美容師30名に聞いた「忘れられないクレーム内容」とは?即実践すべきクレーム対策も紹介
美容師として活動する上で、切っても切り離せないのが「お客様からのクレームへの対応」です。
クレームを受けること自体は辛いものの、その反省を経験として蓄え業務に活かすことは、スタイリストとしての大きな成長に繋がります。
今回は合計30名の現役スタイリストにご協力いただき、「過去に受けた忘れられないクレーム」や「パターン別のクレーム対応」「意識しているクレーム対策」などをお聞きしました。
【この記事がオススメな人】
・他の美容師が受けたクレーム内容を知って、仕事に活かしたい人
・過去にひどいクレームを受けて、自信をなくしている人
・クレーム内容別に、対処方法を知りたい人
・他のスタイリストが実践する、クレーム対策を知りたい人
美容師30名に聞く、忘れられないクレーム内容
技術不足でクレームを受けたパターン
もともとブリーチしていた髪にパーマをあてて、髪の傷みすぎで相当怒られた。パーマを当てる前から懸念があったが、お客様の強い希望があり断れなかった。このときは違約金を支払うことで解決したが、かなり長い間ショックを引きずってしまった。
帰宅後に、頭皮と首まわりがカラー剤の影響でかぶれたとクレームの連絡を頂きました。メーカーにかぶれた件を連絡し、お客様には病院のご案内をおこないました。誠心誠意、謝罪をしたので、お客様も許してくださり大事にはなりませんでした。
縮毛矯正のクレーム。アイロンの失敗で中間部分をビビらせた。
オーダーよりカットし過ぎた。左右バランスをとるためにカットしたら、想定よりかなり短くなってしまった。自分は新人で対応できず、オーナーに代わりに対応していただいた。
パーマの巻きがすぐに取れすぎと、来店から数日後にクレームをいただいた。後日来店時に無料で施術することで解決。先輩のスタイリストに代わっていただき、当時は情けなさで辛かったが、いまとなっては経験して(お客様には申し訳ないが)良かった。
家族からクレームを受けたパターン
エクステを20本オーダーされたお客様に、仕上がりがイマイチになりそうだったので「40本をおすすめします」と提案したところ、予算の都合でお断りされてしまった。仕上がりを見てご本人は納得されていたが、後にお母さんから「娘の髪型がおかしい」とお叱りの電話を受けた。
子どもさんのヘアカットを担当したときのこと。「さっぱりしてください」とのオーダーで、ややきつめにカットしたところ、仕上がりを見たお母さんから「髪が短すぎる」「〇〇ちゃんが可哀そう」と、店中の他のお客さんが振り返るほどクレームを受けた。
それ以来、子どもさんのカットは保護者と入念にすり合わせしてから着手するようになった。
接客態度が原因でクレームを受けたパターン
「言葉遣いがフランク過ぎて気に障る」と、10歳ほど年上の女性からクレームを頂いたことがあります。お相手の年齢を問わず「〇〇っすね」という話し方を無意識にしてしまっていたので、そこから意識して改善しました。
違うサービスや商品を色々なスタッフが別々に提案しすぎて、お客様に不快な思いを抱かせてしまいました。クレームではありませんが、後日DMで「楽しみに来店したのに、がっかりでした」と送られ、とてもショックで申し訳ない気持ちになりました。それ以降、スタッフ同士連携して、おすすめ商品の提案をしすぎないよう、共有を徹底しています。
施術中にカラー剤やトリートメントのランク変更、オプションの追加をし、いざお会計となったとき、金額が想定よりあまりに高かったとの理由でお叱りを受けた。自分的にはメニューの追加時に金額も説明した気になっていたので、ショックだった。
それ以降、オプション追加時は毎回「今、総額でいくらです」と、合計金額を小まめに提示するよう気を付けている。
