美容師の年齢別の昇給・給与事情は?昇給のための具体策5つも紹介
世の中の職種でも「賃金が低い」というイメージが定着しがちな美容師という仕事。仕事にやりがいはありつつも、お給与面で将来への不安を感じる美容師さんも多いかもしれません。
今回の記事では「美容師さんの昇給事情」と題し、経営者~アシスタントまで幅広い役職の美容師さんに聞いた「給与・昇給について」の声をまとめました。
またベテラン美容師さんに聞いた「昇給したタイミングや理由」「昇給のためにやった具体的なアクション」など、参考になる情報もあわせてご紹介します。
美容師の年齢別平均年収とみんなの声
自分の将来を見通すうえで、美容師という職種が何歳でどのくらいの給与がもらえるようになるかを早いうちに把握しておくことは大切です。
「平成31年賃金構造基本統計調査」によれば、2019年度における国内美容師の平均年収は「約345.3万円」(残業代や交通費、賞与など含む)ほどです。年齢別に平均年収は以下の様になります。
<美容師の年齢別平均年収 男性>
<美容師の年齢別平均年収 女性>
※これらは「平成31年賃金構造基本統計調査」を基に、独自で計算しております。
実際、今回の調査で5年未満の若手美容師に「自分の給与や昇給に対して不安な事はありますか?」という質問を投げかけたところ「給与に対して漠然とした不安がある」「そもそも昇給の仕方を理解できていないので不安だ」という声があがりました。
アシスタントとスタイリストでも大きく違う
同じ美容師という役職の中でも、いわゆる「見習い期間」であるアシスタント時代と一人前の美容師として認められる「スタイリスト」では、給与の幅も大きく異なります。
一番の理由として、美容師の給与決定は多くの店舗で「固定給」+「歩合制(指名数に応じて変動)」が採用されていますが、アシスタント時代は固定給しか支払われないために給与が伸びづらいことがあげられます。
下積み時代が終わり、晴れてスタイリストとしてデビューすれば給与の水準が上がり安定した収入が見込めるようになります。デビューしたての段階では固定客がおらず給与も上がりづらいですが、スキルや接客を磨き指名客を獲得していくことで、月間30万円以上を安定して稼ぐことも可能になります。
美容師の役職別に気になる給与事情や内訳は?
これから美容師としてキャリアを積んでいくにあたり、自身が将来的に「どの程度の給与を目指していくのか」の目処を立てておくことはとても重要です。
1. アシスタントの給与事情
会社にもよりますが、初任給の給与なら手取りで15~18万円程度が相場と言えるでしょう。以前はもっと価格帯の低いサロンが目立ちましたが、近年は労働条件が見直されたきっかけで、比較的好条件の店舗が増えている印象があります。
2. jr.スタイリストの給与事情
アシスタントから昇給したことで、給与額が少しアップするのがジュニアスタイリストです。とは言え、まだまだ自身の売り上げで給与をあげていくことは難しい為、月の額面としては21~22万円くらいが一般的でしょう。
「成長期間」と割り切って、まずは給与より経験値を積む意識が大事な時期と言えます。
3. スタイリストの給与事情
徐々に指名顧客が増え、美容師として安定した給与が目指せるようになる時期です。店舗によって給与体系は異なりますが、多くは固定給+歩合制で決定される店舗が多いでしょう。
顧客からの評価が自身の給与額にダイレクトに影響するため、日頃から常に「新しい技術の獲得」や「接客態度のブラッシュアップ」が求められます。
給与としては額面で23万円程度から~が相場と言えるでしょう。
4.トップスタイリストの給与事情
店舗の稼ぎ頭といっても過言でない「トップスタイリスト」まで登りつめれば、月に稼げる給与平均額もグッとあがります。
過去には、月額300万円を売り上げたスタイリストで月収が100万円を越えていた、という事例も見かけたことがあります。夢がありますね。
上記は特例ですが、それでも安定した指名顧客を呼べれば月額40~60万円の給与を稼ぐことは決して無理な話ではありません。
ベテラン美容師に聞く、昇給した理由とそのタイミングは?
