美容師がほしい手当のホンネ |「絶対ほしい」から「あるといいな」まで
サロンオーナーが求人・採用を考える時、基本給やシフト、福利厚生などの基本的な労働条件の決定に次いで悩むのが、「手当の有無とその種類」ではないでしょうか?
- ・今の美容師が「絶対ほしい!」と考えている手当は何だろう?
- ・「あるといいなぁ」と思われている手当は何だろう?
- ・いい人材を確保することに繋がる手当は何だろう?
- ・そもそも、手当って何のために必要なのだろう?
今回は美容師の手当に関してよくある、上記のような悩みの解決に役立つ情報をまとめました。
求人・採用についてお悩みのサロンオーナー様は、ぜひご一読ください。
美容師が「絶対にほしい!」と思う手当の種類とその理由
- 【1】売り上げに応じた手当
- 【2】労働時間に応じた手当
- 【3】役職に応じた手当
複数人の現役美容師に、「どんな手当がほしいですか?」と聞いてみたところ、「絶対にほしい!」との回答があったのは、上記3つの手当でした。
特に、指名客や店販の売り上げに応じた手当がほしいという声は多く、その割合はヒアリングを行った美容師の半数近くに及びました。
美容業界に限らず、”働き方に対する価値観”は、時代を経て少しずつ変わってきており、その変化の影響が、求める手当の種類にも反映されている印象を受けます。
【1】売り上げに応じた手当
指名客やリピート客の売り上げ、そして店販の売り上げに応じた手当がほしい主な理由は、「自分の頑張りを分かりやすく評価されたいから」だそうです。
自分が美容師として成長しているという感覚と、実際に周囲からもらえる評価は、必ずしもリンクするものではありません。
「頑張っているはず」、「成長しているはず」という思いだけでは、美容師としての自分を納得させられない瞬間が、多かれ少なかれあるのでしょう。
個人売り上げのアップは、その美容師の頑張り・成長によって得た結果です。それに応じた手当を支給されると、「頑張ったので、結果が出た!」という達成感が伴います。
単純にお金を多く貰いたいというよりは、毎日のサロンワークのモチベーションアップに繋げたいという気持ちが大きい傾向がうかがえました。
【2】労働時間に応じた手当
“美容師の仕事はハード”という事実は、美容師の多くが承知していることです。
そのうえで「拘束時間が長く残業があるのは致し方ない、ただそれに見合った”対価”はきちんとほしい」という考えの美容師が増えているようでした。
営業時間後のレッスンなどで規定の労働時間を上回ったら、その分の手当がないと割に合わないと考えています。
働き方改革が推進されている現代、美容師というハードワークであろうと、「対価が無い労働は本来するべきではない」という方向に、考え方が改まっている(もしくは露出している)傾向があります。
【3】役職に応じた手当
「キャリアアップ・役職に応じた手当は、絶対にあってほしい」という意見も、非常に多かったです。
これも先述した売り上げ手当と同じく、「毎日の仕事のモチベーションを維持したい」、そして「役職を得ることで増えた仕事と責任感に対する評価を、分かりやすく受けたい」という気持ちが、背景にあるとうかがえました。
美容師が「あるといいな」と思う手当
売り上げ手当や時間外労働手当、役職手当など「基本的にはほしい」と考えられている手当の他、美容師が「あると嬉しいな」と思う手当はどんな手当なのかについても、ヒアリングしてみました。
以下、その回答の一部です。
- ・街頭モデルハントの成功手当
- ・外部セミナー出席手当
- ・新規指名客増加手当
- ・自分発信のSNSからの集客手当
- ・コンテスト入賞手当
- ・ファッション手当 ……etc
「あればいいな」と思う手当には、美容師1人1人の個性がよく表れていました。
傾向的には、“基本的なサロンワーク以外の功績を評価する手当”、“特に労力が必要な業務を達成したことを評価する手当”、そして“美容師として必要なお金を補助する手当”に分けることができます。
あれもこれもと手当をつけるのではなく、サロンの目指す方向性や「こんな美容師を育てていきたい」というビジョンに適う手当を選ぶことが大切でしょう。
美容師の採用に役立つのは1人暮らしを支える手当
「手当を工夫して、いい美容師の採用に繋げたい」という場合、美容師の1人暮らしを支えることを目的とした、手当を考案するとよいでしょう。
スタイリストはともかくとして、若いアシスタントはまだ給与が低く、そのお金の中で1人で生活していくのは大変なことです。
しかし住宅手当などがあれば、アシスタントでもお金のやりくりが幾分か楽になります。
“ドンドン伸びる”若い世代の美容師に、数多くある求人の中から自分のサロンを選んでもらうには、1人暮らしを応援する手当を付けて、これから始まる新生活に安心感を持ってもらうのがいいかと思います。
住宅手当が難しければ、昼食手当なども有効でしょう。
こうした美容師の1人暮らしを支えることを想定とした手当は、関西以外の地方から大阪・神戸など都会へ出てくる美容師に注目されやすいこともポイントです。
新しく美容師を採用するため”だけ”の手当は必要ない?
