美容師の経験はディーラーへの転職に活かせる? | 仕事内容ややりがいを紹介
「美容師以外の仕事にチャレンジしたいけどディーラーってどうかな?」
「そもそもディーラーさんってよくサロンに来てるけどどんな仕事をしてるんだろう?」
美容師さんが転職を考えるとき、他のサロンに移るほか、異業種・異職種へのキャリアチェンジを視野に入れている方も少なくないかと思います。
その中でも、同じ美容業界で働ける「美容ディーラー」が気になっているという方は少なくないのではないでしょうか。
実際に美容師からディーラーに転職して活躍されている方もいれば、他の業界から未経験で美容業界に入られる方もいます。
といっても、「美容ディーラー」は実際どういう仕事をするのか、美容師としての経験がどう活かせるのかイメージしづらいですよね。
この記事では、実際に美容師から美容ディーラーに転職した方のお話をもとに、ディーラーの仕事内容や、やりがい、美容師としての経験の活かし方などを紹介します。
ディーラーの仕事内容
ディーラーのお仕事をひとことで説明すると、メーカーから製品を仕入れて美容室に卸す、卸売り・営業のお仕事です。
とはいえ、実際はそんなにシンプルに表せるものではなく、非常に奥深いお仕事です。
ここでは、いくつかの側面からディーラーについて説明していきます。
メーカーと美容室のパイプ役
ディーラーは卸売業者の社員としてサロンに定期的に訪れ、注文を受けた商品の在庫を補充することがメインのお仕事で、こちらは美容師さんからも想像しやすい部分かもしれません。
その他新製品などをサロンに紹介して、場合によってはメーカー様と共に講習会を実施するほか、製品に関わるサポートも行います。
しかし、ただ頼まれた商品を持って行くだけなら「誰でもいい・どこの業者でもいい」となってしまいますよね。
多くのメーカーを取り扱うなかで、それぞれの商品特長や価格帯、各メーカーの特徴や強みを理解して、お取引サロンの状況や問題点を見つけ出して提案する必要があります。
幅広い商品知識が必要
美容室で使うほとんど全ての商品を取り扱うため、かなり幅広い商品知識が必要です。
この点については、異業種からの転職より、美容師からの転職の方が商品についてある程度知識があるので有利ですね。
製品のみならずサロンの経営やスタッフ育成にも深く関わる
先ほども少し触れましたが、ただ商品について説明したり販売したりするだけではライバルに負ける可能性があります。
サロンオーナーやスタッフと積極的に会話し、サロンの改善点を見つけて提案していくことが求められます。
その中で、サロンの経営状態やスタッフの状況を判断した提案の必要があり、そのようなコンサル的なスキルも必要です。
例えば、「最近売り上げが悪くて…」「人手が足りなくて…」など、商品以外のお悩みをこぼされた時に、解決できる商品があれば提案、なくても何か解決できる手段があれば一緒に考えるような姿勢が求められます。
業務改善により女性ディーラーも増えている
ここまで読んで、女性の美容師さんは
「いつも来るディーラーさんって男性ばかりだけど女性でもなれるのかな?」
「重い荷物を運ぶのは自信がない…」
など、心配されている方もいらっしゃるかもしれません。
実際、業界はまだ男性のほうが多いものの、近年女性も増えていきています。
というのも、次のような変化があったからです。
- ・訪問時間が遅かった→最近はサロン自体も早く閉店するようになり改善されてきた
- ・持っていく商品が多かった→最近はメーカーからの直送システムが普及
- ・サロンから女性ディーラーを希望されるケースもある
このように、働きやすい環境に変化してきているので、興味があればぜひ転職にチャレンジしてくださいね。
ディーラーのやりがい・転職してよかったところ
美容師からディーラーに転職された方の中には、「美容業界が好きだけれど、体力面や人間関係、キャリアなどを考えた時に美容師を続けることは難しい…」と思って他の職種を探したという方も少なくないようです。
