美容師は妊娠後いつまで働く?仕事中のつわり対策は?7つの質問を20名の先輩に聞いてみた
「美容師女性は、妊娠から何か月後まで働くのが普通?」
「つわりや体調不良があっても、サロンワークを続けることはできるの?」
妊娠を控えている女性美容師さんの中には、そういった妊娠とサロン業務との両立に関して、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな女性美容師さんに向けて、過去に妊娠経験のあるお母さん美容師20名の協力のもと「女性美容師の妊娠事情」について7つの質問に答えていただきました。
【妊娠・育児に関する7つの質問】
- 1.妊娠後、何カ月まで働くのが一般的?
- 2.妊娠後、最も辛かった業務内容は?
- 3.仕事中に体調が悪くなったとき、どんな対策をしていた?
- 4.妊娠中、お店や他のスタッフさんの気遣いで「これは嬉しかった」というものは?
- 5.産休から復帰するまでの期間はどのくらい?
- 6.仕事と育児をどのように両立しているの?
- 7.妊娠・出産を迎える美容師さんが「これは知っておくべき」というアドバイスは?
女性美容師さんに役立つ、妊娠・出産事情について詳しくご紹介いたします。
1.美容師は妊娠後、何カ月まで働くのが一般的?
「妊娠が発覚したら、出産予定日のどれくらい前まで働けるんだろう?」はじめての出産であれば、そんな不安をもつ女性美容師さんも少なくないはずです。
過去に妊娠・出産を経験した女性美容師さん20名を対象に「妊娠何カ月目まで働かれていたか」をお聞きしたところ「出産直前の9~10ヶ月目まで働いていた」という声が最も多いことがわかりました。
妊娠9カ月目まで働いていました。
サロンで動いている方がツワリの辛さも紛れたので、そもそも「働かない」という発想が自分にはありませんでした。
(40代 女性)
忙しいお店ということもあったし、産休でお客様との縁が切れてしまうのも嫌だったので、結果的に妊娠10か月目、出産の割と直前まで出勤していました。
(30代 女性)
臨月(出産予定の月)まで働いていました。
健康体で妊娠中も動き回れたのと、周りのスタッフが手厚くフォローしてくれたので、ギリギリまで無理なく働くことができました。
(30代 女性)
調査の結果、「予定日の6週間前(産休期間に入るタイミング)まで」という回答もいくつか見られたものの、出産予定の直前まで働かれる美容師さんが多数派でした。
一般的にツワリのピークは妊娠初期 (1~4カ月頃)と言われていることからも、体調が落ち着く妊娠5カ月目以降からは、比較的問題なく仕事を続けていたという方が多かったようです。
また仮に妊娠中であっても「他の美容師に負けたくない」「お客さんを大事にしたい」など、情熱をもって現場に立っている女性美容師さんが非常に多い印象を受けました。
2.美容師が妊娠後、最も辛かった業務内容とは?
続いては、妊娠中の業務で精神的・身体的に最も辛かったことについてお聞きしました。
妊娠を迎えると、それまでとは体質や体調・匂いなどへの敏感さなども大きく変化します。
妊娠後、匂いに敏感になってしまい、サロン特有の香水やカラー剤・パーマ液などの香りがダメになってしまった。
最初はカラーやパーマも担当していましたが、吐き気がひどかったので、後半は薬剤を使用するときは他のスタッフに代わってもらうようにしていました。
(40代 女性)
妊娠中はとにかく足のむくみがひどく辛かったです。
ただでさえ立ち仕事でパンパンになる上、赤ちゃんの体重も加わってさらに負担がひどく。合間を見て、適宜座ったり休憩を取らせていただいたりしてました。
(30代 女性)
初期のつわりがひどかったこともあり、施術中はいつも「もしまた気分が悪くなったらどうしよう」と不安を抱えながら働いていました。
お客さんやスタッフに迷惑をかけたくない、というプレッシャーが辛かったです。
(30代 女性)
妊娠中の業務で最も辛かった経験として「以前まで気にならなかった、薬剤や薬液の匂いで気持ち悪くなった・吐き気がしたこと」という回答が最も多く見られました。
薬剤自体が妊婦さんや胎児に悪影響を及ぼす心配はないと言われていますが、体調が悪い中、無理をして働くことは望ましくありません。
身体が辛いときは適宜横になったり、うまく休憩を挟んだりと、可能な範囲で体をいたわりながら働くことが大切です。
3.仕事中に体調が悪くなったとき、どんな対策をしていた?