現在、第一線で活躍しているキャリア8~10年のベテラン美容師にも、下積みと呼ばれる時代がありました。
計13名のスタイリストにアンケートを取り、彼らが一体どのような理由・タイミングで、過去に昇給を経験してきたのかをまとめました。
最も多かった意見が「売り上げや指名数に応じて、随時給与が上がる」という意見で、全体の4割近くを占める結果となりました。
スタイリストの給与に「歩合制」を取り入れる美容室が一般的であることからも、日々の売り上げや指名数が昇給に大きな影響を与えていることがうかがえます。
次点で「店長」や「ディレクター」といった「役職についたから」という声と、「アシスタントからスタイリストになったタイミング」という声が同率で並びました。
また「その他の意見」として、「昇給には実績と社内評価の両方が必要」という声もありました。
<実際の声>
・いかに「お客様のご要望にかなったスタイルに仕上げられるか」を追求していました。すると徐々にお客様からの支持が集められるようになり、指名が増えてきたタイミングで昇給できました。
・昇給には数字で見える「実績・顧客の数」と「社内スタッフからの評価」の両方で結果を出す必要があります。自分のことばかりでなく、普段から店舗の為を考えて動くことやスタッフとのコミュニケーションをとることが非常に大切です。
ベテラン美容師が、実際に昇給するために頑張ったこと5つ
さいごに現役でスタイリストとして活躍するのベテラン美容師13名に、昇給のために頑張ったこと、または現在も頑張っていることを教えてもらいました。
1. 毎日の勉強・練習など自己研鑽
昇給において、日々の勉強や練習といった小さな努力の積み重ねは非常に重要です。
お客様から信頼を得て指名数を増やすためには、希望に応えられるだけの確かな技術力と知識量が必要不可欠だからです。それらは一朝一夕ではなく、日々の自己研鑽によって身につきます。
職場での練習はもちろん、プライベートでのセミナー参加や動画勉強、SNSのチェックなども大切です。
まずは昇給を意識しすぎず「スタイリストとしての成長」に重きをおいて、日々のインプットに力を入れてみてはいかがでしょうか。
<実際の声>
・新規客獲得の為、「技術のバリエーションを増やすこと」に日頃から尽力していました。現場で先輩の技を常にメモしたり、自宅で毎日30分ほど動画勉強をするなどしていました。
・自主勉強を怠らなければ、いつの間にかスタイリストとして成長できています。僕の場合は美容師専門のオンラインサロンに入って、カラーを中心に勉強していました。
2. 人の嫌がることを率先して行う
昇給で大事にすること2つ目は「人の嫌がることを率先して行うこと」です。
面倒な雑務や残業仕事など、ついやりたくないという仕事を自ら進んで引き受けることで「その分、経験値を増やす」ことができますし、なにより「スタッフ間からの信頼を得る」ことができます。「昇給」において、社内からの評価・信頼は不可欠と言えるでしょう。
具体的には「在庫発注や在庫管理」「掃除を率先して行う」「営業終わりに後輩のレッスンを進んで見る」などがあげられます。
自分の知らないところで、案外上司はあなたの働きを評価してくれるものです。
<実際の声>
・若手時代からこれまで、とにかく「人が嫌がることを率先して行う」ことは意識していました。例えば誰よりも率先してフロア・トイレ掃除、洗濯、備品管理をする。必要な買い出しやゴミ捨てはすべて自分が行うなど。スタイリストになった今、雑務の中にも無駄な仕事は無かったと感じています。
3. コミュニケーションを大事にする
昇給において大事にすること3つ目は「コミュニケーションを大切にすること」です。これは「対顧客」でも「対社内」でも共通して重視すべきでしょう。
対顧客でいう「コミュニケーション」とは、何も「気の利いた面白い話をする」ということではありません。お客様の意向や来店時のコンディションを汲み取って、話を聞くに徹するのか、プロとして有益な情報を提供するのか、はたたま静かな時間を過ごしてもらうのかを適切に判断することが、お客様に好かれるコミュニケーションです。
