スタッフがすぐ辞める美容室の特徴とは?定着率の良いサロン作りのコツも紹介

「スタッフの定着率が悪く、ずっと人手不足に悩んでいる」
「離職率が高すぎて、手を打ちたいが原因や改善策がわからない」

 

など、スタッフの離職率の高さに悩んでいるオーナーさんや幹部層の方も、美容業界ではとりわけ多いのではないでしょうか。

 

この記事では、経営層の方も含め「現役スタイリスト20名」に協力をいただき「スタッフがすぐやめてしまう美容室の実態」について、リアルな意見をお聞きしました。

 

離職率の高いサロンに見られる特徴
定着率を上げるために行うべき対策
・もし「辞めたい」と言われた場合のベストな対処法

 

など、スタッフの短期離職にお悩みの方に向けて、役立つ情報をご紹介します。

スタッフの離職率って実際どのくらい?美容師20名に聞いてみた

俯いてカットの練習をするアシスタント女性

 

「離職率が高い」と言われがちな美容師業界ですが、実際のところ

 

・離職率の高いサロンはどのくらいの割合で存在
どのくらいの頻度でスタッフが辞めていくのでしょうか。

 

現役スタイリストさん20名にアンケート調査を行い、リアルな「美容室の離職事情」について教えていただきました。

 

質問1「過去に『離職率が高い』と感じるサロンで働いた経験はありますか?」

これまで離職の高いサロンで働いたことはありますか

 

・はい 17名

・いいえ 3名

 

調査したところ、全体の8割以上が「離職率の高いサロン勤務経験がある」と回答する結果に。

 

「スタッフが辞めづらい、働きやすい店舗」も勿論ありますが、総数として「離職しやすい店舗」が非常に多いという業界の傾向が読み取れます。


中でも「スタッフ数の多い大型サロンは、とくに離職率が高い」という美容師さんの声も多く、美容室の特性によっても続けやすさに違いがあることがわかりました。

 

質問2.「離職率の高いサロン」では、どのくらいの頻度で人が辞めていましたか?

 

続けて、「離職率の高いサロンへ所属歴がある」と回答した方を対象に、そのときの離職の頻度や人数についてお聞きしました。

 

▼スタイリストさんの回答

前のサロンですが、オーナーのワンマン経営にみな疲れてしまい、1年ちょっと14名中10名(僕も含め)が店を辞めました。
入社して1年以内に、アシスタントの子が3名辞めた。教育カリキュラムが整ってない、時間外練習が当たり前になっていないなど、理由は色々あると思う。

アシスタント時代から在籍している子が2人いましたが、両方スタイリストになって1年以内に退職してしまいました。

 

この1年で、アシスタントが2人、役職のついてないスタイリストが4人。年次の浅い子ほど、離職しやすい気がする。

調査の結果、離職率の高いサロンでは、半年〜1年で3〜5名が辞めてしまうことが珍しくないことが判明。中には14人中10人が離職してしまうなど、店の存続に関わりそうな離職事情も見られました。

 

また離職のタイミングとしては


入社して1年以内(アシスタント時代)
スタイリストデビューから1年以内

 

の層が最も多く、次いで「デビューから3年〜5年ほど」が多いという傾向が見られました。


「アシスタント時代~デビュー直後」は、慣れない仕事内容やレッスン、先輩やお客さんへの気疲れなどで、精神的にも不安定になりやすいことが、離職率の高さに起因しているかもしれません。

 

スタッフがすぐ辞めてしまう美容室の特徴とは?

pixta_1627998_M (1)

 

「常に人手が足りていない、離職率の高いサロン」には、ある程度の共通項が見られるケースが少なくありません。

 

「スタッフが辞めやすい美容室の特徴」をお聞きしたところ、以下のような回答が集まりました。

 

▼離職率の高いサロンの特徴

・とにかく忙しく、十分に休憩が取れない(昼食抜きもザラ)


閉店後や休日にレッスンが入れられる

 

・入客が少ない or 新規を回してもらえず「指名」が取れない


休みが少ない、有給消化ができない


給料が安すぎる


「安定した将来ビジョン」が、イメージができない


人間関係が悪いオーナーや先輩の人柄に問題がある


・ポストが空いていない、後継者が既に決まっているなど(身内同士)

 

美容師さんが辞めやすいサロンでは「拘束時間が長すぎる」「給与が安く、将来性もない」「人間関係が悪い」などの課題を常に抱えており、結果としてスタッフが心身ともに安心して長期就業できる環境を提供できていないことが、離職率が高い要因になっていることがうかがえます。

