美容師のバックレを経験した美容室は33%!バックレは法的リスクあり、リスクが無い辞め方
美容師として働いていると、「どうしても今の働き方が苦しい」、「人間関係についてずっと悩んでいる」、「体力的にも精神的にもこれ以上続けるのは難しい」と感じている方もいるのではないでしょうか。
いろいろな職場があるので、一概には言えませんが働くのがかなり大変な美容室もあります。
中には、バックレようかと考えている方もいるかもしれません。
この記事では、美容室のオーナーと現役美容師に聞いたホンネとリアルな声を紹介します。
<記事の内容>
- ・意外に多いバックレてやめる美容師
- ・バックレると法律的にどうなるのか、お給料はもらえるのか
- ・バックレることは他の美容室に転職する観点から絶対に避けたほうが良い
- ・退職の意思の伝え方
- ・美容室を転職するタイミング
- ・誠実に受け止めてもらえなかったときの対処法
美容師のバックレを33%の美容室が経験しているという事実
美容室のオーナー33名にアンケートを取ったところ、11名の方がバックレて辞めてしまったスタッフがいるという結果がでました。
美容室業界では、バックレが多いというのもうなづける数字ではないでしょうか。
長時間労働や肉体的な疲労、人間関係など美容室を辞める理由は人それぞれ異なります。
しかし、バックレて辞めてしまうとその後の転職が不利になったり、最悪の場合、損害賠償を請求されるということもあります。
身体的にも精神的にも追い込まれていると、判断がつかない場合がありますが、バックレて辞めることはできる限り避けたほうが良いです。その理由を説明します。
バックレた美容師の法律的な扱い、お給料は受け取れる
美容室をバックレて辞めると親御さんや捜索願いの連絡が
突然、従業員が美容室に来なくなってしまった場合、普通なら心配されて美容室から連絡がきます。
それでも連絡が取れないと、親御さんなどに連絡をすることもあります。何の連絡もなく職場に来ないと上司や美容室としては「何か事故にあったのではないか?」、「自宅で倒れているのではないか?」と不安になります。
事実として、突然来なくなったスタッフがいるほとんどの美容室が心配をして次のような行動を取ります。
- ・本人の携帯電話や家に連絡する
- ・親御さんへ連絡して、退職の手続きを取る
- ・社会保険労務士へ相談する
親御さんに連絡をしたのに、さらに連絡を取れない状態が続けば、警察へ捜索願いを出されることもあります。
バックレて辞めると損害賠償請求されるリスクも一応ある
特に心配されることとして、法律的な観点からお店の損害の補償を求められることがあげられるかもしれません。
ですが、損害賠償請求をされることは滅多にありません。
実際に損害賠償請求が認められるには、従業員がバックレたことによって、損害が出たことの証明ができる場合のみだからです。
ただし、損害賠償請求が認められると高額な費用になることもあります。リスクがあるということだけは認識しておいたほうが良いです。
バックレて辞めても働いた分のお給料を受け取る権利はある
雇用している美容室は、従業員が働いた分だけお給料を支払う義務があります。ですので、バックレて辞めたからといって、働いた分のお給料がもらえなくなることはありません。
しかし、お給料の支払い方法は決まっていません。手渡しでお給料を渡される場合は、受け取りに行く必要があります。「連絡が取れなくなり、その後給料だけ取りに来た」美容師がいたという美容室のオーナーさんもいます。
また、バックレた場合、無断欠勤となって有給休暇の取得扱いにはなりません。無断欠勤した分のお給料はもらえません。そして、退職金があったとしても、受給できる条件から外れることになります。退職金を受け取れなくなることを理解しておきましょう。
転職の観点から美容室をバックレるのは避けたほうが良い!
