美容師を辞める7つの理由 | 辞めないための考え方
美容師は離職者が多い職業の1つなので、今まで美容師を辞めた人を聞いた、もしくは見たという人も少なくはないと思います。
実際、日本には美容師免許を持っている人が約120万人いると言われていますが、実際に美容室で働いている人は約50万人しかいないので、美容師の国家資格保有者の約41%しか美容室で働いていないというデータも出ています。
そこでこの記事では、美容師を辞めようか考えている方や、離職が多くて困っているサロンオーナー様向けに、“美容師が美容師を辞める7つの理由”を、クローズアップしてみました。
美容師が美容師を辞める7つの理由
美容学校を卒業して、美容師として働き出した人のうち、なんと半数近くの美容師が1年以内に離職・8割以上の美容師が3年以内に離職すると言われています。
社会的に、昔よりも転職が当たり前になった時代であることを踏まえたうえでも、高い離職率だと言えるのではないでしょうか。
もちろん、結婚や出産が理由の離職などもありますし、離職自体がダメという訳ではありません。
ここでは、「自分は美容師の仕事を辞めたい、他の美容師はどんな理由で美容院を辞めたのだろう?」と考える方や、「いいスタッフに長く勤めてもらいたい」とお考えのサロンオーナー様の参考に、美容師をやめてしまうネガティブな理由を取り上げます。
- 【1】人間関係がうまくいかない
- 【2】就職時に聞いていた勤務条件と違う
- 【3】スキルアップのためのレッスンをしてくれない
- 【4】勤務時間が長い
- 【5】休みが休みじゃない
- 【6】スタイリストとしてデビューできるのが遅い
- 【7】なかなか給料が上がらない
【1】人間関係がうまくいかない
美容業界に限らないことですが、人間関係がうまくいかないことで美容師を辞める人が多いです。
特にサロンでは、よほどの大規模サロンでない限り、毎日顔を合わせるスタッフが限られてきます。
ある種、”小規模サロン独特の閉鎖的な環境”において、人間関係の悪化によるストレスは、かなり大きな負担になるのです。
例えば、アシスタントがスタイリストとの間に明らかな”壁”を感じ、息苦しい思いをする日々が続き、アシスタントが辞める決断に至るケースがあります。
【2】就職時に聞いていた勤務条件と違う
本来はあってはならないことですが、サロン側が求人票に書く条件をあいまいにしたり、本当の勤務条件を書かなかったりすることがあります。
- ・給料が求人票に書かれていた額と違う
- ・週休2日と書かれていたが、実際は公休日を含めた2日だった
- ・試用期間は週休1日しか無かった …etc
就職してから上記のような勤務条件のギャップが発覚し、サロンに不信感を抱いて美容師を辞める方が多いです。
【3】スキルアップのためのレッスンをしてくれない
サロンが、スタッフの育成に力を貸してくれないことも、美容師が辞める原因の1つとして大いに考えられます。
レッスンのカリキュラムが整っておらず、自分の成長が実感できないままだと、新人美容師は将来に不安を抱きます。
だらだらと目的が分からないレッスンを受けさせるサロンからは、美容師が離れがちです。
【4】勤務時間が長い
サロンによっては、美容師の1日の勤務時間(拘束時間)が非常に長いケースがあります。
サロンの営業時間が終わってからも、お客様1人1人のカルテ作りやスタッフミーティングなど、仕事は山のようにあるため、肉体的に限界を感じて美容師を辞める人が多いです。
【5】休みが休みじゃない
美容師は休みの日であっても、カラー剤などのメーカー研修やスキルアップ研修に行かなくてはいけないケースが度々あります。
またさらに、街中でカットモデル・カラーモデルを見つけるための”モデルハント”を、休日を返上して行わざるを得ないケースもあります。
上記のような”休日返上率”の高さから、美容師の仕事が嫌になって辞めてしまうのだそうです。
【6】スタイリストとしてデビューできるのが遅い
アシスタントがスタイリストとしてデビューするまでの平均勤務年数は、およそ3年です。
このことが覚悟できているつもりでも、実際に働き出してみると、3年という期間が非常に長いものに思われ、自分が本当にスタイリストとしてデビューできるのかどうか、不安が募ります。
「練習は一生懸命しているのに、いつになったら髪を切れるようになるのかな…」という不安に耐えられず、スタイリストになることを諦めてしまう人が多いのです。
【7】なかなか給料が上がらない
サロンで働き出してから3年以内、つまりアシスタント時代の美容師の給料は、正直なところかなり低い水準にあります。
ただでさえ厳しい給料から、ウィッグ・シザー・コームなどの練習材料費用、研修参加費用などを捻出しなくてはいけないので、1人暮らしの方はかなり切り詰めた生活を、余儀なくされるのではないでしょうか。
ただ、「美容師ははじめのうちは給料が低い」ということは、大体の美容師が就職前に理解しているので、そこが1番の問題ではありません。
実際にサロンで働き出して初めて実感する、“仕事のハードさと給料の見合わなさ”に、辞める決断に至るほどの辛さを感じるようです。
同世代・異業種の友人との給料差を知り、劣等感を抱くことがあるとも考えられます。
辞めないためにサロンが、そして美容師自身が改善すべきこと
美容師の仕事は、肉体的にも精神的にもハードですが、美容師を辞める原因としては精神的な問題が多く目立ちました。
美容師を辞める決断をすることは、決して悪いことではありません。考え抜いて出した答えが「美容師を辞める」ということなら、自分の決断を信じてあげるべきでしょう。
ただできれば、すぐに美容師の夢を諦めてしまう人が減り、長く美容師として活躍する人が増えるのなら、それに越したことはありません。
「美容師がすぐに辞めてしまう」というサロンは、今できあがっているシステムに改善する余地はないのか、美容師1人1人にきちんと向き合えているのか、真剣に考え直す必要があります。
また、美容師自身も就職前・就職後のギャップがないように、入店前の面接で聞きたいことを全部聞いておく積極性が必要です。
美容師として働き出した暁には、新人だからと遠慮をしないで、気になることや少しでも不安に思うことを先輩に伝え、ストレスを軽減する工夫もするべきだと言えます。
新人美容師が夢を諦めずに、長く仕事を続けられる環境が1つでも増えることを、願っています。