 

▼スタイリストさんの声

アシスタントになって7か月ですが、拘束時間の長さが辛く、今のサロンを辞めたくて仕方ありません。

 

朝8時半に出社し、店の仕事が終わるのが22時頃。そこからレッスンがあるので、毎日24時に帰るのが当たり前という日々です。

 

休憩時間も取れず、隙間時間10分で軽食を食べて即現場に戻る……という感じで、常に心身が休まらない状態です。体力的にもつらく、もっと楽に働ける店へ移動したいです。

(女性 10代)

僕は前の職場を、オーナーのパワハラと労働条件の悪さで辞めました。

 

オーナーから裏で暴言を吐かれる、技術の無さをバカにするような発言をされる、機嫌の悪いとき無視されるなどもありました。

 

人手が足りず、休みは月4~5日。もちろん土日は休めず有給も使えなかったりと、メンタル的に健全でなかったので、辞表を出して無理やり辞めました(辞めさせないと言われたが強行突破)。

 

いまのサロンに変えて、かなり気持ちが楽になりました。

(男性 20代)

 

定着率を良くするため、実践している4つの取り組み

美容師に定年はない

 

ここまで「離職率の高いサロン」に焦点を当ててきましたが、一方でスタッフが働きやすく「辞めづらいサロン」が存在することも事実です。

 

実際に各サロンさんが実践されている「スタッフさんの定着率を良くするための取り組み」をご紹介します。

 

1.まず「経営者・幹部」が信頼される行動を

 

定着率向上のための取り組み、1つ目は「経営者や幹部層が信頼されること」です。

・サロンの今後のビジョンが明確で、スタッフへ共有できている

 

・スタッフが納得できる採用活動や戦略立案を行っている

 

スタッフの気持ちを汲み、尊重する行動や言動ができている

など、オーナーや幹部層が「この人達であれば信頼できる」「一緒に働きたい」と思われる立ち回りを行うことで、自然とスタッフの定着率アップを狙うことができるでしょう。

 

とくに経営層とスタッフ間の距離が近い「中~小規模サロン」の場合、上記の取り組みは定着率の良さにダイレクトに反映されるはずです。

 

2.「福利厚生・給与制度」の改善など、長期で働ける環境を作る

2つ目の取り組みは「目先の経費」だけでなく、長い目で「スタッフが働きやすい環境を整えること」です。


美容師業界・とくに中小規模サロンの中には、未だに社会保険が完備されていなかったり、産休育休制度がなかったりと、現実的に長期就業が難しい店舗が少なくありません。

 

実際、少人数の店舗では「健康保険の加入」が義務ではないため、経費を考慮して加入しないという美容室も山のようにあるのが現状です。しかし、そうなると保険料はスタッフ各自で全額負担となるため、給料が安いアシスタントや新人スタイリストにとっては大きな負担となります。

 

また給与に関しても「明確な昇給制度がない」「労働時間に給与が見合っていない」など、制度面や収入の低さを理由に、別のサロンへ移動してしまうスタッフも少なくありません。

 


定着率の向上を図るためには、目先の利益を追うだけでなく「スタッフが精神的に健全な状態で働ける環境づくり」に力を入れることが重要です。

 

 

3.拘束時間を短くする・休日を増やす

 

3つ目の取り組みは「拘束時間を短縮し、休みを増やすこと」です。

 

実は今回の調査を行った際、最も多い離職理由として「長時間労働が厳しい」「拘束時間が長すぎる」「休みが取れないのが辛い」といった、労働時間と休暇への不満が挙げられました。

 

とくにアシスタント~Jr.スタイリストの時代は「実際のサロンワーク」に加え


・練習時間
・雑務
・研修や勉強会

 

といった時間が加算されるため、拘束時間の長さに不満を抱いたり体力面で限界を感じたりする方も多いはずです。

人手不足を解消「働き過ぎ」「休めない」状況が起きないようにする

・レッスンや勉強会は業務時間内におこなう
土日でも休める環境を整える

 ・「有給」が取れる環境にする

など「時間」「休暇」に配慮した環境を整えることも、離職率低下のために重要な要素です。

 

4.スタッフの声にしっかりと耳を傾ける


4つ目の取り組みは「スタッフの声に耳を傾け、否定せずに受け止める」ことです。

 

これはオーナーやリーダーといった上層部をはじめ、教育担当者や在籍年数の高い美容師も、普段から心がけるべき行動です。

 

