現役美容師44名が語る「緊張する客とは?」不快感を与えない対応方法も紹介

美容師に必要な能力が、接客スキルです。どのようなお客様に対しても、円滑なコミュニケーションが求められます。

 

しかし、苦手なお客様への接客では緊張することもあるでしょう。緊張するお客様への対応方法に悩んでしまうことも。

 

そこで今回は、美容師歴3~35年の現役美容師さん44名に、次の内容についてじっくりとお話をうかがいました。

 

  • ・これまで接客したお客様のなかで緊張すると感じた方の特徴や態度、またその理由
  • ・緊張するお客様への対処法や解決法として実践していること
  • ・緊張するお客様に対して、ついやってしまう態度や言動

 

アシスタントやスタイリスト、オーナー・経営者など、さまざまな立場や役職の現役美容師さんにお話をうかがったので、ぜひ参考にしてください。

現役美容師が緊張する客の態度や特徴

緊張する客

 

現役で活躍する美容師さんに、緊張するお客様の態度や特徴をおうかがいしました。

高圧的な態度のお客様

現役美容師さんのなかには、高圧的な態度のお客様に緊張すると回答した方がいらっしゃいました。

「年上で顔から威圧感が出ている人に緊張する。文句を言いそうだから。」(40代オーナー・経営者)
「高圧的で態度がでかく、提案を聞いてくれない人に緊張する。気に入らないと、口コミに書いたり文句を言ったりしそうだから。」(30代オーナー・経営者)
「見定められている気分になるため、横柄な態度の人に緊張する。」(30代オーナー・経営者)
「威圧感のある雰囲気に緊張する。」(50代オーナー・経営者)

上から目線で高圧的な態度を取られると、美容師に限らず誰でも緊張してしまうものです。どのような態度のお客様に対しても、いつもと変わらない態度で接する意識が大切です。

無口なお客様

無口なお客様に緊張すると回答した美容師さんも複数名いらっしゃいました。

「話しかけてもあまりリアクションのない方に緊張する。相手の様子をうかがってしまうから。」(20代アシスタント)
「何を質問しても無反応な方。常に見られているように感じてしまったので緊張した。」(40代スタイリスト)
「あまり感情を表に出さない、新規のお客様に緊張する。感情がわかりにくいと何が好きで嫌いなのかわかりにくいから。」(20代スタイリスト)
「話しかけないでオーラを出す人に緊張する。何を話せば良いかわからなくなるから。」(40代スタイリスト)

口数が少ないお客様ということを把握していれば、そういう人だと割り切ることができるでしょう。しかし、初めて担当するお客様が無口の方だと、緊張してしまう美容師さんも多いのかもしれません。

美容師と話すのが苦手なお客様もいるので、お客様のタイプを見極めることも大切です。

お金持ちそうなお客様

お金持ちそうなお客様に緊張してしまうと回答した美容師さんもいらっしゃいました。

「ブランドで自分を包んでいる人に緊張する。」(40代オーナー・経営者)
「セレブ志向の方に緊張する。」(20代スタイリスト)
「理想が高いイメージがあるから、ブランド物を持っている人に緊張する。」(40代オーナー・経営者)

「ブランド物を持っている→お金持ち→理想が高そう」と連想してしまい、失敗できないと緊張してしまうのかもしれません。このようなお客様に対しても、いつもと変わらない態度で接客できると良いでしょう。

美容師のお客様

同業者のお客様を担当するときに緊張する美容師さんもいるようです。

「同じ職業の美容師のお客様に緊張する。」(30代オーナー・経営者)
「見定められている気分になるから、同じ業界の人に緊張する。」(30代オーナー・経営者)

特に、若手のうちは緊張しやすいかもしれません。しかし、ある程度経験を積んでいる美容師さんなら、緊張しなくなる場合もあるでしょう。

こだわりが強いお客様

緊張する客

 

こだわりが強いお客様に緊張してしまう美容師さんもいるようです。

「神経質そうな人に緊張する。細かそうだし、文句を言いそうだから。」(40代オーナー・経営者)
「注文が細かい方に緊張する。」(30代オーナー・経営者)
「自分のこだわりを持っている方に緊張する。」(30代オーナー・経営者)
「難しい要求をしてくる人に緊張したことがある。若いときだったので、自分の技術に自信がなかった。」(30代オーナー・経営者)
「今まで色々な美容院に行って納得がいったことがないお客様には緊張した。」(30代オーナー・経営者)