美容室側に辞めたいことを伝えても、なかなか受け入れてもらえない場合、バックレてしまおうと考えることもあるでしょう。
しかし、美容室の経営者同士ではつながりがあります。
美容室の経営者33人にアンケートを取ったところ、何かしら経営者同士のつながりがあると答えたのは31人でした。90%以上もの経営者が他の経営者とつながっていることになります。どのようなつながりか質問したところ、下記のような回答がありました。
- ・美容学校時代に同級生だった
- ・就職後のサロンや同じ職場で働いていた
- ・同じ地域の経営者同士で交流がある
- ・セミナーや勉強会の仲間
- ・SNSで知り合った
他の美容室に転職を考えるなら、悪い噂が広まってしまうことも考えられます。
今後の就職に影響を与える可能性があるので、美容室に無断で辞めることは避けたほうが良いです。
さらにバックレて辞めてしまうと、懲戒解雇という扱いにされることがあります。
懲戒解雇とは、どこか問題のある社員として今後見られるということです。転職活動で懲戒解雇ということがわかるとまず採用されなくなります。懲戒解雇されたことを隠して採用されても、わかると経歴詐称で解雇される理由になります。
このように様々なリスクがあるので、バックレだけは辞めましょう。
誠実に伝えて退職するのが望ましいです。
退職の意思は前もって誠実に伝える。引き継ぎも怠らない
そもそも「美容室に向かうことがつらい」、「身体の調子が良くない」ということでしたら、身体を休めることをおすすめします。
状況が悪くなる前に、先輩や店長などに相談して少し休みを取りましょう。肉体的、精神的にしんどいようであれば、医療機関を受診することを検討してみてください。
その上で辞めるなら、誠実に退職の意思を伝えます。
美容室の経営者やオーナーに退職の伝えることについて聞いたところ、以下の回答がありました。
<スタッフさんが退社される際、どのように伝えて欲しいですか?>
- ・事前に明確な理由を話して欲しい
- ・スタイリストの場合、3ヵ月くらい余裕を持って伝えて欲しい
- ・お客様にも辞めることをきちんとお伝えするなど
以上から、美容室を退職したいときは
- ・事前に相談をしてみる
- ・明確に辞めたい理由を伝える
- ・お客様にも伝えて引き継ぎできる
ようにしましょう。
ただ、法律上は2週間前に退職の意思を示せば、辞めることができます。
しかし、就業規則で1ヶ月や3ヶ月前に退職の意思を伝えるように決めている美容室もあります。
円満に退社するのを目指すのであれば、
- ・1ヶ月~3ヶ月くらい前もって伝える
- ・最後まで責任を持って楽しく働く
- ・辞めたあとにお客様として来店する
などを意識して、伝えると良いです。
美容室を辞めるときは繁忙期を避け期間に余裕を持つ
また、美容室を辞めるときのポイントについて伝えるうえで気を付けたことをアンケートしました。回答したのは、過去に転職経験のあるアシスタントやスタイリストなど20代の若手美容師35人です。
<辞めることを伝えるときに気を付けたことはありますか?>
- ・1年余裕を持って伝えた
- ・店外でオーナーに伝えた
- ・辞める理由を正直に話した
- ・先輩に話してワンクッション置いた
- ・年末などの繁忙期を避けた
中には、「オーナーの奥さんに何度か相談して、最後はオーナーに直接話した」という回答がありました。美容室を円滑に退職するときには、以下のポイントに気を付けると話を進めやすいです。
- ・退職までの期間に余裕を持つ
- ・仲の良い先輩などに伝える人を選ぶ
- ・繁忙期などのタイミングを避ける
- ・辞めたいと思う理由を正直に話す
誠実に伝えて受け止めてもらえなかったときの対処法3つ
最後に、退職の意思を誠実に伝えても話が進まないときの対処法を紹介します。
転職経験のある若手美容師へのアンケートでは、35人のうち退職を伝えたことで、誠実に受け止めてもらえたという人が33人いました。
回答内容は、
- ・受け止めてくれた
- ・独立の意思を応援してくれた
- ・引き止めようと改善案を提案してくれた
という声がほとんどです。
なかには、「次の転職先をどうするか考えてくれた」という回答や「理解して頂き、仕事がない時は違う店舗で仕事をもらえた」と回答する美容師さんもいました。
きちんと退職の意思を伝えた場合、受け止めてもらえることが普通です。
しかし、「辞めることを伝えたところ罵倒された」、「店長だったので辞めにくい状況を作られていた」という回答もありました。
このように退職の意思を伝えたのに、手続きが全然進まないことや、不利な条件を出してくるということもあります。
そのような美容室はまともな経営をしていないと考えられますので、次の対処法を取ると良いです。
内容証明郵便で退職届けを送付して辞める
内容証明郵便とは誰から誰あてにいつ、どのような文書を差し出したか郵便局が証明してくれる制度です。
退職の意思は口頭で伝えることもできますが、口頭で伝えると証拠が残らないため、後になって揉める可能性があります。
退職したいと伝えても、美容室が聞き入れてくれない場合や有給休暇を取得できない場合、内容証明郵便で伝えることが可能です。
美容室から郵送で退職届けを出すように言われたときや、円満退職できないと判断したときには、内容証明郵便で退職届けを出して手続きを進めましょう。
退職代行を利用して辞める
退職代行とは、退職するための手続きや美容室とのやりとりを代行会社が行ってくれるサービスです。
有給休暇の取得、お給料の受け取りなどの交渉を自分に代わってやってくれます。退職を言いだせない、上司と顔を合わせたくないなど事情があれば、利用しても良いかもしれません。
退職代行では、利用料金がかかります。3万円~5万円くらいが相場料金です。
労働監督基準署へ相談する
辞めるときに不当な条件を言われた場合、労働監督基準署に相談すると会社に勧告してもらえることがあります。
有給休暇を取得できない、辞めるまでに何ヶ月もかかる、損害賠償を請求するなど、美容室側が話してきた場合、労働監督基準署に相談しましょう。
退職をサポートしてくれるわけではありませんが、美容室側の行いが改善されることがあります。
まとめ
美容室をバックレて辞めることについて、サロンオーナーの声や法律、転職リスク、退職の方法について解説しました。
精神的にしんどかったり、肉体的に限界の場合、バックレようかと考えてしまうかもしれません。
しかし、様々なリスクが発生するのでバックレは辞めましょう。
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