仮に「忙しすぎる」「給与が安い」といった不満があったとしても、その思いを相談したときにオーナーや上司がしっかり意見を受け入れ、改善を図ろうという行動や意志が見られれば、スタッフも「今すぐに辞めよう」という考えは起こりづらいはずです。

 

スタッフの声を真摯に受け止めることは、彼らと心理的な信頼関係を構築し、結果的に離職率を下げることに大きな効果を発揮します。

 

 

また、普段から気兼ねなく不満や悩みを口にできる関係性を築くことで、スタッフの離職したい思いに早い段階で気付き、続けてもらうための対策を打てる可能性も高まります。

 

定着率の改善を図るためにも、部下が経営陣や先輩に気兼ねなく本音を打ち明ける空気づくり、そして否定せずに話を受け止める姿勢を取ることが大切です。

 

スタッフから「店を辞めたい」と言われた場合のベストな対処法とは?

クレームで落ち込む女性美容師

 

「スタッフの定着率を上げるための取り組み」についてお話ししましたが、どれだけ行動や環境を改善しても完全に離職を0にすることは難しいでしょう。

 

スタッフから仮に「店を辞めたい」と言われた場合の「ベストな対処法」についてお聞きしたところ、以下のような意見が集まりました。

 

▼スタイリストさんの回答

・まずは相手の話を否定せず、最後まで聞く。全て受け止める。

・理由を聞き「店側の問題」なら解決策を考え実行する。


・すでに離職意思が固まっていれば、深追いせず気持ちを尊重。


不機嫌な態度、否定の言葉を絶対に出さない。

・一度辞めても「また戻ってきたい」と思われるような、送り出し方をする。

話の聞き方として多かったのが「相談された際、まずは口出しせずすべての話を聞き入れる」「否定せず、思っていることをすべて吐き出してもらう」という意見でした。

 

相手の気持ちを尊重するためにも、話の途中で条件のすり合わせをしたり、「いま店を辞められるのは無理」など意見を否定したりするのはNGなようです。

 

また当人の中で明確に「離職したい」と固まっている場合は、無理に引き留めるよりも「スタッフの気持ちを尊重する」「気持ちよく送り出す方を重視する」、といった声が多く見られました。

 

▼スタイリストさんの声

何年も店をやってると「地元に帰りたい」「他にやりたいことが出来た」など、どうしようもない理由で辞めてしまうスタッフもいます。


もちろん引き止めたいですが、大切なのは辞めた後に思い出したとき「あのサロンで働けて良かったな」と思われるような、店づくりやお別れの仕方をすることだと思います。

 

実際、過去に何名か数年後に戻ってきて「もう1回働きたい」といってくれたスタッフもいます。

(男性 40代)

一度、本人の中で意思が固まったら、経験上よほど何かない限り気持ちは覆らない。数か月は引き延ばせても、大体どこかで無理になる。

 

だからこそ「なにが理由で辞めたいと思ったか」「いつから感じていたか」「もっとこういう要素があれば続けられたか」と、本音でしっかり聞き出すことの方が大事。

 

辞めた子達の声を反省材料にして、次に同じ失敗を繰り返さないようにすること。

(男性 30代)

以上、「スタッフから辞めたいと相談を受けた場合のベストな対処方法」についてお話ししました。

 

まとめ

2名のスタッフ

 

今回は「スタッフが辞めたくなる美容室」をテーマに、「離職率の高いサロンの特徴」や「スタッフの定着率を高める対策」について、現役スタイリストさんの声をもとに紹介しました。

 

あなたの勤めているサロンで、今回の内容に当てはまる項目はありませんでしたか?

 

一時的な所属や短期的なキャリアアップを目的とする場合を除き、多くの美容師さんにとって「長期的に安心して、無理なく働けるサロン」であるかどうかは、職場選びの重要な要素となります。

 

定着率を高めるためにも、今いるスタッフの意見を尊重し、心身ともに健康的に就業できる環境づくりに努めてくださいね。

 

また当サイト「JOBOON」では、「スタッフ採用を成功させたい」というサロンオーナーさんのために「1か月4,000円~6,000円」で掲載可能な、美容サロンの求人サービス」を行っております。


「求人サイトが高額で続けづらい」
「掲載しても応募がなく、採用が進まない」

 

といったお悩みのある経営者・オーナー様は、ぜひJOBOONの求人掲載サービスについてご覧ください。

→ 「JOBOONの美容業界求人サービス」について見てみる

 

→ 個人の美容師さん向け「サロン求人の検索ページ」はコチラ