美容師の実力が試される!お客様からの難しい注文3種類と対応例・断り方
- 「お客様の希望通りの髪型にできたか心配」
- 「カラーやパーマで無茶なオーダーが時々あるけどどう対処すればいい?」
美容師を続けていると難しい注文を避けて通るのは難しいですよね。
業界で働いている方なら、「物理的に無理なオーダー」「注文通りにやると髪がすごく傷む」という常識がありますが、そのような事情を知らないお客様のご希望とも向き合っていかなければなりません。
今回は、実際にあった難しい注文とその対応について実例をたくさん紹介しますので、ご参考になさってください。
美容師を悩ませる3種類の難しい注文と対応例
難しい注文は次の3種類に大きく分けられます。
- 【1】カラー関係
- 【2】パーマ・縮毛矯正関係
- 【3】お客様の要望・仕上がりイメージ(画像)関係
今回はこの3つに加え、それ以外にも困った質問をいくつか紹介したいと思います。
【1】カラーにまつわる難しい注文|カラーの仕組みとダメージを理解してもらう
お客様によって様々な注文があるカラーですが、次のような注文に困ることが多いようです。
- ①ブリーチなしで明るい髪色にしてほしい
- ②黒染め後のカラー
- ③ユニコーンカラーなど複雑な色味
- ④ダメージ毛へのハイトーンカラー
それぞれ対応例を見ていきましょう。
①ブリーチなしで明るい髪色にしてほしい
・希望の色に近づけるにはブリーチが必要なことを伝える。
・ブリーチなしでできる色にはどのようなものがあるか代替案を提示する。
②黒染め後のカラー
・通常より色が入りにくく希望通りにいかない可能性を伝える。
・ブリーチの場合時間がかかること・髪に大きなダメージがかかることを伝える。
・どれくらい期間をあければ問題なくカラーできるか伝える。
③ユニコーンカラーなど複雑な色味
・必要な薬剤や技術がない場合はお断りする。
・必ずしも希望通り・見本の写真通りの色味が出せるとは限らないことをご理解いただく。
④ダメージ毛へのハイトーンカラー
・髪の状態や施術によるリスクをご理解いただく
・できればブリーチは避け、ダメージの少ない代替案を用意する。
・どれくらい期間をあければ問題なくカラーできるか伝える。
【2】パーマ・縮毛矯正にまつわる難しい注文|髪質と髪へのダメージを理解してもらう
髪質との相性やダメージが顕著に現れるパーマも、お客様のご希望通りにできるかすぐに判断できない難しい質問が多いようです。
- ①ダメージ毛へのパーマ・縮毛矯正
- ②ブリーチ後のパーマ・縮毛矯正
- ③パーマ・縮毛矯正があたりにくい髪への施術
対応例を見ていきましょう。
①ダメージ毛へのパーマ・縮毛矯正
- ・髪の状態や施術によるリスクをご理解いただく
- ・ダメージの少ない代替案を用意する。
- ・どれくらい期間をあければ問題なくパーマできるか伝える。
②ブリーチ後のパーマ・縮毛矯正
- ・髪の状態や施術によるリスクをご理解いただく
- ・ダメージの少ない代替案を用意する。
- ・どれくらい期間をあければ問題なくパーマできるか伝える。
③パーマ・縮毛矯正があたりにくい髪への施術
- ・お客様の髪の状態や髪質を理解いただき、希望通りの仕上がりにならない可能性をお伝えする。
- ・希望に近づけるための代替案を用意する。
【3】イメージ通りに仕上げるのが難しい注文|画像通りにいかない可能性を理解してもらう
「こんな風にしてほしい」というお客様のイメージとのすり合わせが難しい次のようなケースもあります。
- ①写真通りの色・スタイルにしてほしい
- ②有名美容師さんの難しいスタイリング
- ③マンガのキャラクターの髪型
- ④お客様が頭の中でイメージしている髪型
①写真通り、イメージ通りの色・スタイルにしてほしい
- ・イメージ通りにいかない可能性があることを伝える。
- ・イメージ通りにならない理由(頭の形・髪質・毛量、写真の見え方)を理解してもらう
- ・その髪型のどこが気に入っているかヒアリングして、その部分だけでも似せる
- ・自分でセットするときのコツを簡単に伝える
②有名美容師さんの難しいスタイリング
- ・全く同じようにはできないことをご理解いただく。
- ・イメージ通りにならない理由(頭の形・髪質・毛量、写真の見え方)を理解してもらう
- ・その髪型のどこが気に入っているかヒアリングして、その部分だけでも似せる
③マンガのキャラクターの髪型
- ・イメージ通りにいかないことをご理解いただく。
- ・イメージ通りにならない理由(頭の形・髪質・毛量、そもそも二次元)を理解してもらう
- ・その髪型のどこが気に入っているかヒアリングして、その部分だけでも似せる
- ・自分でセットするときのコツを簡単に伝える
④お客様が頭の中でイメージしている髪型
- ・どんなイメージかをカタログなどを見ながらすり合わせる。
- ・「どんな?」ではなく「どちらがいい?」など答えやすい質問をする。
- ・お客様の時間が許す限り少しずつ様子を見ながら施術を進める。
- ・要望があれば納得いくまでやり直しもする。
その他・先輩美容師が苦戦したオーダー
上記の3種類以外にも、次のような質問に困られた経験を美容師さんからお聞きしました。
①お任せ
②何もせずに同じスタイルを保てるようにしてほしい
③他店のやり直し
④認知症のお客様からのオーダー
①お任せ
- ・髪型に求めるものを聞き出す(トレンド・似合うかどうか・手入れしやすさ…など)
- ・任せられているスタンスをとりつつも希望をヒアリングしていく。
- ・頭の形、顔立ち、髪質、毛量から最適なスタイルを考えて提案する。
