「美容師を辞めるのはもったいない」の本当の意味とは?あなたの状況別に最善の選択肢を提案
「もう美容師を辞めたい」「もっと自分に合った職へ転職したい」
そういった方のために、今回は「美容師を辞めるのはもったいないのか?」というテーマで解説いたします。
結論としてはズバリ「最終的には自己判断だが、強いて言うならアシスタント時代に辞めるのはもったいない」というのが筆者の意見です。
少し長いですが、いま「美容師を辞めたくて仕方ない」という方は、将来後悔しないためにぜひ一読していただけると嬉しいです。
【この記事の内容】
・なぜ早期に辞めたくなる美容師が多いのか?
・「アシスタント時代に美容師を辞めるのはもったいない」の意味とは?
・逆に「デビュー後」なら、さっさと転職してみるのもあり
・美容師を辞めて上手くいった人・戻ってきた人の事例
・「美容師を辞めたい」とき、まず取り組むべきアクションは?
なぜ「美容師を辞めたい」と思ってしまうのか?
この記事を読まれている方の多くが「今まさに美容師を辞めたい」と考えていらっしゃるのではないでしょうか?
離職率の高さで知られる美容師ですが、その50%が1年以内に、80%が2年以内に辞めてしまうとのデータがあるほど「早期離職」の傾向が見られやすい職でもあります。
なぜ多くの美容師さんが就職から間もない段階で「辞めたい」と考えてしまうのか、主な理由を調査しました。
1、拘束時間が長すぎて辞めたい
「長時間労働が辛い」「もっとプライベートを確保したい」という理由から離職を考える美容師さんは後を絶ちません。専門学校を卒業したてのアシスタントからすれば、早朝~終電まで休みなく働く日々に、学生時代とのギャップや強いストレスを感じる方は少なくないでしょう。
とくに経験の浅い時期は業務に加え、雑務やレッスン・土日には勉強会があったりと多忙になりがちです。「過労で体力的に厳しい」という声を耳にする機会も多いです。
【実際の声】
美容師を辞めたいと思っています。想像以上に大変でした。
長時間労働が続き精神的にもきつく、現在のようなアシスタントとしての生活を何年も続けられそうにはありません。朝8時には出勤して準備を行い、営業時間中はシャンプーだけを繰り返し、閉店後は11時とか12時まで練習。
週1日の休みも練習や店舗の都合で潰れることも多いです。
(20歳 女性 / Yahoo知恵袋より)
2.接客が向いてなくて辞めたい
美容師になったものの顧客やスタッフとの会話が上手くいかず、そもそも「接客が向いていないかも……」とし、辞めたくなる方もいらっしゃいます。
お客さんはもちろん職場の人間関係も重要な職業であるためコミュニケーションが苦手・人見知りの自覚がある方は、特に立場の弱いアシスタント時代にストレスを抱えやすい仕事かもしれません。
【実際の声】
美容師アシスタントでもうすぐ2ヶ月ですが、辞めたいです。
接客が苦手で、人と関わると疲れてしまいます。美容の仕事も段々と好きじゃなくなり、もうダメだと思うようになりました。自分は内気な性格なのでスタッフ同士でも打ち解けられず、話しかけてくれる人もいるけど疲れてしまいます。
(19歳 女性 / Yahoo知恵袋より)
3.クレームが辛くて辞めたい
アシスタントさんやデビューして間もないスタイリストさんによくあるのが、激しいクレームを受けたりお客さんからの評価が悪かったりした時「自分には美容師は向いてないのでは?」と辞めたくなってしまうケースです。
一時的なものであれば時間と共にモチベーションを取り戻せますが、頻繁なクレームやミスが続くと「離職」が頭をよぎる方は少なくありません。
【実際の声】
お客様からクレーム(お直し)をくらったときに、自分は美容師向いてないなと思って辞めたくなります。
(23歳 男性 / Yahoo知恵袋より)
5月にいわゆるクレーマーのお客さんにあたってしまい、それからお客さんを担当するのが怖くなりました。
鬱病と診断され2ヶ月休職するよういわれましたが、休んでる間も会社から連絡がきたり、ほんとは元気なんじゃないかと言われたり。復帰した今も不安感・恐怖心を持って毎日働いています。夜も色々考えてしまい眠れない時がよくあります。
異動も無理なら、今すぐにでも辞めたいです…。どうしたらいいのでしょうか?
