美容師のキャリアプランにはどのような選択肢がある?現役美容師のリアルな声をお届けします

美容師には、技術を磨いてスペシャリストをめざす方や、経営に関わる方、また異業種に転職する方など、さまざまなキャリア選択があります。

 

美容師をめざす方や現役の美容師さんのなかには、「美容師のキャリアにはどのようなものがあるのだろう」と気になっている方や、キャリア選択に迷っている方もおられるのではないでしょうか。

 

美容師歴1年~20年の10人の現役美容師さんに、

 

「将来的に美容師としてどのような役職に就きたいか」

「現在の役職に就くまでにどのようなキャリアを何年経験したか」

「キャリアアップするうえで努力したこと」

「役職ごとの年収」

「招待的にキャリアチェンジは考えているか」

 

という質問のアンケート調査をし回答をいただきました。

 

本記事は、現役美容師さんからの回答を交えながら、下記の項目について解説します。

 

  • ・美容師がスタイリストになるまでのキャリアパス
  • ・スタイリストからキャリアアップする選択肢
  • ・キャリアアップ後の美容師としての働き方3つ
  • ・美容師のセカンドキャリア

 

美容師のキャリアについて考えている方は、ぜひ参考にしてください。

美容師がスタイリストになるまでのキャリアパスは?期間や給与も

美容師のキャリアはアシスタントから始まります。アシスタントからスタイリストとしてデビューし、さらに主任やチーフとして活躍する方もいます。

 

今回お話をうかがった現役美容師さんからの回答も織り交ぜながら、それぞれの役職の仕事内容や経験年数、給与などを解説します。

 

1.アシスタント

アシスタント男性

 

アシスタントは、美容師の登竜門とも呼ばれる役職です。アシスタントは、受付や店舗の掃除、カラーやパーマのサポート、シャンプーやドライヤーなど、スタイリストの補助業務を多岐にわたって担当します。

 

アシスタント時代は、スタイリストになるために努力が必要な時期といえます。今回お話をうかがった現役美容師さんのなかには、アシスタント時代に、「練習はもちろん基礎的な毛髪知識を得ることとカウンセリング力の向上に向けて努力した」と回答した方がいました。

 

アシスタントはまだまだ半人前のスタイリストなので給与自体も高くはなく、アシスタント時代の給与は基本給18万円と回答した美容師さんも。サロンによって給与は異なるため、一つの参考にしてください。

 

アシスタントの期間としては、一般的には2~4年と言われています。今回アンケートの回答をいただいた現役美容師さんは、1~5年程度のアシスタントの期間を経てスタイリストになった方が多かったです。

2.スタイリスト

ヘアカラーの見本を見せながら、カウンセリングをしている女性美容師

 

美容師の登竜門ともいわれるアシスタント時代を乗り越えたら、スタイリストとして活躍します。

 

スタイリストとは、シャンプーやカット、カラー、パーマ、ヘアセットなどの施術を一通りできる美容師のことです。店舗によっては、アシスタントからジュニアスタイリストを経て、スタイリストになることもあります。

 

スタイリスト時代に努力したこととして、自分自身の売上アップやレッスン、講習会への積極的な参加などと回答していただきました。また、スタイリスト時代の給与に関して質問したところ、基本給25万円の方や、トップスタイリストの方だと50万円という方がいました。

 

早い方では20代前半にスタイリストになり、20代後半から30代になると自身の顧客もつき、技術にも自信がついているので、次のキャリア(主任・チーフ・店長や独立など)を考えるスタイリストさんが多いです。

3.主任・チーフ

男性スタイリストイメージ

 

スタイリストとして経験を積んだ先に、主任やチーフという役職があります。主任やチーフは、店長の補佐的役割を担います。一般的に、従業員の指導やシフト管理などの業務が中心です。

 

アンケート調査をした現役美容師さんの一人は、主任やチーフ時代に努力したこととして、「カット、カラー、パーマそれぞれの技術の向上」と回答しました。美容師を指導する役割を担うので、自分自身の技術の向上を意識することも大切なのでしょう。

 