予約していただいたのに、お待たせしてしまったとき。繁忙期で予約いただいた時間より対応が10分くらい遅れてしまい、その後もシャンプー後のドライヤー、カットなどでお待たせしてしまった。最終的に終了時刻も予定から20分くらいはみ出してしまい、かなりお怒りの状態で帰らせてしまい申し訳なかった。
理不尽なクレームを受けたパターン
いつも店長が施術するお客様(指名されてるわけではない)に、店長不在だったため自分が対応したところ、施術後に「なんで店長が対応してくれなかったのか」とクレームをいわれたとき。
ホームカラーや黒染め履歴が多数あるお客様から、無理のある色味の施術を依頼されたとき。あらかじめ「理想通りの仕上がりは難しいですよ」と確認したにもかかわらず、本人の意思で施術したところ「予想と違う」と不満を言われた。
それ以降はお客様から「やってほしい」といわれても、難しそうな場合はしっかりお伝えするようにしている。
予約時間よりかなり遅刻されたお客様から「仕上がり時間が遅い」と言われると、キレそうになります(笑)
「わたし18時までに店を出なきゃいけないんです」と、17時40分くらいのタイミングで言われたとき。もともと18時半までかかるメニューを予約いただいていたので「それだとカットが間に合わなさそうなので、カラーだけで後日カットにしますか?」と提案すると、なぜもっと急いで仕上げてくれなかったのかとクレームを受けた。
こうやって見ていくと技術不足でクレームに繋がるケースの他にも、態度や言葉遣い・待ち時間など接客対応が原因の場合や、明らかにお客様に非がある理不尽なケースのクレームも存在することがわかります。
事例付き|美容師へのクレームに対するパターン別の対処法
お客様から想定外のクレームを言われると、普段どおりの冷静な判断ができなかったり、焦って適切な対処を見誤ったりというケースは少なくありません。クレームのパターン別に対処法を知っておくことで、万一の場面でも落ち着いた対処が可能です。
パターン1「お客様の髪に損失を与えてしまった場合」
知識や技術不足が原因で、お客様の髪にダメージや色むらを作ってしまいクレームとなるパターンです。カラーや縮毛矯正、パーマなどの施術で発生する可能性があります。
この時の対処法としては、まずは誠心誠意謝罪を伝えたのち、オーナーさんなど責任者の方と相談して適切なフォローを検討します。事故内容によっては賠償責任補償制度により、保険会社より補償金を受け取れるケースもあります。
【事例①】
アシスタント3年目、縮毛矯正のお客様にカウンセリングから薬剤選定、アイロン操作まで担当したとき、根本から5cm~毛先まで全てをジリジリに傷ませてしまった。
【対処方法】
仕上がり後、すぐに先輩スタイリストに同席してもらい謝罪。その後、店長に相談し 毎月カットとトリートメントに通って頂き、状態が良くなるまで無料で施術させて頂くという提案で解決しました。
すぐに対処したことで大事にならず、お客様も納得してくださったようです。
パターン2「接客が原因でクレームを受けた場合」
態度や言葉遣いの悪さ、待ち時間の長さなど接客が原因でクレームになった場合は、とにかくお客様の気持ちをしっかりと受け止めた上で謝罪を伝えることが大切です。
【事例②】
店舗オープンの日、以前から指名してくださっている50代のお客様が、電車で1時間半の距離から来店してくださいました。しかしバタバタしていたこともあり、普段通りに付きっきりで接客できず、予約いただいたのに待ち時間も発生してしまうことに。
数日後、雑な扱いを受けたことに対し、大変不愉快だったとクレームのお電話を受けました。
【対処方法】
まずは「電話越しで誠に申し訳ございませんが……」と前置きして、しっかりと謝罪。次に「お客様が何に対し不満を抱かれたのか」「当日、どんなお気持ちだったのか」を、相手が納得されるまでお聞きします。
このとき、相手の言葉を遮ったり言い訳することなく、最後まで「聞き手」にまわることがポイントです。お客様がすべてお気持ちを吐き出されたタイミングで、改めて内容を踏まえた謝罪。最終的にはお客様も「また来ます」と仰って下さいました。
