美容師必見「就職先の失敗しない選び方」を役職別・8つのチェック項目で解説
「就職してみたら、想像と違っていた」「なぜか転職を繰り返してしまう」という美容師さんへ。今回は案外知らない「失敗しない就職先サロンの選び方」をテーマに「役職別に異なる、サロン選びの条件の違い」や「給与だけにとらわれない、サロン選びで重視するポイント」などを、詳しく解説いたします。
最後には「サロン選びで見るべき8つのチェック項目」もご紹介しますので、あなたの就職に役立てていただければ嬉しいです。
なぜ多くの美容師が「就職先選び」で失敗するのか?
1年目の離職率が約50%、3年目で約80%といわれるほど、離職率が高いといわれる美容師という職業。その要因の1つとして「美容師とサロンとのミスマッチ」が挙げられます。
仕事をやめたいのですが、上司に「今自分が見てる後輩を育てあげてから辞めなさい」といわれ、辞められそうにありません・・・。正直今の店ではモチベーションがあがらず「あと3年」と言われ、精神的にもつらいです。
(9年目スタイリスト Yahoo知恵袋より)
「スタイリストとして雇う」と言われたにも関わらず「技術レベルが低すぎる」と言われ、新卒たちと一緒の教育スケジュールを組まれています。給料も、最初聞いていたものより2万ほど少なくて、辞めたいと思っています。
(5年目スタイリスト Yahoo知恵袋より)
こういった「サロンを辞めたい」という不満は、多くが「そもそも就職時に自分に合ったサロンを選べていない」ことに起因しています。
「就職先選びで失敗する主な要因」としては
- ・給与や福利厚生など、待遇面ばかりを重視して選ぶから
- ・自分のビジョンを明確にしていないから(現状だけを見て判断してしまう)
- ・面接当日までサロンへ足を運ばず、WEBの情報だけで判断するから
といったものが挙げられるでしょう。
自分に合ったサロンを選ぶためには、サロンのリサーチ以前に「自身が将来的に美容師としてどんなキャリアを歩みたいのか・どういった生き方をしたいか」を明らかにする必要があります。そのビジョンから逆算して、必要な要素を備えたサロンをふるいにかけていくのが、失敗しないサロン選びの方法です。
例えば「20代の間にバリバリ経験を積んで、30歳くらいで独立したい」と思っている若手美容師が「給与がいいから」という理由で、新規のお客様が少ない地域密着の小規模サロンに入るのは明らかなミスマッチですよね。
しかし多くの美容師は就職先を選ぶ際、まず給与や年間の休日数・福利厚生を確認し、目星をつけた会社の中で、通いやすさや店の雰囲気が好みのところに応募する、といった流れで進めてしまうため、ミスマッチが発生してしまうのです。
実は重要な「勤務地を重視してサロンを選ぶ」という視点
サロン選びで、実は軽視できない条件が「勤務地」です。
・通勤時間
・地域の特徴(都市部・地方・住宅街など)
この2点の選択を誤ると、通勤や客層へのストレスがたまり、勤続が辛くなってしまうケースが多い為です。
勤務地選びで失敗した例①
給与と福利厚生の良さで、自宅から1時間半のサロンに就職した美容師A子さん。就職時は「このくらいなら通えそう」と思っていたものの、実際働き出すと、夜遅くまで働いた後の1時間半の道のりが、苦痛でたまらなく感じるように。仕事で嫌なことがあった帰り道などは、余計に早く家に帰れないことがストレスです。
勤務地選びで失敗した例②
20代前半のjrスタイリストB太さんは、知人の紹介で住宅街にある個人経営のサロンへ就職することに。将来のために同世代の顧客を取っていきたかったのですが、新規の流入が少ない上、顧客の年齢層も30代後半~50代が中心で、思い通りの働き方ができていません。まだ就職して半年ですが、将来への焦りから転職を考えています。
上記の様な「エリア選択」によるミスマッチを引き起こさないためには、先述のとおり「自分のなりたい美容師像や、将来的にどのエリアで美容師を続けたいのか」を検討してから、サロンを選ぶことが重要です。
【美容師の役職別】サロン選びで重視すべき「3つの条件」
サロンを選ぶ際に重視すべき「条件」は、美容師の役職や経験年数によって異なると考えています。JOBOONが提案する、役職別に気を付けたいサロン選びの3条件をご紹介します。