将来的に主任やチーフをめざしていると回答した美容師さんは、「後輩を育てつつ、幹部との懸け橋的存在として活躍したい」という理由をお話していただきました。

 

主任・チーフの給与としては、月給30万円前後が相場と言えます。

スタイリストからキャリアアップする選択肢

続いて、スタイリストからキャリアアップする選択肢として考えられる3つのキャリアを紹介します。

店長

腕を組む男性美容師

 

スタイリストからキャリアアップしたいと考えたときに、店長として活躍するという選択肢があります。店長は、店舗の運営やスタッフの人材育成、労務管理、売上管理、新規顧客の獲得などの業務を担います。また、実際にお客様に施術をすることもあります。

 

アンケートに回答していただいた美容師さんの2割が、将来的に店長になりたいと回答しました。理由は、「一生スタイリストのままキャリアを終えるのが嫌」「初代女性店長に就任したい」というものでした。

 

お話をうかがった美容師さんで現在店長として活躍している方は、新人教育やスタッフ育成に力を入れているとのことです。

ディレクター

サロンによっては、ディレクターとして活躍する場合もあります。ディレクターとは、一般的にトップスタイリストの上に位置し、高い技術を持つ美容師のことです。指名数は店舗のなかでもトップクラスで、店舗の売上にも大きく貢献しています。

 

スタイリストとしてスキルを高めていきたい方は、ディレクターという道を選ぶのもひとつです。

エリアマネージャー

お客様のお見送り

 

エリアマネジャーは一般的に、グループ店舗がある場合、決まった地域のマネージャーとして複数店舗の運営管理をします。

 

スタッフ管理や美容室のメンテナンスなど店舗の管理や経営に関することを、それぞれの店舗の店長と綿密に連携しながら取り組みます。

 

アンケートに回答していただいた美容師さんのなかにはエリアマネージャーとして活躍する方もおり、エリアマネージャーとして売上管理や利益の計算の仕方を勉強することに力を入れていると回答しました。

 

同アンケート調査では、大きな責任感を持って働きたいとエリアマネージャーをめざす美容師さんもいました。

キャリアアップ後の美容師としての働き方3つ

美容師としてキャリアアップをし、知識や経験を積んだら、自分の店舗を構える、訪問美容師になる、フリーランスの美容師になるなどのキャリアを選択することができます。

独立して自分の店舗を持つ

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美容師として自分の店を持つことも可能です。「いつかは自分の店を持ちたい」と考える美容師さんは少なくないでしょう。

 

今回アンケートの回答をいただいた美容師さんは、将来的に自分の店を持ちたいと回答した方もいらっしゃいました。

 

独立すれば一から自分好みの店舗作りができる一方で、開業するために高額な資金を用意したり、経営を軌道に乗せるのに苦労したりする場合もあるかもしれません。

 

しかし、苦労があるからこそ、成功できたときの達成感は何物にも代えがたいものでしょう。

 

訪問美容師になる

シニア女性をカットする訪問美容師の女性

 

美容師には、訪問美容師として活躍する道もあります。訪問美容師とは、病気や高齢によって美容室に行けない人のために、病院や施設、個人宅に訪問して施術をする美容師のことです。

 

今回アンケートに回答していただいた美容師さんのなかには、需要の高さから将来的に訪問美容師として活躍したいと回答した方がいました。

 

美容師としてキャリアプランを考えている方は、訪問美容師という選択肢もあることを覚えておきましょう。

 

→ 当グループでは訪問美容に関する情報を「GOCHOKI(ゴーチョキ)」で発信していますので、ご興味のある方はチェックしてみてください。

フリーランスの美容師になる

腕を組む男性美容師

 

美容師さんのなかには、フリーランスで活躍する方も。美容師は、サロンに雇われて働くのが一般的ですが、最近では組織に属さず個人で仕事を請け負う美容師さんも増えてきています。今回お話をうかがった美容師さんのなかにも、将来的にフリーランスとして独立したいと回答した方がいました。

 