多くの方は、ある程度のヘアスタイルに関してのこだわりを持って美容室を利用しているでしょう。しかし、こだわりが強すぎる場合は、美容師さんに緊張を与えてしまうのかもしれません。

こだわりが強いお客様に対しては、要望を詳細に聞き出し、できることとできないことを説明できると良いでしょう。

お任せでオーダーするお客様

お任せでオーダーするお客様に緊張する美容師さんもいらっしゃいました。

「完全お任せされたときに緊張する。」(50代オーナー・経営者)
「カルテに空欄が多い方に緊張する。」(30代オーナー・経営者)
「カラーの大体の色味はオーダーされるが、詳細はお任せのお客様に緊張したことがある。相手の思惑や考えが読めないから。」(50代オーナー・経営者)

常連のお客様ならまだしも、初めて担当するお客様がお任せのオーダーをすると困ってしまうのかもしれません。「短くしてください」「良い感じにしてください」というようなオーダーをされる場合は、ヘアカタログなどを参考にしながらある程度の方向性を探っていくのが良いでしょう。

新規のお客様

新規のお客様に緊張する美容師さんもいるようです。

「新規の方で見た目が異常に派手な方に緊張した。失敗できないと思ったため。」(30代オーナー・経営者)
「新規のお客様に緊張した。相手のことがわからないため。」(30代オーナー・経営者)

人は、よくわからない人やものに恐怖や不安を抱くものです。美容師さんが新規のお客様を担当するときにも、同じことがいえるのでしょう。

初めての場合、お客様側も緊張しているかもしれないので、笑顔で接することが大切です。

ほかの美容室の悪口を言うお客様

ほかの美容室の悪口を言うお客様に緊張する美容師さんも。

「前に通っていた美容室の不満をたくさん言うお客様に緊張した。自分のことも他店で言われるのではないかと思ったから。」(40代オーナー・経営者)
「他店で揉めたと言っていたお客様に緊張した。雰囲気でクレーマーと感じたから。」(30代オーナー・経営者)

他店の悪口を言うお客様に対して、自分の悪口を言われるのではないかと想像してしまうのは、しょうがないといえるでしょう。悪い印象を与えないように、しっかりとコミュニケーションを取れると良いかもしれません。

そのほかの回答

そのほかの回答には、次のようなものがありました。

「喋らず、ずっと鏡越しに施術を見ていたお客様に緊張した。」(50代オーナー・経営者)
「明らかに気に入らないのか、貧乏ゆすりされたときに緊張した。」(50代オーナー・経営者)
「先輩から引継ぎしたお客様を担当したときに緊張した。」(20代スタイリスト)
「先輩指名のお客様をやむを得ず担当したときに緊張した。」(30代スタイリスト)
「年齢がかなり上のお客様に緊張した。年齢が離れていると会話に困るから。」(30代スタイリスト)
「クセ毛が強くて縮毛しないと収まらないのに、カットでどうにかしてくれと言うお客様に緊張した。」(30代オーナー・経営者)
「一度クレームを出してしまったお客様を担当したときは緊張した。」(20代アシスタント)
「個性の強いお客様に緊張した。望まれているスタイルをつくる自信がなくなるから。」(40代スタイリスト)
「見た目が怖いお客様に緊張した。何を考えているのかわからないし、何を話したら良いかわからないから。」(40代オーナー・経営者)
「普段やらないメニューをするときは緊張した。」(40代オーナー・経営者)
「少し複雑なデザインカラー希望のお客様に緊張した。」(30代オーナー・経営者)

接客中の態度が悪いお客様や先輩からの引継ぐお客様、年が離れているお客様、無理難題を言うお客様など、さまざまな回答がありました。

「ほかの美容師はこんなお客様に緊張するのか」と参考にしていただければ幸いです。

→ 美容師30名に聞いた「嫌いなお客さまの特徴10選」とは?対処法も紹介

現役美容師が実践する緊張するお客様への対応方法や解決策

緊張する客

 