- ・「どんな?」ではなく「どちらがいい?」など答えやすい質問をする。
②何もせずに同じスタイルを保てるようにしてほしい
- ・髪が伸びたら同じ状態を保つのが難しいことをご理解いただく。
- ・最低限のケア・スタイリング方法をお伝えする。
- ・スタイルを保つためにはどれくらいの頻度で美容室に行った方がいいか伝える。
- ・スタイルを保ちやすい他の髪型を提案する。
③他店のやり直し
- ・経緯と要望をしっかりヒアリングする。
- ・希望に添えない場合はお断りする。
④認知症のお客様からのオーダー
- ・1つ1つ確認しながら進めていく。
- ・書面で確認していただく。
- ・ご家族の同行をお願いする。
難しい注文を受けるときに注意すること
実際に難しい注文を受けるときは、お客様とのコミュニケーションが非常に大切です。
その際に注意することをまとめました。
- ①ヒアリングを丁寧に行う
- ②施術のダメージなどリスクを理解してもらう
- ③必ずしも希望通りにならないことを理解してもらう
- ④最終的にはお客様に判断にを委ねる
- ⑤誠意を持って接する
それぞれ詳しく見てみましょう。
①ヒアリングを丁寧に行う
難しい質問の多くはこのヒアリングで解決します。
お客様のご希望をしっかりと聞き出しておけば、対応できない場合の代替案も出しやすいです。
特に、失敗を防ぐためにもカラー・パーマ歴は細かく聞いておきましょう。
②施術のダメージなどリスクを理解してもらう
パーマやカラーを行うことで、お客様の髪に大きなダメージを与えることを理解していただくようにしましょう。
③必ずしも希望通りにならないことを理解してもらう
頭の形、顔立ち、髪質、毛量、ダメージによっては、イメージ通りの髪型に出来ないことをご理解いただくようにしましょう。
「絶対できる」「全く同じにできる」などの断言は避けてください。
④最終的にはお客様に判断にを委ねる
難しい注文の中には、髪に大きなダメージを与えるなどリスクを伴うものも多いです。
そういったリスクやデメリットをお客様にご理解いただき、やるかやらないか、ご自身で納得の上判断していただくようにしましょう。
⑤誠意を持って接する
どんな注文であっても誠意を持って対応することが大切です。
出来ることでも出来ないことでも、まずはしっかりとお客様のご要望を聞き、判断することが大切です。
「できるかな」という不安や、「ちょっと面倒だな」などという嫌な気持ちが顔に現れてしまうことのないようにしましょう。
できない約束はNG!プロの美容師として難しい注文を断る必要性と伝え方のコツ
お客様から「希望通りにできますか?」「全く同じにできますか?」というような質問があるかもしれません。
その際、美容師として「できますよ!」と言いたい気持ちはやまやまかと思いますが、できないことをできると言ってしまうのはNGです。
できない注文はきちんと断る
どんな要望にも応えられるのが必ずしも良いとは限りません。
応えた結果、髪に大きなダメージを与え、元どおりにならなかった場合、いくらお客様も承知の上だったとしても、失敗は失敗です。
美容師としてのプライドが邪魔するかもしれませんが、技術的に難しい場合や、失敗した時の対処が難しい場合は断ることも必要です。
お客様への断り方のコツ
お断りすることでお客様をがっかりさせたり怒らせたりするという懸念を持たれている方も少なくないでしょう。
ここでは、断る際のコツを紹介します。
- ①全否定せずまず要望を聞く
- ②できない理由やリスクを説明する
- ③別の提案を用意する
それぞれ具体的にみていきましょう。
①全否定せずまず要望を聞く
どんな難しい・無理な要望であってもまずはお客様の話を最後まで聞きましょう。
美容師さんの中には、お客様の希望を最後まで聞かず「無理ですね」と一刀両断される方もいらっしゃいますが、いきなり否定されるとお客様は嫌な気持ちになりかねません。
一つ一つ要望を出して、できるか確認をとるお客様の場合は、一度全部の要望を聞いてから判断する旨を伝えましょう。
このヒアリング時点で、難しいなと感じたら、他に要望を叶える方法がないか考えておくといいですね。
②できない理由やリスクを説明する
お客様の要望を全て聞いて、やはり難しいと判断した場合、できないことと、その理由を伝えましょう。
お客様の髪の状態や、薬剤によるダメージなど、専門的なことについての説明は難しいかもしれませんが、一般の方にもわかるようにできるだけ丁寧に説明すると納得いただきやすいですよ。
③別の提案を用意する
「できません」で終わるのではなく、代わりにできることがあれば提案することが重要です。
期間をあければできるかどうか、他に似合うヘアスタイルがあるかどうかなど、具体的にどのようにするかを説明してみましょう。
別の提案の引き出しは、様々な注文に対応していく中で増やしていくといいですね。
場数を踏むことで難しい注文にも対応できるようになる
難しい注文について紹介しましたがいかがでしたか?
スタイリストになりたてのときは、難しいオーダーが怖いと思われるかもしれません。いきなりできる人はいないのも事実です。
しかし、どのようなオーダーが来ても、お客様に誠実に向き合い、自分の技術とお客様の髪のコンディションをみて判断していかなければなりません。
技術だけでなくコミュニケーション能力や判断力も重要ですので、最初は周囲のスタッフと相談しながら場数を踏むうちに、適切な対応ができるようになりますよ。
また、「ユニコーンカラー」など、トレンドのカラーやスタイルで特殊な薬品や技術が必要な場合は、いざオーダーが来た時に困らないように、早めに取り寄せて練習しておくのも良いですね。