フリーランスの仕事形態としては、サロンの鏡1面をレンタルして、自分の顧客にサービスを提供する「面貸し」や、サロンから業務を委託されて労働する「業務委託」等があります。

 

フリーランスの美容師は、自分の裁量で業務量を調整できるのがメリットです。美容師として自分の裁量で働きたい方は、フリーランスとして働くのもひとつです。

40代以降の美容師のセカンドキャリアを考える

キャリアを考えるうえで、美容師とは別の仕事を選択する方も実際にいらっしゃいます。

 

厚生労働省が実施した調査では、美容業に従事している常時雇用者の性別年齢は、40代以降が全体の1.5~2割程度と少ないことを示しています。

常時雇用者の性別年齢別施設数の構成割合

出典:美容業 結果の概要|厚生労働省

 

40代以降の美容師が別の職種に転職する理由としては、「体力的な理由」「収入面での理由」「家族の転勤や親の介護等の理由」が挙げられます。

 

ただ一方で、美容師という仕事には「定年はなく」「一生働き続けられる仕事」であると捉えて、バリバリとキャリアを積まれていく方もいらっしゃいます。

 

実際に40代以上で活躍されている男女美容師さんの働き方のケースを下記コラムで紹介していますので、まだ読まれていない方はチェックしてみてください。

 

→ 美容師に定年はない!いつまでも美容師を続けるための考え方とアドバイスを紹介

 

 

美容師免許や美容師の経験が生かせるキャリアチェンジ先は?

美容師からキャリアチェンジを考えるときに、美容の知識を活かせる転職先を選びたい方もいらっしゃるでしょう。

 

美容師の知識や経験が活かせる活かせる転職先を3つ紹介します。

メイクアップアーティスト

メイクをしている女性

 

メイクアップアーティストとは、テレビや雑誌、ファッションショーなどに登場する方のヘアセットやメイクをする職業です。

 

今回アンケートに回答していただいた現役美容師さんも、将来的にメイクアップアーティストをめざしているという方がおられました。美容師の経験を生かしながら視点を変えて仕事をしたいとのことです。

 

ヘアだけでなくメイクの領域にも関わっていきたいと考える美容師さんは、メイクアップアーティストという選択肢もひとつです。

ネイリスト・アイリスト

施術する女性アイリスト

 

ネイリストとは、爪のケアをしたり、ネイルカラーやネイルアートを施したりする職業。一方アイリストとは、つ毛にパーマをしたりエクステをつけたりして目元を印象的にしていく職業です。

 

お話をうかがった現役美容師さんのなかに、将来的にネイリストやアイリストへのキャリアチェンジを考えていると回答していただいた方も。トータルビューティーをめざしているとのことでした。

美容ディーラー

美容ディーラーとは、シャンプーやトリートメント、はさみなどを美容室に卸売りをする職業です。美容師さんへの営業が必要なので、美容師としての知識や経験をダイレクトに活かせるでしょう。

 

アンケートに回答していただいた美容師さんに、美容師の経験を活かして新しい職種の仕事をしてみたいため、美容ディーラーをめざしているという方がいらっしゃいました。美容師とは別の視点で美容の仕事に携わってみたいようです。

 

→ 美容師の退職理由|辞めた理由と決断のアドバイスを先輩スタイリストにインタビュー

 

美容師として自分らしく働けるキャリアビジョンを描こう

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美容師は、さまざまなキャリアを選択することができます。技術を高めてスタイリストの道を邁進したり、店長として経営に関わったり、美容師として自分の店を持ったり、さまざまな選択肢があります。

 

また、異業種の職業を選択する方や、美容師の経験を活かしつつ、美容師とはまた別の視点で活躍したいと考える美容師さんもいるでしょう。

 

いずれにせよ、キャリアビジョンを考えるうえで大切なのは、自分らしく働ける選択をするということです。

 

美容師としてのキャリアを考えるなかで迷うことも多いと思いますが、この記事で紹介した美容師さんからの回答も参考にしていただければ幸いです。

 

JOBOONでは、美容師さんのキャリアを考えるのに役立つコラムを多数掲載しているので、ぜひ参考にしてください。