(23歳 女性 / Yahoo知恵袋より)
美容師を辞めるのはもったいない=アシスタント時代に辞めるべきでない
「美容師を辞めたい」と考えた時、多くの方によぎるのが「辞めるなんてもったいない」という言葉ではないでしょうか。実際にオーナーや先輩、ご家族へ相談し「もったいないよ」と離職を引き留められた方もいらっしゃるかもしれません。
「美容師を辞めるのはもったいないのか?」という問いに対する、筆者の考えは「最終的には自己判断。けれどアシスタント時代に辞めるのはもったいない」というのが、長年多くの美容師さんを見てきて思う”本音”です。
モヤッとされた現役アシスタントさんは、まず以下の4つの理由を読んでみてください。
【アシスタント時代に美容師を辞めてほしくない理由】
1.転職後に後悔しても選択肢がない
2.「デビュー前に辞めた」事実が、面接に不利に働く
3.「デビューまで頑張れなかった」事実を一生背負うことになる
4.デビューすれば見える世界が変わる
1.転職後に後悔しても、選択肢がない
1つ目の理由は、万一転職後に「仕事が辛い」「美容師業の方が良かった」と思ったとき、次の選択肢がなく手詰まりになってしまうからです。
アシスタント時代に辞めてしまえば、美容師に戻る場合も1からキャリアを積み直すことになります。また改めて異業種へ転職する場合も、すでに短期の転職歴が2回刻まれている事実が残ってしまいます。
「たとえ転職が上手くいかなくても、美容師に戻ってくる可能性だけは絶対ない」今そう考えられているアシスタントさんであっても、せめてデビューまでは継続した方が「将来の選択肢を確保するため」に望ましいと思います。
【アシスタント時代に辞めた美容師さんの声】
もう一度、美容師を目指そうか葛藤している最中です。
アシスタントとして働いていた当時は辛くて仕方なく、仕事が終わってしばらくすると、勝手に涙が出てきて泣いているような日々でした。今思えば、スパルタ過ぎるサロンに勤めていていたのも辞めた要因のひとつです。数年間は「もう二度と美容師になることはない」と思っていました。
3年経って今24歳ですが、技術を磨いて活躍している同級生を見たり、独立した美容室に足を運びオーナーの方とお話ししていると、憧れていた当時の気持ちが蘇ってきています。
すごく嫌な思いをしたのに「出来ることならまたやりたい」という気持ちが起こってしまいます。
(24歳 女性 / Yahoo知恵袋より)
2.「デビュー前に辞めた」事実が、面接に不利に働く
先述した「アシスタント時代に辞めると仕事の選択肢が狭まる」ことに関連しますが、仮に異業種へ転職するとしても「美容師として施術できるAさん」と「施術できないBさん」では、就職できる仕事の幅が異なります。
デビュー後であれば「美容の専門家」として就活に臨めますが、アシスタントではその武器は使えません。むしろ「デビュー前に辞めてしまった」という肩書きが、面接官からの印象を悪くしてしまうリスクさえあります。
3.「デビューまで頑張れなかった」事実を一生背負うことになる
・せっかく専門学校までいったのに
・高い学費を親に払ってもらったのに
・他の同期はみなデビューまで頑張っていたのに
「自分はアシスタント時代に辞めてしまった」というコンプレックスが、あなたの中に残ってしまうのではないかという懸念もあります。
いま美容師を辞めないことは、5年後10年後の自分や自尊心を守ることにも繋がるのではないかと思います。
4.デビューすれば見える世界が変わる
アシスタントで「辛い」「辞めたい」と思っている方に一番伝えたいのが「アシスタント時代が一番つらい」ということです。
もちろん独り立ち後も苦労はありますが、拘束時間の長さや雑用の多さ・給与の低さなど、体力的・労働条件的にもっとも過酷なのが「現在」です。
スタイリストになりカットを覚え、できる仕事が増え、お客さんにも感謝されるようになれば、いまと見える世界は180度変わります。厳しい上下関係も軽減されるでしょう。多くの先輩スタイリストが口をそろえて「今、辞めるのはもったいない」というのは、自分もあなたと同じ経験をしてきたからです。
もし今の状態だけを見て「辞めたい」と思っている方は、長期を見据えて本当に辞めるべきかを検討して欲しいと思います。
デビュー後でも「辞めたい」なら、一度思い切って転職もあり
「アシスタント時代に辞めるのはもったいない」と述べましたが、スタイリストとしてデビューし、お客さんのカットを担当するようになっても「辞めたい」と思ってしまう。
その場合、筆者は「一度美容師を辞めて、異業種へ転職してみる」のもアリだと考えています。
理由としては
・アシスタントと違い、美容師に戻ること(就活含め)が容易だから。
・美容師に戻る際、一から下積みを経験しなくていいから。
・異業種への転職時、面接官から評価を得やすいから。
といった点が挙げられます。
逆にスタイリストになってまで「異業種へ転職したい」という思いが捨てられない場合、一度別の世界を経験するまで、その思いはいつまでも諦めきれないでしょう。
転職先が良ければそのまま続ければ良いですし、仮に相性が悪くても「美容師に戻る」あるいは「美容師の知識技術を活かした別職種(美容室のディーラーやカラーリストなど)へ再挑戦する」といった選択があるため安心なのです。
実際、美容師を辞めて異業種へ転職した方の例を見てみましょう。
【事例1】美容師を辞めて、別の世界で活躍するスタイリスト
■美容師歴4年目 24歳 男性 (美容メーカーへ転職)
美容師歴4年のカラーリストです。美容関連の仕事は好きですが、「接客よりも美容商品に関わる仕事がしたい」という思いが強く、思い切って美容品のメーカーへ転職しました。