【3つの役職】
・ベテランスタイリスト
・若手スタイリスト(経験3~5年目)
・Jr.スタイリスト(経験1~2年目)
「ベテランスタイリスト」が就職先選びで重視すべき条件
顧客数がそれなりに多い「ベテランスタイリスト」であれば、どこかのタイミングで「自身で開業する」もしくは「面貸し・業務委託として働く」の、いずれかを選択をする場合が多いと思います。
後者の場合、最も大切なのは「自身の顧客(もしくはターゲットとしたい顧客層)が、自分の働く店舗へ通いやすいか?」です。以前、働いていたエリアから離れすぎれば顧客はついてきづらいですし、駅からのアクセスも重要でしょう。
また「顧客の満足度を上げる」「自身のブランディングを高める」という観点から「サロンの雰囲気」も、大切にしたいポイントです。
以上よりベテランスタイリストは「①勤務地」「②店の雰囲気」「③報酬の比率」の3つの条件を重視して、サロンを選ぶのがおすすめです。
「若手スタイリスト」が就職先選びで重視すべき条件
デビューから3~5年目の「若手スタイリスト」であれば、技術にそれほど自信があるわけでもなく、指名客もまだ多いとは言えない、という美容師さんが多いのではないでしょうか。
この時期はとにかく多くの施術をこなし、技術力を伸ばしたいと推測できるため、なるべく繁華街などで集客力のあるサロンが良いのではないかと思います。そしてサロン自体のスタッフ数が多すぎると、自身があたれる顧客数も少なくなってしまうため、サロン規模は大きくも小さくもない、5~6名程の中規模サロンがおすすめです。
また将来に向け顧客を獲得していきたいのであれば、自身が「将来、自分のお客さんとなってほしい層」が多く集まるような、エリアや雰囲気の店舗を選ぶことが重要です。
例えばあなたが20代前半で「同世代の指名客をつくりたい」なら、若者の集まるエリアや雰囲気のサロンがいいでしょうし「年上のちょっとエグゼクティブな層」を獲得したいなら、落ち着いた雰囲気の高級感のあるサロンの方が、理想の顧客に接客しやすいでしょう。
よって「若手スタイリスト」におすすめしたいサロン選びの条件は「①勤務地」「②規模・スタッフ数」「③給与」の3つです。
「Jr.スタイリスト」が就職先選びで重視すべき条件
スタイリストになって間もない、経験1~2年目の「Jr.スタイリスト」であれば、客数もこなしたいものの不安も大きい、というのが本音かと思います。そのため「教育体制」がしっかりしていて、かつ「集客力はあるものの回転率はそこまで高くなく、顧客にしっかりと時間が割ける」サロンがおすすめとなります。
都市部のエリアにある大規模なサロン(そこまで担当数が多くないが若者を接客できる)や、地域密着で少しゆったりと働けるようなサロンで、まずは経験を着実に積むのはいかがでしょうか。
間違ってもこの時期に「給与」を重視して選ぶのは、ミスマッチの要因となるため避けるのが無難です。
以上の理由より「Jr.スタイリスト」が就職先選びで重視すべき条件は「①教育体制」「②勤務地」「③サロンの雰囲気」の3つとなります。
同じ「勤務地」であっても、ベテラン層であれば「顧客の通いやすさ」を、中堅層までであれば「希望する新規客の流入が多いエリアか」を重視すべきなど、背景はやや異なります。
サロン選びで悩んでいる方は、1つの例として参考にしていただければ幸いです。
「サロン選びに成功」するための8つのチェック項目
最後に、美容師さんに就職先のサロンを選ぶ前に「必ずチェックしてほしい8つの項目」をご紹介します。サロンを選ぶ際は、ぜひこのチェックリストを活用して「本当に公開しない店舗選びができているか?」を確認してみてください。
【8つのチェック項目】
1.「美容師としてのビジョン」が自分の中で明確になっているか?
2.「転職の目的・ゴール」が自分の中で明確になっているか?
3.自分が(たとえクタクタな日でも)無理なく通える勤務距離か?
4.働いている美容師・お客さんの年齢層は自分にとって適切か?
5.サロンの雰囲気(高級感のある・地域密着型など)は自分と合っているか?
6.休日や残業など「労働時間」に無理がないか?
7.集客数やサロンの規模に、理想との不一致はないか?
