「売れるスタイリスト」を育てるためにサロンが取り組むべきこと
- ・売れるスタイリスト
- ・人気スタイリスト
- ・カリスマスタイリスト ……etc
サロンオーナー様や幹部様は、上記のような「在籍スタイリストをうまく育ててあげたい」という望みを持たれているかと思います。
しかし、売れるスタイリストを育成することは、決して簡単なことではありません。
これまで主に、”アシスタントの育成”にあたってきた人は、アシスタント育成とはまた種類の違う、”スタイリストの育成”の難しさに、戸惑われることもあるでしょう。
そこで今回は、売れるスタイリストを育成したいけど行き詰まっている人や、もしくはどのように育成に取り組めばいいのか分からない人に向け、売れるスタイリストを育てるために、サロンとして取り組むとよいことについて、まとめました。
「スタイリストの育成は難しい?」という質問に、ほとんどの美容師が「YES」と答える
スタイリストの育成経験を持つ美容師(サロンオーナーや幹部)に、「スタイリストの育成は難しい?」と聞くと、ほとんどの美容師が「YES」と答えました。
ちなみにごく少数の美容師が「NO」と答えた理由は、「中途採用したスタイリストの能力がかなり高く、勤務開始早々に売れっ子になったから」というものです。
この結果は、”アシスタントの育成よりも、スタイリストの育成のほうが難しいと皆が感じている”ということではありません。
これまで数多くのスタイリストを育てた美容師は、“アシスタント育成には「アシスタント育成特有の難しさ」が、スタイリスト育成には「スタイリスト育成特有の難しさ」がある”と、言っています。
⇒ 「アシスタント育成特有の難しさ」を詳しく知りたい人はコチラ
※「美容師に聞くアシスタントの育て方」のコラムへリンクしています。
次の項目では、「スタイリスト育成の難しいところ」を、より詳しく取り上げたいと思います。
スタイリストの「個性」や「モチベーション」の大きな違いが、育成を難しく感じさせる
カットやカラーなど施術の課題をステップアップ式にクリア、そして「一般的には約5年」といわれるアシスタント勤務を経て、美容師はようやくスタイリストデビューします。
「1人でお客様を担当できるだけの技術・知識がある」とサロンに認められて、サロンワークにも慣れているはずなのに、多くのサロンオーナー様が「スタイリストを育てることは難しい」、それも「アシスタント時代にはなかった難しさがある」と感じているのは、何故なのでしょうか?
売れるスタイリストを育てるために、サロンが取り組むべきことを取り上げる前に、“売れるスタイリストを育てるうえでの障壁”が何なのか、考察してみましょう。
「個性」や「自信」を強く持つスタイリストにハッキリ要望を伝えにくい
やるべきことが細かく決められ、サロンの方針を第一に動くアシスタント時代。
決して短くはないこの時期を経て、美容師の技術・知識を備えるスタイリストは、そこでようやく自分の「個性」や「自信」、「プライド」をしっかり持つことができるようになります。
まずはスタイリストになることを優先で頑張るアシスタント時代とすれば、のびのびやれるようになるでしょう。
もちろん、それは悪いことではありません。スタイリストの「個性」や「自信」、「プライド」はそのまま人間としての魅力でもあり、人気スタイリストに名を連ねるためには必要な要素です。
ただその一方で、サロンオーナー様・幹部様から「こうしてほしい」という要望がある際に、「スタイリスト本人の個性や自信を損ねないか? 拒否されるのではないか?」という懸念が出てきて、ハッキリ言えないことを悩みにする人はとても多いです。
例えば、「最近やっている様子がないので、カット練習をしてほしいけれど、切れない訳ではないし……。あまりしつこく言うのも気が引けるな」とそのままにしてしまって、スタイリスト本人とサロンの双方にとって良くない状況にあることを悩んでいるという、サロンオーナー様がいらっしゃいました。
スタイリストそれぞれの「個性」や「自信」に、気を遣いすぎてもよくないし、まったく気を遣わないのもよくない……。
“サロンの意向と本人の気持ち・やり方のバランスを取る”ことが、スタイリスト育成ならではの難しさだと言えます。
「モチベーション」や「目標」が違うので、”型通り”の育成はできない
アシスタントの場合、もっと先の将来の話はさておいて、まず到達すべきポイントは皆同じ。アシスタントから、スタイリストに昇格することです。
小目標に違いはあれど、アシスタントは皆、スタイリストになることを目標に、あらゆるモチベーションを維持します。
しかし、スタイリストになって“から”は、持つ「モチベーション」や「目標」に、人それぞれの大きな違いが出てきます。
- ・「月々○○万円売り上げる」と数字の目標を作るスタイリスト
- ・「お客様に愛される美容師に」という気持ちのスタイリスト
- ・テレビや雑誌で取り上げられたいスタイリスト
- ・さらに技術や知識を磨き幹部クラスに昇格したいスタイリスト