ただ、そこでネガティブな気持ちを引きずらず「やっぱり美容業界が好きでサロンが好き」と、前向きな気持ちでサロンと関わっていける方がディーラー営業に向いているのは間違いありません。
サロンとはどんなものかをよく知っていて、ただ改善点を伝えるだけではなく、サロンにとってそれが必要なタイミングまで考えながら提案できるのは本当に強みです。
また、オーナーが見落としがちなスタッフ育成の問題点なども、経験者だからこそ見える・指摘できるという強みもあります。
もちろん、あくまでサポーターとしての立ち位置をわきまえる必要はありますが、しっかりと取引先のサロンと向き合うことで、サロンの改善に貢献でき、深く頼られる存在となります。
そして、ただやりがいが得られるだけでなく、それが売り上げにもつながっていくという喜びもあるでしょう。
ディーラーの難しさ・転職時に注意するポイント
ディーラーの仕事の難しさとして、いかにコミュニケーションをとってサロンに合った提案をしてリピートしてもらうか、というところが挙げられます。
重ね重ねになりますが、正直、美容室から見ると、頼んだことをやってくれるだけならディーラーはどこでもいいというのが本音ですよね。
ですので、注文された商品を持っていくだけではなく、サロンの状況を見て提案する・新商品情報も伝えるなど、一歩踏み込んだ営業を行う必要があります。
例えば、ただただ、新しい商品が出たから持って行ったり、売りたい商品を持って行ったりするだけでは「あの人ウチに合わへんのばっかり持ってくるわ〜」という印象を与えてしまいます。
実際にディーラーとして活躍されている方は次のようなルールを作るなど、少ない滞在時間でどれだけコミュニケーションできるかを工夫しています。
- ①できるだけ同じ時間帯に訪問する
- ②しっかり目的を持って訪問する。
- ③場合によっては時間をずらして1週間以内に再訪問する。
- ④メモの活用(注文以外の何気ない困りごとや予定なども書く)
- ⑤商品以外にもサロンに役立ちそうな情報(助成金・トレンドなど)を集める
また、「よい関係を保つためにサロンに寄り添う、踏み込み過ぎず、遠すぎずな距離感を大切にする」という意見もありました。
何気ない事の相談や意見が交わせるようになると、提案に対する理解度、納得度は格段に変わりますが、仲良くなればなるほど、ほどよく緊張感を持つ必要があります。
もう1点、特に美容師経験が長い方ほど気をつけるべきポイントが、「自身の経験を押し出しすぎない」ということです。
経験が長いと、美容知識やサロンワーク、ディーラーとの関わりかたなど多くの知識情報を持っていますし、美容師として頑張ってきたからこそ、美容室を外部から見ると様々なことに気がつきます。
しかしそこで、つい自分の育った美容知識を押してしまったり、やめた時点での自分の美容師としてのスキルを実際より高く見積もって話してしまったりするという方がいらっしゃいます。
「自分ならこうする」「自分ならこうしてきた」などと相手を思いやる気持ちを忘れて、自分が良いという提案だけを押し出してしまうことはNGです。
“もう美容師ではない”という事を意識し、時代の変化や、担当するサロンごとの状況に柔軟に対応していく力が求められます。
まとめ
美容ディーラーへの転職について紹介しましたがいかがでしたか?
やむを得ない理由で美容師を辞めなければいけない状況になっても、美容経験があり美容業界が好きであれば、今回紹介したディーラーや、メーカー、または美容団体などに転職して違う形で美容は続けられると思います。
経営改善やスタッフの育成が好きで、そこに自信があるなぁと思ったら将来、美容師の経験を活かす道の1つとして頭の片隅に置いていてもいいかもしれません。
また、「すぐには転職を考えていない」という方も、普段からディーラーさんと話すことで、商品や他のサロンの情報を引き出せるなど、勉強になることも多いです。
ぜひ「ああ、いつも来る人か」とスルーせずに、積極的にコミュニケーションをとってみてくださいね。