8.面接前、実際にサロンへ足を運んだか?
それぞれの内容について、改めて詳しくみていきましょう。
1.「美容師としてのビジョン」が自分の中で明確になっているか?
あなたが将来的に「美容師としてどんなライフスタイルを歩みたいのか」が明確になれば、給与など目の前の条件にとらわれず、長期的な視点で「自分に合うサロン」選択ができます。
・家庭と両立しながら、自分のペースでゆったり美容師を続けたい
・都心の有名店でコンテスト等にも出場し、知名度のあるトップスタイリストになりたい
・地元の街で、自身とスタッフ数名の小規模サロンを経営したい
など、まずは「美容師としてのビジョン」を考えてみましょう。
2.「転職の目的・ゴール」が自分の中で明確になっているか?
ビジョンが決まったら、そこから逆算して「自分がどんなサロンで働くべきか」「どんな要素が必要か」を考えます。
例えば「3年後の独立のため、短期的に集中してバリバリ働きたい」を目的にする就職と、「無理のないペースで長く勤めたい」を目的とする就職とであれば、選ぶサロンの種類は全く異なるはずです。
「今回の転職で、自分が得たいゴールは何だろう」という視点から、合致したサロンを選びます。
3. 自分が(たとえクタクタな日でも)無理なく通える勤務距離か?
通勤時間や駅からの徒歩時間が長いと、不要な面で日々の業務に悪影響を及ぼします。
「クタクタに疲れ切った日でも無理なく帰れる距離か?」をベースに、サロンの勤務距離をあらためて検討します。
4. 働いている美容師・お客さんの年齢層は自分にとって適切か?
職場の人間関係が円滑だと、ストレスなく日々の業務に集中できます。このとき「周囲は20代前半の子ばかりなのに、自分だけ30代後半」「自分だけ20代で、他スタッフは子どものいる主婦さんばかり」といった環境に飛び込むと、話題が合わない・打ち解けるのが難しいといったことが起こってしまいます。これは顧客の年齢でも同様です。
自身と同世代のスタッフ・顧客層がいるかも、よく確認しておきましょう。
5. サロンの雰囲気(高級感のある・地域密着型など)は自分と合っているか?
サロンの雰囲気やコンセプトが、あなた自身の雰囲気や趣向に合致していると、その後の働き方がずっとスムーズになります。普段のファッションを無理に変える必要もなく、顧客層も自然とあなたと相性の良い方が中心になるためです。
・トレンド感のある都会的な雰囲気のサロン
・落ち着きのあるクラッシックな雰囲気のサロン
・地域密着のカジュアルな雰囲気のサロン
など、自分にどんなテイストが合うのか、客観的に見直してみましょう。
6. 休日や残業など「労働時間」に無理がないか?
「働いてみたら、休日が定休日(月に4日)だけだった」「20時定時と言われていたが、実際は後輩指導や掃除で、23時をまわることもザラ」といったケースは非常に多いです。
面接時に確認するのはもちろん「自分が無理なく働ける日数・労働時間はどのくらいか」も、よく考えてサロンを選びます。
7. 集客数やサロンの規模に、理想との不一致はないか?
・新規顧客を沢山担当したい
・経験を積むため、集客に強いサロンがいい
・回転率の高くない、顧客に向き合えるサロンで働きたい
といった具合に、希望する顧客の層や数に応じて、サロンを選ぶ視点も重要です。「2. 転職の目的・ゴール」と照らし合わせて検討します。
8. 面接前、実際にサロンへ足を運んだか?
サロン選びで失敗する原因に「面接当日まで、サロンを実際に見に行っていない」ことが挙げられます。WEB上のデータだけで判断し、就職してみて「思っていたのと違う」というミスマッチ……とても勿体ないですよね。
「仮入店」できる店舗ならお願いし、難しいサロンであればお客さんとして利用してみるのがおすすめです。実際に施術を受けてみるだけでも、サロンの雰囲気や人間関係・教育体制などを感じ取ることができます。
まとめ
今回は「失敗しない就職先サロンの選び方」というテーマで、美容師さんに知ってほしいサロン選びの条件や事前のチェック項目などをご紹介しました。
就職はあなたの美容師人生を左右する、大きな決断の1つです。世の中には沢山の魅力的な美容室が溢れていますので、ぜひ自分の軸を明確にして、本当にあなたに合ったサロンを選択してくださいね。
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