先述の通り、妊娠中のサロンワークでは薬剤の匂いで気分が悪くなったり、立ち仕事のため疲労で体調不良になったりすることも少なくありません。
仕事中に気分が悪くなってしまったとき、どういった対策をされていたかお聞きしました。
仕事中にめまいや吐き気がきたときは、お客様の対応が途切れるタイミングで、小まめに休憩を取らせていただいてました。
バックスペースに寝転がれるスペースがあったので、よくそこで横になって回復を待っていました。
(40代 女性)
薬剤で気分が悪くなったときは、なにか口にすると気が紛れていました。
そのため、行きのコンビニで毎日小さいおにぎりやサンドイッチを購入して、気分が悪いときは食べて紛らわすようにしてました。
(30代 女性)
基本的に休まず仕事を続けていましたが、どうしても仕事中に身体が辛かったときは、潔く周りに協力や助けを求めていました。
あとは小まめに経口補水液やスポーツドリンクを飲んだり、ガムを噛んだりしていました。
(30代 女性)
重い物をもつと体の負担が大きかったので、何回かに分けて運ぶよう工夫してました。
周囲のスタッフも見かけると「私が運ぶから置いときなよ」と声をかけてくれていたので、ありがたかったです。
(40代 女性)
体調不良の対策として最も多くあがったのが「気分が悪くなったら、食べ物や飲み物を口にする」という回答でした。
空腹や軽い脱水症状によって「つわり」は起きやすいため、固形物や水分で胃を満たすことが対策として効果的なようです。
その他にも「飲み物」であれば
・炭酸水→口をすっきりさせる
・果汁ジュース→唾液による不快感の軽減
・野菜スープ→栄養も同時に摂取可能
といった効果が期待できます。
妊娠中の業務では自分の体調に合った飲食物を携帯するよう、工夫してみるのがおすすめです。
4.妊娠中、お店や他のスタッフさんの気遣いで「これは嬉しかった」というものを教えてください。
店舗や他スタッフの理解があるかどうかで、妊娠中の働きやすさは大きく異なります。
妊娠後、お店や周囲に対して「これは嬉しかった」「働きやすかった」と感じた気遣いや行動についてお聞きしました。
(40代 女性)
安定期に入るまでは私だけ早上がりさせてくれていました。
またお手洗いや休憩に入る順番も、みな優先してくれていました。
(30代 女性)
妊婦だからと、あえて過度に心配したり、気を遣わずにいてくれたのが逆に良かったです。
体調が安定してからはスタッフもそっとしておいてくれたので、私も周りに申し訳なさを感じず仕事できていました。
(40代 女性)
匂いのきついパーマやカラーは、他のスタッフに手伝ってもらい、なるべく短時間で済ませるようにしてました。
また閉店後の片付けは、体に負担がかかりづらいよう簡単な作業をさせてくれてました。
ママさん美容師も何名かいる職場だったので、妊娠への理解があったのがありがたかった。
(40代 女性)
調査の結果、とくに多かった声としては
・パーマやカラー、シャンプーなどのケミカル施術を手伝ってもらって助かった
・休憩や早上がりを優先的に取らせてくれた
・施術や閉店後の掃除・片づけといった雑務を、他のメンバーが代わりにやってくれた
というものがあります。
妊娠・出産に理解のある職場やスタッフが多く、忙しい中でも率先してサポートしてくれたという、心温まる様子が垣間見えました。
5.美容師が産休から復帰するまでの期間はどのくらい?
仕事熱心な美容師さんであれば、「出産から、何カ月くらいで仕事に復帰できるんだろう」と不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
「出産から、何カ月ほど育休を取られていたのか」についてお聞きしたところ、6~10ヶ月で復帰したという回答が多く見られました。
産前にお付き合いのあったお客様のこともあり、早く現場に復帰したいと思っていたので、私の場合は6カ月で復帰しました。
回復が早く体も健康だったので、問題なく仕事に戻ることができました。タイミングよく保育園に入ることもできたので良かったです。
(30歳 女性)
産休自体は1年ほどいただいていたのですが、余裕ができたので少し早めに9カ月ほどで復帰しました。
長い間、ハサミを握っておらず不安だったので「勘がなるべく鈍らないうちに戻りたかった」というのもあります。
(20歳 女性)
3人目を出産したときは、10ヶ月ほどお休みをいただきました。
上2人のときは半年ほどで復帰したのですが、今回は2人の育児をしながらだったので時間がかかりました。
(30歳 女性)
先程のアンケートで「産休に入るギリギリまで働いていた」という回答が多かったように、復帰するまでの期間も比較的短かったという方が多い印象でした。
また、早期に復職された理由としては「職場やお客様に迷惑をかけたくない」「休んでいる間に技術を落としたくない」「仕事が好きなので早く戻りたかった」という声が見られました。
6.女性美容師は、仕事と育児をどのように両立しているの?
