給料の1割以上の負担かかる社会保険料-いざというとき頼りになる社会保険
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社会保険が完備されていない美容室様もまだまだ存在するのが現状ですが、
働く者も、雇う者も安心して業務を遂行していくために、やはり必要な制度となってきます。
ここでは、社会保険の内容、受けれる給付(補償)の制度をお伝えし、
よりよい労働環境を提供できる美容業を目指せるサポートをしていきたいと思います。
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社会保険の基礎知識
「社会保険完備」とは「労災保険」「雇用保険」「健康保険」「厚生年金保険」の保険に全て加入しています。という事を意味します。日本の社会保険制度は「相互扶助」の精神で成り立っていて、私たちがもらう給料から引かれる保険料、事業主負担してくれる保険料の両者によって支払われています。
このページでは、各保険の「内容」「給付(補償)内容」「両者の負担率※H27.2現在」という3点をまとめて紹介していきます。いざというときの生活を支えてくれる社会保険の内容を詳しく知って、しっかりと利用できる知識を身に付けましょう。
労災保険
労災保険は、主に仕事中や通勤途中におけるケガの治療のために病院で診療を受けたり、ケガや病気によって仕事に就けない期間の所得を保障する役割を果たします。仕事中、通勤途中で傷病をしたと認められれば、健康保険ではなく、労災保険を使って診療を受けることになります。
※パート、アルバイト、正社員といった名称にかかわらず、会社に雇用されるすべての従業員が労災保険の対象者になります。
【給付の種類】
療養(補償)給付・・・病院で治療をうけてかかった費用を補てんしてくれます
休業(補償)給付・・・ケガによって働けなくなったとき、休業中の所得の保障を受けれます(最長1年6か月)
障害(補償)給付・・・ケガによって障害が残ってしまったとき、条件に該当すると所得の保障を受けれます
傷病(補償)年金・・・療養開始後1年6か月を経過しても傷病が治らない場合支給を受けれます
遺族(補償)給付・・・傷病が原因で死亡した場合遺族年金もしくは遺族一時金の支給を受けれます
【保険料の負担率】
全額事業主が負担します。業種によって負担率は細かく変動し、0.25%~8.9%となっています。
雇用保険
雇用保険は、失業して収入が不安定な求職者の所得を保障することが主な内容です。金銭面だけではなく、能力開発(教育訓練)といった面でバックアップし、失業者が早期に次の仕事に就けるようにすることも、大きな目的となっています。このほかに、「雇用継続給付」といった、高齢者雇用継続基本給付金や育児休業基本給付金、介護休業給付金などの制度もあります。
※原則としてすべての従業員が加入します。65歳以上の雇用者、4カ月以内の季節的事業の雇用者、日雇労働者…などほかに、適用除外者とされる条件が定められています。パートやアルバイトは、1週間の労働時間が20時間以上で、31日以上雇用される場合は加入対象になります。
【給付の種類】
基本手当・・・求職期間中に所得の保障を受けれる給付金
再就職手当・・・就職がきまったときに支給を受けれます
育児休業給付金・・・出産し、育児休業を取ったときに受けれる給付金
介護休業給付金・・・2週間以上にわたり家族の介護をするために休業を取ったときに受けれる給付金
高年齢雇用継続基本給付金・・・一度会社を退職してから、60歳以降に再就職した場合に受けれる給付金
【保険料の負担率】
事業主負担0.85%、社員負担0.5%となっています。
健康保険
健康保険は、一般的に日常生活でケガをしたり病気にかかったりしたときに使う保険です。それ以外には、傷病手当金や、出産手当金などがあります。
※健康保険の提要除外者に該当しない従業員は加入対象者になります。パートやアルバイトは、労働時間と労働日数が、正社員の4/3以上だと加入対象となります。
【給付の種類】
健康保険給付・・・私たちの身近な制度。病院で治療をうける際に健康保険証を提示し利用します
高額療養費・・・1カ月の医療費負担が一定の額を超えると、超えた分の医療費が戻ってきます
傷病手当金・・・ケガや病気で働けない期間に受給できる手当
出産育児一時金・・・産科医療補償制度に加入している医療機関で出産すると、子供1人につき支給される手当
産手当金・・・出産で働けない期間に受給できる手当
埋葬料・・・傷病が原因で死亡した場合、埋葬料または埋葬費を申請することができます
【保険料の負担率】
都道府県によって異なります。事業主、社員負担共に同率で(大阪)5.03%(兵庫)5%(奈良)5.01%(和歌山)5.01%(京都)4.99%(滋賀)4.985%となっています。〈※介護保険率は全て0.86%(両者同率)※介護保険の説明はページ下補足…欄に記入〉
厚生年金保険
厚生年金保険は、主に会社で働いている人が加入する年金です。年金制度では、制度自体を2階建てとし、基礎年金たる国民年金を1階部分、厚生年金が2階部分と表現されることがあります。厚生年金保険料の一部は、自動的に国民年金へ拠出されているので、一般的には、厚生年金加入者は、国民年金の上乗せになり、国民年金だけの人よりも、年金受取額が高くなります。国民年金しか加入していない自営業の方などは国民年金基金を利用することで2階建てになり、公的に受け取る年金を同じような額で受取ることができます
※加入条件は健康保険と同じです。
【給付の種類】
老齢厚生年金・・・一般的に知られている、老後の生活を支える終身保険年金。公的年金に25年加入すると支給を受けれます
障害厚生年金・・・病気やケガで障害の状態になったときに支給を受けれます
遺族厚生年金・・・加入者が万が一死亡したとき、遺族が支給を受けれます
【保険料の負担率】
事業主負担、社員負担共に8.56%となっています。※児童手当…事業主負担0.15%(社員負担はありません)
補足・・・ 社会保険の種類にはほかも「児童手当」「介護保険」というものがあります。
児童手当
申請をすると、3歳未満の子どもには一律15,000円、3歳以上小学校終了前の子どもには一律10,000円(第3子以降は15,000円)、中学生一律10,000円が所得制限がありますが、子供1人につき支給される制度です。手続きには健康保険被保険者証の写しなどが必要になります。
※事業主負担0.15%になっています。
介護保険
介護が必要になったときに必要な介護サービスを提供する保険です。65歳以上の人、40歳以上65歳未満で健康保険などの医療保険に加入している人が被保険者となり、一定の要件を満たすことで介護サービス(条件はありますが、実際に利用者が自己負担するのは、原則として利用限度額の10%で済ますことができます。)を受けることができます。
会社で健康保険に加入している人は、40歳になったら給与から介護保険料が天引きされるようになります。年額18万円以上の老齢年金を受給している65歳以上の人は年金から保険料を天引きされる支払い方法になります。それが該当しない65歳以上の人は、口座振込や納付書で保険料を支払います。
※事業主、社員負担共に介護保険率0.86%となっています。