内でのコミュニケーションがいかに取れているかで決まってくるようです。
人間関係の悩みとの向き合い方
現在抱えている悩み・過去にあった悩みと、悩んだときに参考にしたもの・指針にしたものについてのアンケート結果を紹介します。
人間関係についてどんな悩みがありますか・ありましたか?
- ・「少人数なのでスタッフが出す空気感が伝わりやすく難しい」
- ・「人の足を引っ張るような陰口が横行している」
- ・「先輩に言いたいことがあるけど言えない」
- ・「思っている事がうまく伝わらない・伝えるタイミングを掴めない」
- ・「価値観の違い」
- ・「部下とのコミュニケーション・教育がうまくいかない」
- ・「パワハラ上司がいた」
- ・「パワハラ。きつく言われて強制される」
- ・「店長に新しいチャレンジ協力と計画が投げやりで、なかなか話が前に進まない」
- ・「金銭トラブル」
やはりコミュニケーションについてお悩みの方が多いようです。
世代によっては上下関係が厳しく、きつい指導やパワハラなどに悩んでいたという方も。
最近はそういった上下関係に苦しんだ世代が上に立つようになり、同じ苦しみを後輩に味わわせないようにと現場を改善していくために奮闘されているようです。
人間関係の悩んだときに指針としているもの・参考にするもの
- ・「自分自身が大切にしている考え方」
- ・「自分自身に問いかける」
- ・「自分の価値観」
- ・「尊敬する人に追いつけ追い越せでそれ以外は無視」
- ・「価値観の合う先輩・尊敬できる先輩を信じていた」
- ・「オーナーの接し方、話の仕方を参考にする」
- ・「周りの意見をきく」
- ・「別の店の友達や昔働いていた先輩に聞いてもらう」
- ・「オーナーとのコミュニケーションからヒントを得る」
- ・「経験と本の知識」
- ・「自分の直感や、失敗した経験から」
悩んだ末どうするか決める際に、自分自身を指針とする方は多いようです。まずは自己分析を始めるのも良いかもしれませんね。
また、尊敬する人や目上の人を参考にするほか、他の店の友達など外部に味方を作ってみるのもいいでしょう。
まずは自分で考えてから、周囲に相談してみましょう。
人間関係に悩んだときに実践してみてほしいこと
ここで、お悩みの際に実践すると良いことを3つ挙げますので、状況に応じて試してみてください。
- 【1】相談する(できれば店長か上司)
- 【2】自分も変われないか考えてみる
- 【3】環境を変えることを視野に入れる
【1】相談する(できれば店長か上司)
悩みを一人で抱え込んでしまうのは大きなストレスとなりますので、できるだけ早く相談しましょう。
その際の相談相手は上司や店長など上の立場の人がベスト。
というのも、職場の人間関係の悩みの多くは同じ立場の同僚と話しても改善されません。
そもそも、職場のシステム自体が人間関係を悪くしているというケースもあります。
ただ、その上司や店長が苦手、関係がうまくいっていないという場合もありますよね。
そういった際は、事情を知る退職した先輩や、他のサロンに努めるお友達などに知恵を借りるのも一つの手です。
とりあえず話を聞いてもらうだけでも楽になるかもしれないので、割り切って聞いてくれる仕事と無関係な友人を頼るのもいいでしょう。
【2】自分も変われないか考えてみる
少々厳しい意見かもしれませんが、周囲や他人ばかり責めず一度自分を見つめ直してみることも大切です。
例えば、「一緒に働きやすい人はどんな人ですか?」というアンケートを実施したところこんな結果が。
Q:一緒に働きやすい人はどんな人ですか?
- ・「常に明るく、前向きな人」
- ・「明るい人」
- ・「明るい、テキパキしている人」
- ・「素直な人」
- ・「志が高い人」
- ・「一緒に物事を考え、行動してくれる人」
- ・「言った事をしっかり実行する人」
- ・「裏表のない人」
- ・「文句や陰口を言わない人」
- ・「思った事を正面から言ってくれる人」
- ・「気配りできる思いやりある人」
- ・「自分を押し付けない人」
いつも明るく、有言実行、そして誠実な人が好まれるようです。と言ってもなかなかこのような絵に描いたような素晴らしい人はいませんよね。
それでも、少しでも近づけるように、まずは明るく振る舞う、積極的に周囲に協力するなどしてみてはいかがでしょうか?
自分が変わることで周囲も変わっていくこともあるでしょう。
【3】環境を変えることを視野に入れる
どうしても環境が合わない、相談すべき上司と折が合わないなどと言う場合は、転職を視野に入れる方も多いです。
誰にも相談できない状況で悩みを抱え込み、追い詰められていると自覚されたら早めに動かれた方が良いでしょう。
ただ、「続けることで身につく人間力」があるのも事実。
美容師としてキャリアを積むなら1人きりでする仕事はほとんどありません。
環境を変えてもまた同じ壁にぶつかる可能性もなきにしもあらず。
さらに、最近は比較的就職しやすいと言われているものの、あなたを採用しようとしているサロンは、本当にあなたのことを考えてくれているかというと、皆がそういうわけではなさそうです。
人手が足りないからとりあえず誰か入れようというスタンスのサロンもあり、そう言った場合、あとあとトラブルが起きたり人間関係がうまくいかなくなったりすることも。
キャリアを積む中で何を実現したいのかはっきりさせるため、自分と向き合って、価値観や目標を洗い出してから転職に向かって動くことがおすすめです。
まとめ
美容室で働くにあたって、人間関係にお悩みの方は少なくありません。
まずは一人で抱え込まず、相談できる相手を見つけることが大切です。
最後に先輩方からのアドバイスを紹介します。
職場の人間関係に悩む美容師へのアドバイス
- ・「人間誰しも、合う合わないはあります」
- ・「自分自身と向き合う事が大切」
- ・「人は変わらないので、自分から変わる努力は必要」
- ・「他人のせい、環境のせいにする人は上には上がれません」
- ・「信頼を置ける人が1人でも職場にいるといいですね」
- ・「同じ感度・価値観の先輩を探す事が大切」
- ・「相談する勇気を持とう!」
- ・「一人で考えすぎず助けを求めて!」
- ・「みんな素晴らしい可能性をもっているので、一人一人尊重していきましょう。自分は素晴らしい、相手も素晴らしい事を忘れないで。」
厳しい意見もありますが、同じような悩みを経験してきたからこそ言えることでもあります。
ぜひ心に留め置いて、これからの働き方やキャリアについて考えてみてくださいね。