美容師の離職率は本当に高い?現場の実情と長続きする人・しない人の特徴
美容師を目指していると、「美容師の離職率が高い」という話題を耳にしたことがある人は多いと思います。
といっても、せっかく頑張って資格をとって美容師になるのなら、長く続けたいという方も少なくないですよね。
また、実際に働き始めた方の中でも辞めていく先輩や同期をみて不安に思われている方が少なくないのではないでしょうか。
この記事では、美容師の離職率について、数字だけではなく現場の声を元に、「なぜやめる人が多いのか」「どんな人が長く続けているのか」「働きやすいサロンの特徴」などの実情を紹介していきたいと思います。
キャリアに悩まれている方はぜひ参考になさってください。
美容師の離職率が高いのはなぜ?期間別の退職理由から分析
美容師の離職率は1年目で50%、3年目で80%と言われており、特に初期に辞める方が多いようです。
離職の理由として代表的なものを挙げると下記の通り。
- ・人間関係
- ・業界イメージと現実のギャップ
- ・休みが少ない
- ・結婚や出産
スタッフ間の人間関係のほか、華やかそうな業界ゆえ、イメージとのギャップに失望して辞める方も多いようです。
また、土日出勤が基本で、就労時間も長いため、一般的な職業と比べてプライベートの時間にゆとりがなく辞めてしまうという方も。
そのような状況も踏まえ、女性の場合、結婚や出産を機に退職される方もいらっしゃいます。
詳しくはこちらの記事もご参考に
→「美容師の退職理由|辞めた理由と決断のアドバイスを先輩スタイリストにインタビュー」
また、以下では期間別に辞める理由を詳しく紹介します。
半年以内で辞める理由は「世代間のギャップ」が多数
比較的短期間で離職する理由として多いのが「上司との温度差・世代間のギャップ」
例えば…
- ・「若い世代への歩み寄りを暑苦しく感じる」
- ・「昔ながらの『背中を見て覚えろ』というスタンスで研修制度が整っていない」
- ・「早く帰りたいのに『遅くまでレッスンするのが当たり前』という風潮が蔓延している」
オーナーは一生懸命、環境づくりや教育を行なっているつもりでも、入ってきた新人美容師側からすると思っていたイメージと違う・本当にこれで大丈夫なのかと疑問に思ってしまうようです。
オーナーやベテラン美容師の世代は『先輩の背中を見て覚えるのが当然』『遅くまで残ってなんぼ』という下積み時代を送ってきたため、同じように接して、そのやり方を強要してしまうこともあるようです。
そういう旧世代的な教育方針を推しつつ、気を遣って歩み寄りをしてこられると暑苦しく感じるという意見も聞かれます。
そのような理由で、少人数で運営するサロンはもちろん、大規模なサロンでも新人が10人いたら1年以内に少なくとも3人は辞めてしまうようです。
1年以上続けて辞める理由は「人間関係のしがらみ・同世代との不和」がメイン
サロンの雰囲気に馴染み、1年以上続けでも辞めてしまう人もいます。
その理由の多くは人間関係のよう。
- ・「狭い人間関係が嫌になってくる」
- ・「同世代で比べられるのが苦痛」
特に近い世代間の人間関係の悩みが多く、性格や考え方の合う合わないが顕著になってくるのかもしれません。
また、店舗のシステムによっては同じ時期に入った人と給与面でも差が出てくることがあり、悩んだ挙句辞めるという方も少なくないようです。
人間関係の悩みについてはこちらの記事もご参考に
→「美容師の人間関係は良い?悪い?|サロンの実態とお悩み解決のヒントを先輩にインタビュー」
離職後も別のサロンに再就職する美容師が大半・中には別の道を選ぶ人も
離職する人が多いとはいえ、その人たちがその後どうするかというと、大半は別の美容室に再就職するようです。
また、年齢が高めの方だとほかの業種に転職される方もいらっしゃいます。
例えば…
- ・異業種
- ・ディーラー
- ・美容メーカー
一般企業のサラリーマンなど全く別の業種・職種に転職される方もいれば、ディーラーや美容メーカーなど美容師としての経歴を活かせる仕事につく方も。
美容師は平均年齢の低い業界のため、30歳前後でキャリアを見直す方が多いようです。
ディーラーへの転職について詳しくはこちら
→「美容師の経験はディーラーへの転職に活かせる? | 仕事内容ややりがいを紹介」