- ・近いうちに独立を考えているスタイリスト ……etc
上記のように、さっと考えるだけで、あらゆる「モチベーション」や「目標」を持つスタイリストをピックアップできます。
どれも、スタイリストとして珍しい気持ちではありませんよね。
スタイリストになってからは、「デビューする」という絶対的な目標がなくなり、その代わりにスタイリスト自身で自分の目標を立て、モチベーションも自分で維持していきます。
スタイリストが自分で決める目標や維持すべきモチベーションには正解がないため、本人はもちろん、それをサポートするサロン側も、何をどこまで口を出せばいいのかと悩むでしょう。
“アシスタントをスタイリストに育てる”場合は、マニュアル的な育成でも成立しやすいのですが、”スタイリストを更に売れるスタイリストにまで育てる”場合には、それが困難です。
仮に、すべてのスタイリストを育てるための「基本事項」を作るとしたら、数えきれないくらいのスタイリストの思考パターンを考えなくてはいけませんが、現実的ではないですよね。
つまり、スタイリストの育成については、アシスタント以上に、型にはまった育て方はできないということです。
身も蓋もないようですが、“経験がモノを言う”話になるでしょう。
“売れたいスタイリスト”のためにサロンが取り組むべきこと
さてここからは「売れたい」と目標を持ち、それを叶えるモチベーションが高いスタイリストが、成長しやすい環境を整えるために、サロンとしてどんなことに取り組むべきかをお伝えします。
- 【1】何を「売れる」とするか決め、その軸に沿ったカリキュラムを作成
- 【2】カウンセリング関連のレッスンや情報共有の活発化
- 【3】美容ディーラーから勉強会・外部レッスンの紹介を受ける
【1】何を「売れる」とするか決め、その軸に沿ったカリキュラムを作成
あくまでもサロンの方針に追随してもらう場合は、サロンが1つ「売れる軸」を持って、大枠のカリキュラムを作るとよいです。
逆にサロンカラーよりも、スタイリストの個性を重視する場合は、スタイリスト本人にカリキュラムを作ってもらうとよいでしょう。
どちらにせよ「売れる」の定義を決めなくては、小目標・中目標・大目標から成るカリキュラムを組むことはできません。
悩んだら、売り上げや新規顧客数などの「数字のアップ」、もしくは、各スタイリストの”苦手分野の克服”を小目標に置く「スタイリストとしての技術力アップ」を意識すると、カリキュラムに反映する成長イメージが、具体的になりやすいです。
【2】カウンセリング関連のレッスンや情報共有の活発化
カットカラーの技術を十分有したスタイリストでも、意外と伸びしろが残っているのが、コミュニケーションスキルのアップ、カウンセリングスキルのアップです。
もちろん、できることならスタイリストも、積極的にカットやカラーのレッスンをするべきですが、「個人に委ねているので声がけしにくい……」という場合もあるでしょう。
そういう場合、サロン全体で取り組みやすいのは、コミュニケーション・カウンセリング関連のレッスンです。
定期的に、アシスタントを交えたカウンセリングのロールプレイングを行ったり、ミーティングで接客に関する出来事の共有を行ったりすると、スタイリストの対応力がより上がると考えられます。
【3】美容ディーラーから勉強会・外部レッスンの紹介を受ける
美容ディーラーがついているサロンの場合、彼らが持ってくる情報はぜひ有効活用しましょう。
「今のサロンには、こういう要素がもっとあるといいかな?」という外部の視点から、いい勉強会やセミナーを勧めてほしいと、声をかけてみてください。
【まとめ】売れるスタイリストを育てるために大切なこと
以上、「売れるスタイリスト」が育つため、サロンとしてどんな取り組みができるのか、お伝えしました。
あるサロンオーナー様に、「売れるスタイリストを育てるために、大切なことは何だと思いますか?」と尋ねてみたところ、「昔の常識や自分の価値観を押し付けず、スタイリストに寄り添うこと」という答えが返ってきました。
これはまったくその通りで、サロンカラー重視でも個性重視でも、スタイリストに「売れた!」と実感を持ってもらうまで、根気よく愛情を持って接することが、結局のところオーナーや幹部にできる”最大のサポート”なのではないかと思われます。
これは、アシスタントの育成においても同様ですね。
スタイリストの育成に、アシスタントに知識や技術を教えるのとは違う苦労があることは否めません。
その代わりと言っては何ですが、無事にスタイリストが独立の夢を叶えたり、デビューしたての頃は想像できなかった売り上げの目標を達成したり、お客様に褒められている姿を見た時には、やはりグッとくるものがあるそうです。
ぜひ1人1人のスタイリストと心を通わせ、長い目で「売れる」までの成長を見守ってあげてくださいね。
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