子どもさんの出産・育児を機に仕事を辞められる女性も少なくない中、女性美容師は比較的、産休や育休からの復職率が高い職種でもあります。
一方、育児と並行しながら、多忙な美容師の仕事をこなすのは並大抵のことではありません。
「仕事と育児をどのように両立していたのか」についてお聞きしました。
1歳になる前から、保育園に子どもを預けていました。
サロンワークは朝早いことが多かったので、送迎は旦那さんにお願いしていました。
(30代 女性)
近くに私の実家があったので、保育園に入れない時期は、両親に面倒を見てもらって仕事にいってました。
保育園に入ってからは仕事をパートに切り替え、帰宅途中に子どものお迎えに行って、買い物をして帰る……みたいなサイクルをしていました。
(40代 女性)
復帰後はフルタイムでなく、業務委託(売上の6割を給与として受け取る)に働き方を変更しました。
シフトや休みの自由が効きやすくなったので、子育てを考えると良かったと思います。
(30代 女性)
調査の結果、大半の女性美容師さんが、保育園やご両親に子ども預けて仕事に専念していることがわかりました。
中には保育園の送り迎えや入浴など、旦那さんとうまく役割分担をして、仕事と子育てを両立しているという声も多く見られました。
また、パートタイムや時短勤務・業務委託など、より時間の融通が利きやすい働き方へシフトすることで、育児をしながら美容師を続けている女性も多い印象を受けました。
7.これから妊娠・出産を迎える美容師さんに「これは事前に知っておくべき」というアドバイスがあれば教えてください。
最後に、妊娠や出産を控えているママさん美容師に「これだけは知っておいてほしい」というアドバイスについて、経験豊富な先輩美容師さん方に教えていただきました。
子どもが小さいうちは、すぐに体調を崩したり、保育園が突然お休みになったりと、子どもの都合でバタバタすることが多いです!
そのため、急な子どもの体調不良や保育園が休園になったとき、休みや早退が取れるか・フォローしてもらえるかなど、お店と事前にすり合わせや相談をよくしておいた方がいいです。
(30代 女性)
お客さんの中には育児経験豊富なママさんも多いので、たくさんお話しして、産休までに情報収集をしておくのがおすすめです。
泣き止まない時の対処法とか、育児でもらえるお金のこととか。子育ての不安が軽減されるので、人生の先輩を頼ることは大事です!
(30代 女性)
産休に入る前、直接会えないお客さんもいると思うので、常連さんにはお知らせのメールや手紙を出しておくと良いですよ。
お客様にも納得してもらえるので、中には「復帰待ってるね」と応援してくださる方もいました。
(30代 女性)
お客様には、担当が変わることを事前に伝えておく。
スタッフにはカルテやお客様の対応など、きちんと引継ぎをおこなう。
(30代 女性)
多かったのは「産後のシフト(時短勤務)やお休みの取り方について、店舗とよく話し合っておいた方がいい」という回答でした。
とくに子どもさんが小さい時期は、産前とは働き方が大きく異なることが予想されるため、産休に入る前から復帰明けの働き方についてすり合わせしておくことが望ましいでしょう。
また長期のお休みをもらうことになるので、お世話になっている顧客への挨拶や、スタッフへの引継ぎは漏れなくしっかりとおこないましょう。
育児と両立したいなら、ママさん美容師に理解のあるサロンへ就業すべし
ここまで妊娠中・産休明けの働き方についてお話ししてきましたが、これらはあくまで「ママさん美容師に理解のある店舗」だからこそ、成り立っている就業スタイルでもあります。
産休や育休制度があることに加え
- ・子どもの熱などで急な休みを取っても、気兼ねなく働ける環境か
・その時々にあわせて時短勤務や、パート・アルバイト勤務が可能な職場か
・有給取得や土日休みも可能か
などの条件が備わっているかどうかは、長く勤めたいお母さん美容師にとって重要な要素となります。
「これから子どもさんの妊娠を控えている」という美容師さんは、まずは現在の職場で産休や育休が取得できるか、産休・育休明けも無理なく働けそうかを、今一度よく考えてみることをおすすめします。
仮に今現在、産休育休の取得実績が乏しかったとしても、一度店長やスタッフに相談してみることで、育児と両立できる環境を新たに整えてもらえるかもしれません。
一方、現在の職場で育児との両立が難しそうなのであれば、よりママさん美容師へ配慮のあるサロンを探してみてはいかがでしょうか。
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まとめ
今回は、過去に妊娠経験のある美容師さんに協力いただき「美容師さんの妊娠事情」についてお話ししました。
産前は主産するギリギリまで働き、育休も1年経たないうちに復帰するなど、仕事熱心で働き者の女性が多い印象を受けた今回の調査。
仮にお母さんになったとしても、仕事にプライドをもって臨まれている、情熱のある女性美容師さんが多く見受けられました。
また、育児と仕事を両立するためには、当人の努力だけでなく、パートナーやご両親・職場や他のメンバーなど、周囲の理解や協力が必要不可欠です。
これから妊娠を迎える女性美容師さんは、ぜひ今回の記事も参考にしながら、母体に無理のない範囲で美容師という仕事を頑張っていただきたいなと思います。
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