ここまで述べてきたことを覆すようですが、新しく美容師を採用すること”だけ”が目的の手当は、本来必要ありません。
理由は簡単で、求職活動中の美容師がサロンを選ぶにあたって、手当の良し悪しは優先順位が低いものだからです。
もしもこれからサロン内の手当を充実させていくなら、100%外部に向けてではなく、“今現在サロンで働いている美容師”の不満が解消されたり、働いていて気持ちがよい環境に整うような手当が、本質的には必要です。
全体的に高い傾向がある美容師の離職率を止めるための手当を考案・実行し、今働いている美容師の満足度を上げることを、ぜひ優先していただきたいと思います。
そのためには、今いる美容師1人1人の不安や悩み、希望を聞く機会を、定期的にきちんと設ける必要があるでしょう。
手当の実行によって今よりも環境が整えば、在籍スタッフはより楽しく働けるようになり、サロン全体の雰囲気(社風)も明るくなります。
そしてサロン見学に来た美容師が、何だかイキイキしているサロンの雰囲気を感じとり、「ぜひともここで働きたい!」と思ってくれるかもしれないので、在籍スタッフのことを1番に考えることが、結局は採用力の強化にも繋がるのです。
美容師の採用強化だけにとらわれず、今のサロンをよくするための手当を考えよう
<美容師が「絶対ほしい」と思っている手当>
- ・売り上げに応じた手当
- ・労働時間に応じた手当
- ・役職に応じた手当 ……etc
<美容師が「あるといいな」と思っている手当>
- ・街頭モデルハントの成功手当
- ・外部セミナー出席手当
- ・新規指名客増加手当
- ・自分発信のSNSからの集客手当
- ・コンテスト入賞手当
- ・ファッション手当 ……etc
<美容師の採用強化に繋がりやすい手当>
- ・住宅手当
- ・昼食手当 ……etc
以上、美容師が「絶対ほしい」から「あるといいなぁ」まで考えている、手当の種類や理由について取り上げました。
どんな手当をつけるといいのか悩んでいるサロンオーナー様に、ぜひ参考にしていただきたいヒアリング結果です。
しかし、あくまでも大切なのは、“今のサロンがもっと働きやすい環境になるように”、そして“もっと美容師の仕事を楽しいと思ってもらうために”、何をすべきかをじっくり考えることです。
一概に「これがいいらしい!」という施策を実行するのではなく、在籍するスタッフ1人1人と向き合い、よりよいサロンを作り上げていくために、今やるべきことを考え、それで必要であれば”手当の支給”を始めてみましょう。
「ユニークな手当の付与で採用応募率がグンと上がった」などという噂を聞くと、「自分のサロンでも何か注目されることをしなくては……」と焦る瞬間があるかもしれません。
そこで焦らず、“離職率をおさえるにも採用応募率を上げるにも、まずは基本の環境を整える”ことが大事だということを、忘れないでおきたいですね。
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