美容師として長続きする人・しない人の特徴
美容師として長続きするかどうかは、美容師自身のやる気や適性が7割、残りの3割がサロンの環境と言われています。
【続く人の特徴】
- ・「淡々と仕事をこなせる人」
- ・「素直な人」
- ・「一生懸命練習する人」
- ・「美容がとても好きな人」
- ・「努力できる人」
- ・「人を綺麗にしたいという気持ちが強い人」
【続かない人の特徴】
- ・「口だけで行動が伴わない」
- ・「意見はするけど練習しない」
- ・「お客さんを選ぶ(若い女性だけ・男性だけ…など)」
野心よりもストイックで情熱を持っている人の方が続く
美容師は技術職で、お客様の要望に応えたり、トレンドを押さえたりするには日々の練習が欠かせません。
業界のレジェンドと呼ばれる方々も、第一線で活躍しながら日々ストイックに技術を磨かれていますし、下積み時代は寝る間も惜しんで練習してきたという方が多いです。
「美容師になるからには絶対に有名になってやる」「セミナーやイベントに呼ばれる人気美容師になりたい」など野心を持っている方は、努力を忘れがちです。
上記のように、口だけでは「有名になりたい」と言っていても、ろくに練習もせず、それを先輩に指摘されると機嫌を損ねて「自分には向いていない」「このサロンは合わない」と辞めてしまう方も。
野心や夢を持つことは決して悪いことではありませんが、まずは練習に練習を重ね、技術を向上させていくことで実績も積み上がっていきます。
その実績が名声につながることを心に留めておいてください。
目の前の人を綺麗にしたいという気持ちで取り組めるかどうか
お客さんを絞りすぎず、「どんな人でも綺麗にしてあげたい」という柔軟な気持ちを持てるかどうかという点も重要です。
「若い女性に人気」「男性から支持される」などの美容師に憧れる方もいらっしゃるかもしれませんが、あくまでそれは環境であり、結果です。
「目の前の人を綺麗にしたい」という気持ちで一生懸命にやってる人ほど結果が出ると言われています。
特に若いうちは、世代や性別の違うお客様について、好みや話題を合わせるのが難しいと感じるかもしれません。
しかし自分の好みを押し付けず、あらかじめ「ネットで調べる」「先輩に聞く」「お客様に直接聞く」などして調査しておくことも、キャリアを積んでいく上で必要なことといえます
長く働きやすい美容室の特徴
前章でも触れた通り、離職の要因としてサロンとの相性や就労環境なども3割程あるようです。
ここでは一般的に、新人美容師が働きやすいと言われているサロンの特徴について、どのようなところをチェックすると良いか解説してきます。
これらの項目については、求人サイトだけではなくサロンのホームページも見ておくことがおすすめです。
研修制度が整っていてカリキュラムが見える化されている
早期の離職理由で多かった「世代間のギャップ」は、スタイリストとしてデビューするまでの下積み時代の成長に大きく影響します。
研修制度などのカリキュラムが整っているかどうか、例えばスタイリストになるまでのフローやプロセスを表などで見える化されているかどうか見ておくと良いでしょう。
新人教育についてしっかり整備されているサロンは、受け入れ態勢が整っており、世代間ギャップの調整にも積極的という傾向があります。
休暇や助成金など福利厚生が手厚い
福利厚生の充実度合は、若い世代の育成をきっちり考えているかどうか・スタッフを大切にしているかどうかの指標といわれています。
特に社会保険や休日についてはしっかり見ておきましょう。
また、特殊な手当(有給以外の休暇・慶弔・勉強のための助成金・ウィッグなど練習台の負担)があるかどうかもスタッフをが長く勤められる指標として見てもいいかもしれません。
また、結婚や出産を考えている方や子育てしながら美容師を続けたいという方は、育休・産休制度のほか出勤日数や時短に応じてもらえるかなども見ておくと良いでしょう。
まとめ
美容師は離職率が高いと言われていますが、長く続ける方もいらっしゃいますし、離職しても様々なサロンで経験を積んで技術を磨かれる方もいらっしゃいます。
また、他の道を選ぶことも決して悪いことではありません。
ただ、せっかく「美容師になりたい!」と一度志したのであれば、周囲の環境を言い訳にせず、美の技術を磨くことにストイックに専念できるといいですね。