現役美容師さんに、緊張するお客様への対応方法や解決策をお聞きしました。

カウンセリングを丁寧にする

緊張するお客様には、カウンセリングを丁寧にする美容師さんがいるようです。

「カウンセリングをしっかりとする。焦らないことが大切。」(30代オーナー・経営者)
「しっかりカウンセリングをする。難しいことは難しいと事前にお伝えする。」(30代オーナー・経営者)
「悩みを引き出せるように、カウンセリングで聞く内容を多くする。」(40代スタイリスト)

事前に、お客様から要望を細かく聞き出しておけば、安心して施術を受けてもらえるでしょう。

コミュニケーションを取るようにする

緊張するお客様にはコミュニケーションを多めにすると回答した美容師さんもいらっしゃいました。

「可能な限りコミュニケーションを取り、要望を深掘りする。」(50代オーナー・経営者)
「髪のことをなるべく話すように心がけている。」(20代スタイリスト)
「話し方や話題をいろいろ試し、引っかかったものを広げていく。」(30代オーナー・経営者)
「当たり障りない会話をする。」(40代オーナー・経営者)
「会話のスピードを意識し丁寧に接客する。」(30代オーナー・経営者)

施術中のコミュニケーションでより詳細な要望を聞き出すという方や、当たり障りのない会話をするようにしているなど、さまざまな回答がありました。

スキルを磨く

とにかくスキルを磨くことが緊張しないためのポイントと考える美容師さんもいるようです。

「施術に関しては技術力を上げるしかない。」(30代オーナー・経営者)
「苦手な施術方法をYouTubeなどで学習する。」(40代オーナー・経営者)

スキルを磨くことで自信がつき、緊張が和らぐ方もいるでしょう。しかし、スキルに関係なく、苦手なお客様には緊張するという方もいるかもしれません。

そのほかの回答

緊張しないための対応方法や解決策として、ほかにも次のような回答がありました。

「お客様のリアクションに関係なく、なるべく笑顔でテンション高めを心がけています。」(20代アシスタント)
「そういう人だと割り切って接客している。」(40代スタイリスト)
「必要以上に話さない。」(40代オーナー・経営者)
「とにかく誠心誠意接客する。」(30代スタイリスト)
「笑顔で接客する。」(40代オーナー・経営者)
「お客様が話したいのかそうでないかの見極めをする。」(40代オーナー・経営者)
「できる限りいつも通り振る舞うようにしている。」(40代オーナー・経営者)

緊張する方への対応方法に悩んでいる美容師さんは、現役美容師さんからの回答を参考にしてください。

あなたは大丈夫?現役美容師が緊張するお客様についやってしまう態度

緊張する客

 

現役美容師さんは、緊張するお客様に対してつい次のような態度を取ってしまうようです。

口数が減る

緊張するお客様に対して口数が減ってしまう美容師さんがいるようです。

「失言しないようにするので、口数が減ってしまう。」(40代オーナー・経営者)
「私自身もあまり話さなくなる。」(40代オーナー・経営者)
「緊張していると黙って施術してしまうことが多い。」(60代スタイリスト)

緊張するお客様に対して口数が減ってしまうのは、しょうがないのかもしれません。しかし、必要なコミュニケーションはしっかりと取るようにしましょう。

話し過ぎる

緊張するお客様に対して話し過ぎてしまう美容師さんも。

「無理に話そうとしてしまう。」(20代スタイリスト)
「つい話し過ぎてしまう。」(20代スタイリスト)

さまざなな話題を振り、興味がありそうな話題を探すというのも有効な方法かもしれません。

そのほかの回答

緊張するお客様についやってしまう態度として、ほかにも次のような回答をいただきました。

「目が泳ぎ、緊張で多くの汗をかいてしまう。」(50代オーナー・経営者)
「言葉を噛んでしまい、表情が硬くなる。」(30代オーナー・経営者)
「早口になりがち。」(30代オーナー・経営者)
「愛想笑いになりがち。」(40代スタイリスト)

「目を逸らしてしまう。」(30代スタイリスト)

「緊張するお客様には提案がなかなかできなくなる。」(30代オーナー・経営者)

お客様に失礼な態度を取ってしまうという自覚がある場合は、改善していく必要があるかもしれません。まずは、緊張するお客様に対して、自分がどのような態度を取ってしまいがちなのかを把握するところから始めましょう。

まとめ

現役美容師さんは、さまざまなタイプのお客様に緊張してしまうことがわかりました。緊張するお客様への対応方法や解決策を参考にして、接客に活かしていただければ幸いです。
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