また対社内においては、コミュニケーションを積極的に取ることによって「社員同士から信頼される」「知識や技術を教わりやすくなる」「なにか仕事や物事を依頼するとき、名前が上がりやすくなる」などのメリットが得やすくなるでしょう。
相手からの発信を待つ、他人任せのコミュニケーションで得られる結果は、その他大勢と一緒です。ぜひ「自分主体のコミュニケーションを大事にする」ことを、今日から意識してみてはいかがでしょうか。
<実際の声>
・接客時もフロアでのコミュニケーションも共通してですが、「相手の考えていることを感じ取る」ことを常に大事にしています。とくにお客様に関しては「実際に口にしていること」と思っていることが異なる場合が多いので、言語化していない気持ちを汲み取る技術が信頼を得るために重要だと実感しています。それは髪型を決める際も、日常会話でも同様です。
4. 常に「お客様の満足」を追求する
昇給において大事にすること4つ目は「顧客満足を追求すること」です。
昇給の”要(かなめ)”となる最もわかりやすい指標が「顧客指名」です。あなたがもし顧客側だったとして、一体どんなスタイリストを継続して指名したいでしょうか?技術力、的確な提案力、居心地の良さ、知識量など、きっとそれらがお客様の要望を十分に満たしたときに、はじめてスタイリストとしての「指名」を得ることができるはずです。
スタイリストとして常に顧客へ満足を提供し続けるためには、日々のインプットと共に「どうすれば目の前のお客様に喜んでもらえるだろう」を様々な角度から追求し続けることが、必要不可欠です。
毎回の施術で常に「ベストな結果」を求めることは、スタイリストとして昇給を勝ち取るための大きな一歩に繋がるはずです。
<実際の声>
・最近は「Instagram」を常日頃から見られるお客様が多く、皆さんかなりトレンドに詳しいです。だからこそこちらも期待に沿えるよう、常に「人気スタイルを作る」ためにアプリや雑誌、勉強会にでるなどしてインプットを続けています。
5. 自己中心的にならず、店舗のために働く
昇給において大事にすること5つ目は「自己中心的にならず、店舗のためを考えて行動する」です。
仮にあなたが店舗オーナーだったとして、どういう人間を昇給させたいと考えるでしょうか?「技術力が高く、指名が取れる人間」は勿論そうですが、もう一つの着眼点として「この人と一緒に働きたい」と思われる人材は、自然と昇給や役職につく可能性が高くなるでしょう。
そして日常から自己中心的にならず、店舗のためを思って動ける――例えば「シフトを率先して交代する」「片付けや雑務を引き受ける」「落ち込んだり調子の悪いメンバーのフォローに入る」――ができる人間は、自然と「一緒に働きたい存在」になりやすいです。
ぜひ客観的な視点から「一体どういう人材なら、一緒に働きたいと思われるだろう」という疑問を追求し行動に移してほしいと思います。体現出来たとき、自然と周囲から信頼される美容師になれているはずですよ。
<実際の声>
・常日頃からどうすれば店舗が今以上に良くなるか、を考えて勤務に臨んでいます。具体的には「いかにお店を円滑に回すか」を考えながら指示を出したり「悩んでいるスタッフがいれば、率先して悩みを聞き解決の手助けをすること」を意識しています。
まとめ
今回は「美容師の給与・昇給事情」について、普段あまり聞くことのできない現役スタイリストの声を交えながらご紹介しました。
「昇給ために頑張る」というよりも、一人前のスタイリストを目指しコツコツと努力を積み重ねることが、自然と昇給につながるケースが多いようです。昇給=社内の仲間に信頼される・認められることでもあるので、自己研鑽はもちろんのこと「サロンを良くするために行動」したり「人の嫌がることを率先して行う」ことは、昇給への近道に繋がることでしょう。
すでに美容師として努力されている方も多いと思いますが、もし自分がまだ出来ていない満足出来ていない項目があれば、1つでも真似して取り入れてみてはいかがでしょうか。
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