すると運良く美容の知識・経験が買われ、2年目から美容のインストラクターを任せてもらえることに。いまではインストラクターを取りまとめる「教育部長」へ就任し、やりがいをもって働けています。
美容師からメーカーへ就職することは簡単ではありませんが、スタイリストの現場経験や知識を活かして働けるため、結果として重宝されました。僕自身は「美容師」の経験を積んでから、今の職場へ就職して良かったなと思っています。
【事例2】別の世界を経験し、美容師に戻ってきたスタイリスト
■美容師歴7年目 29歳男性(大手自動車メーカーのグループ企業へ転職)
学生時代から「美容師になりたい」という思いを抱える一方、「自動車が好き」という気持ちがありました。スタイリストになって5年目、自分でも一通りの業務がこなせるようになったとき、ふと「自分の好きな車に関わる仕事をしてみたい」という思いが。
一度の人生ですし、後悔したくなかったので美容師を辞め、自動車メーカーの営業職へ転職しました。
しかし実際に働いてみると、営業経験0からスタートしたのは部署で僕だけ。業務では覚えることも多く、周囲の先輩はみな年下ばかりと、前職で感じたことの無い「難しさ」や「劣等感」を味わいました。
結局「自動車は好きだが、仕事にするのは向いていなかった」と転職して1年半後に美容師へと戻りました。一度、転職をしたことで、あらためて美容師が自分にとって”天職”だと実感できたので、いい経験だったと思っています。
このように、スタイリストまで経験を積んでから転職すれば、複数の選択肢から自分のキャリアを選択できるため、仕事選びもチャレンジしやすいのです。
「スタイリストの経験や資格を活かして働ける、おすすめの転職先」については以下の記事で紹介しています。
→ 美容師免許でできる仕事11選 | 資格必須の職業からスキルを活かせる働き方まで
今すぐ「美容師を辞めたい」人がすべきアクション
ここまで「美容師を辞めても大丈夫な人」「辞めるのはもったいない人」という括りでお話ししましたが、最終的に判断をするのはあなた自身です。
自身の選択を後悔しないため「美容師を辞める」際に取り組んで欲しい3つのアクションをご紹介します。
1.冷静に「なぜ美容師を辞めたいか」を列挙する。
2.他のサロンへ転職すれば、解決されないか考えてみる。
3.働きながら転職活動をしてみるのもあり
1.冷静に「なぜ美容師を辞めたいか」を列挙する。
まずは「美容師を辞めたい理由」を、紙に書き出すなどして自身の中で明確にしましょう。辞めたい理由を整理することで、本当に美容師を辞めるべきなのかや、次の転職先をどういう条件で選ぶべきかが判断しやすくなるためです。
例えば辞めたい理由が「拘束時間が長すぎるから」「給与が安すぎるから」等である場合、アシスタント時代さえ乗り越えれば解決される悩みかもしれません。
「衝動的に辞めて後悔する」ことを避けるために、是非取り組んで欲しいアクションです。
2.他のサロンへ転職すれば、解決されないか考えてみる。
「美容師を辞めたい理由」を列挙できたら「別のサロンへ移れば解消されないか」を検討してみましょう。
・拘束時間が長すぎる
・給与が安すぎる
・人間関係が辛い
・営業活動が辛い
・精神的に辛い、毎日緊張している
こういった離職理由であれば美容師そのものを辞めなくても、条件や立地・風土の違う別のサロンへ移動することで解決できる場合が多いです。
「美容師自体の仕事が向いていない」という方も、周囲の環境や客層がガラリと変わることで、いまのストレスが軽減される可能性があります。
完全にハサミを置く前に、一度「自分が活き活きと働けるサロンを探してみる」という選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。
【おすすめ記事】美容師必見「就職先の失敗しない選び方」を役職別・8つのチェック項目で解説
3.働きながら転職活動をしてみるのもあり
「忙しすぎて転職活動どころではない」という方は多いと思います。しかし完全に辞めてしまう前に、まずは今の職場を続けながら異業種の説明会や面接を受けてみる、あるいは別のサロンについて情報収集をおこなってみるのがおすすめです。
「美容師を辞めたい」というモヤモヤを払拭するには、実際に転職活動を通じて外の世界を見てみるのが一番の解決策だからです。魅力的な就職先があれば思い切って美容師を辞めるのも手ですし、今より働きやすそうなサロンが見つかれば最高です。
もし就活が上手くいかなくても、今の職場でコツコツとキャリアを積み重ねるという選択肢が残っているため、辞めて後悔する心配もありません。
今すぐに転職する、ではなく1年後、2年後を見据えて準備を進めておくことで、気持ち的にも安定して今の仕事に取り組めるはずです。
まとめ
今回は「美容師を辞めるのはもったいない」というテーマについて、これまで多くの美容師さんを見てきた筆者の経験をもとに語らせていただきました。
本文で述べた通り「デビューするまでは辞めずに続けてほしい」というのが本音ですが、最終的に辞める・辞めないの判断をされるのはご自身です。そしてもちろん、美容師という仕事をきっぱり辞めて、別の職種で活躍されている方もいらっしゃいます。
今まさに「美容師を辞めたい」と悩んでいる方は、ぜひ長期的な視点をもって、自分が胸をはって「後悔しない」といえる決断をしてください。本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
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