パターン3「お客様の物品に損失を与えてしまった場合」
お客様のお洋服やピアス・メガネなど「お召し物」をカラー剤などで汚してしまい、クレームを受けるパターンです。「クリーニング代」もしくは「現物の賠償金」をお支払いすることで、対処する方法が一般的です。
【事例③】
お客様のカラーを担当した際、カラー剤がシャツの左肩部分に飛んでしまい、灰色のシミになってしまいました。施術時、すぐに気が付いたため、店長に相談してその場で対処しました。
【対処方法】
最初にお洋服を汚してしまったことに謝罪し、こちら持ちでクリーニング代を払わせていただく旨をお伝えしました。クリーニング代の領収書を後日お送りいただき、その額を指定の銀行へお振込みしました。
また保険会社への補償金請求時に必要となるため、お客様にお断りを入れ、汚れた部分のお写真も控えさせていただきます。
クリーニングでシミが目立たなくなり、また発生から迅速に対応したことで、結果的に大きなトラブルにならず許していただけました。
ベテラン美容師が実践しているクレーム対策
過去にクレームを受けた反省を活かし、必ず実践している「クレーム対策」について、現役のベテランスタイリストにお聞きしました。今日からすぐにできる項目ばかりなので、初見のものがあればぜひ取り組んでみてください。
施術時のクレーム対策
無理な施術は「できない」とハッキリ伝える。可能であっても、髪が傷んだり思い通りに仕上がりづらい施術は、きちんとリスクを伝える。自分の技術に過信しない。
お客様の施術履歴をめちゃくちゃ詳しく聞いてから、希望の施術ができるかを判断します。
言葉だけで「このくらい」「こんな色味で」は危険。必ずカタログ写真やインスタのビジュアルで、お客様がイメージする仕上がりを共有します。
施術中、とにかく細かく「今こんな感じですが大丈夫ですか?」「サイドここまでカットして大丈夫ですか?」と、鏡で見ていただきながら確認する。小さな施術でも自己判断で進めないようにしています。
接客時のクレーム対策
忙しくてバタバタしているときほど「普段より丁寧なあいさつ・接客」を、意識して接するようにしています。
施術前に、必ず「今日何時までに出られたいか」を確認します。難しい場合、その旨を説明して代替案をご提案します。
お客様から問い合わせや質問を受けた際、自分で解決出来ない事はその場で回答せず、必ず自分より知識のある人に確認します。
後輩・スタッフにおこなうクレーム対策
サロンをやっていて、特に多いのが「接客態度」「縮毛矯正」に関するクレームだと感じるので、スタッフには特に危機感をもって臨むよう伝えています。
後輩・同僚の言葉遣いが気になった際は、クレームに繋がる前に早めに注意を徹底。自分が過去に態度の悪さでクレームをもらったことがあるので。特に「語尾」に気を付けて、丁寧な言葉を使うように指導している。
お客様の施術や質問への回答時、少しでも判断に悩む・不安がよぎる場合は、必ず歴の長いスタッフに確認するよう、若手には伝えています。
まとめると
- ・不安な内容は事前確認を徹底する
- ・無理なことはハッキリ伝える
- ・自分だけで判断せず他スタッフを頼る
- ・お客様を思った対応を心がける
ことを意識して、多くのスタイリストがクレーム対策を実践していることがわかります。細かなクレーム対応のテクニックはありますが、根本的に大切な要素は共通していると言えるでしょう。
まとめ
今回は「美容師のクレーム対応」をテーマに、過去実際に受けたことのあるクレーム内容や、事例を用いた対策方法などをご紹介しました。
美容師を続けていれば誰もが経験する “クレーム” ですが、大切なのは反省をそのままにせず、次回の業務に学びとして活かす姿勢です。また他人が受けたクレームを広く知ることで、自分の仕事に反面教師として役立てることも大切です。
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